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スギヤス、360°VRバーチャル工場見学を開始
待ちから攻めの姿勢で情報を発信
2022/08/18
自動車整備用リフトメーカーの老舗として知られるスギヤス(杉浦安俊社長、愛知県高浜市)が、360°VR対応のバーチャル工場見学を自社サイト上で公開した。国内の生産拠点である、高浜、西尾、福島の3工場の製造ラインや敷地内をオンラインで見ることができる。
スギヤスのマスコットであるシャンプーくん(杉浦 安俊社長の中国語読みに由来)と広報担当の中村仁 彦氏
同サービスに先立って、2018年に創立70周年を記念し、代理・販売店向けに工場見学を実施していた。製品の製造過程や設備を間近で見てもらい、製品とその品質への理解を深める狙いがあったが、コロナ禍の拡大により一時中止となってしまった。
在宅ワークやそれに伴うWeb会議アプリなど、インターネットを利用したオンラインサービスが広まりを見せる中、この状況を逆手にとり、PCやスマートフォンがあれば、実際に工場へ足を運ばなくとも、自社サイトで工場内を見学できるサービスを企画し、準備を進めてきた。
製造工場を初めて見る人にも分かりやすいように、1年間の試行錯誤を経て、2020年4月にようやくスタートに至った。各セクションの作業動画が工場内を進みながら視聴でき、矢印の番号に従って進むと工場内を一周できる。同時期にWebサイトもリニューアルしたが、どちらの取り組みにも、新たに情報発信のターゲットとして業界関係者以外の人々を据えた。
バーチャル工場見学では、サービス利用者が直感的に操作できるよう6種類のアイコンを使用し視認性を高めた。自社サイトは専門用語をなるべく使わないよう意識して製作している。発行する物流環境総合カタログも、デザイナーによるイラストを使用し興味を引く冊子作りにこだわった。
6種類のアイコンで分かりやすく工場内を紹介。左上の全体マップでは、見学者が向 いている方向が分かり、カメラマークをクリックすると好きな個所に移動すること ができる
また、バーチャル工場見学を始めた背景には、近隣の高等学校へ認知を広げる意図もある。若い人材を確保するためには、「働きたい、入社したいと思ってもらえる企業イメージや実績も必要だが、その親御さんからの印象も大事」と、同社で広報を担当する中村仁彦氏は語る。何を商いとする会社なのか、福利厚生は整っているのかなど、安心して子どもを働かせられる企業であるかがシビアに判断されるからである。
中村氏は、「これまでの情報発信の方法は待ちの姿勢であった」と振り返る。製品の魅力やブランド名は、実際に現場で使用する技術者や販売する業界関係者は知っているが、なかなか業界外へと認知が拡大するケースは少ない。「その壁を破るには、スギヤスを知らない人々が広告やSNSでふと見かけて、興味を持ったり記憶に残るような、エンターテインメント要素を盛り込んだ宣伝方法を模索しなくてはいけない」とし、自社から積極的に情報を発信する姿勢へと舵を切った。
ユーチューバーが工場見学に訪れるなど、SNSを活用した情報発信は実を結びつつある。一人でも多くの人にスギヤスを知ってもらうべく、次の新たな企画を考案していく。
スギヤスWebサイト:http://www.bishamon.co.jp/
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