JOURNAL 

    シネマエンドレス 「X」

    「X」それは、最も危険なイニシャル

    • #一般向け

    2022/07/19

     1979年。⼥優のマキシーンとそのマネージャー、ブロンド⼥優とベトナム帰還兵の俳優、⾃主映画監督の学⽣とその彼⼥の3組のカップルは、映画撮影のために借りた⽥舎の農場へ向かう。
     それぞれの野心に燃える6人この映画でドル箱を狙う――。そんな彼らを農場で待ち受けたのは、みすぼらしい⽼⼈だった。彼らを宿泊場所として提供した納屋へ案内する。⼀⽅、マキシーンは、⺟屋の窓ガラスからこちらを⾒つめる老人の妻である⽼婆と⽬があってしまう……。3組のカップルが足を踏み⼊れたのは、史上最⾼齢の殺⼈夫婦が棲む家だった――。

     全米で公開されると、ホラー界の大御所スティーヴン・キングや「スパークス・ブラザーズ」のエドガー・ライト監督が熱烈な支持を表明。海外では「狂ったようにおもしろい」と評された映画のヤバい要素がすべて詰め込まれた、真夏のエクストリームホラーがついに上陸。

    ©2022 Over The Hill Pictures LLC All Rights Reserved.

    筆者の推しどころ

     近年では「ミッドサマー」などヒット作を提供してきたアメリカの映画配給会社A24が再びホラーを持ってきた。筆者が生まれた1979年当時のあらゆる映画のオマージュが盛り込まれおり、それを意識した演出にクスリと笑える。

     一方で、映画史上最高齢殺人鬼夫婦というワードだけでも相当なパワーを感じるが、そこに意識を持って行くと思わぬしっぺ返しを何度も喰らうことになる。70年代カルチャーをベースにしながらも、人間が避けることができない老いと死と性を強く意識させられる正に怪作。

     ベトナム帰還兵役と同時に本作のプロデューサーも務めるスコット・メスカディことキッド・カディ(超有名ラッパー)のバッキバキの肉体美に本物のラッパーの怖さを見た。

     しかも、本作は3部作で、A24初のシリーズものである。誰がどうなり次作へ続くのかを想像しながら観るのも面白い。早くも次作が気になって仕方ない! って今月も高齢者の映画かよ。

    ©2022 Over The Hill Pictures LLC All Rights Reserved.

    X エックス
    監督:キース・トーマス
    ハピネットファントム・スタジオ配給
    公開中

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