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    有償の洗車と無償の洗車の違いとは?

    【BSRweb独自連載】洗車で始める顧客獲得 第2話

    • #一般向け
    • #その他

    2022/07/15

    本荘興産・平井社長による「洗車で始める顧客獲得」の第2話。今回は有償の洗車と無償の洗車の違いについて解説します。
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     カーオーナーが休日の趣味としてやるのではなく、事業者が洗車をする場合、有償か無償かで大きく性質が分かれます。
     前者は主にガソリンスタンドでサービスメニューの一つとして提供されてきました。 1990年代に石油製品の輸入が自由化されて以降、ガソリンスタンドの間では競争が激化。人件費が抑制できるセルフ式スタンド(SS)が増えるとともに、多くの事業者がガソリンや燃料に代わる新たな収益源を求めるようになりました。

     この10年ほどは洗車やボデーコーティングの販売に力を入れています。単価の高いボデーコーティングを施工し、そのアフターメンテナンスとして洗車にも来てもらうというビジネススタイルを作っています。
     今や洗車は油外収益としてSSの柱の一つとなる事業であり、洗車用品が充実しているのはもちろん、技術者の育成、販売ツールや広告宣伝にも力が入れられています。
     収益を上げるからには、きちんと売れる魅力あるものにするため、設備や環境・人員にお金をかけるのは当然、という分かりやすい形です。

    多くのガソリンスタンドが洗車をメニュー化して販売している

     一方、無償の洗車はその真逆です。車検整備や鈑金塗装作業に付帯する作業するとして行われている場合、洗車そのものは売り物ではないため、道具や洗車の技術者育成に投資する発想がまず出てきません。 

     これは極端な例ですが、私が若かったころ売り込みに訪れた工場の6、7割は、ボロボロのバケツに謎の黒い液体が入っている状態で車を洗っていました。その謎の黒い液体とはカーシャンプーなのですが、前回使ったシャンプーをもったいないからと捨てずにとっておき、そこに水やシャンプーを継ぎ足して使っていると、まるで長期間熟成された「秘伝のタレ」のようになってしまいます。
     長年使い込んでたっぷりと汚れを含んだ黒い液体を、ボロボロになったスポンジに付けてゴシゴシと車をこすり洗いしている、というありさま。さらに、車をすすいだ水を拭き取る際、いつ洗濯したのやら分からないボロ雑巾で拭いているところもよく目にしました。

     ある日クレーム対応に出向いた工場でそのような光景を目にし、思わず「この雑巾で顔を拭けますか?」と尋ねたら、「こんな汚いボロで顔なんか拭けるわけないだろう」とおっしゃるので、「じゃあ、そんな汚いものでお客さんの大切な車を拭いているのはおかしくないですか?」と聞くと、腹を立ててどこかに行かれてしまいました。

    汚れが浮いたカーシャンプー、ボロボロのスポンジ、使い古した雑巾ではきれいにできるはずもなく……

     さすがに現代ではそこまでのことはないかもしれませんが、おまけとしてやっている洗車に対してお金をかけてはいられないという声は未だにあります。しかし、消費者視点からすれば、無償でやっている洗車だから適当でいいとは思わないはず。

     おまけだからこそ、ていねいに心を込めて洗った上で、本来の受注内容に加えて洗車の仕上がりまで説明して納車すれば、整備・修理前の傷んでいた愛車が見違えるようにきれいになった姿を見てさらに感動するはずです。
     その感動は次の整備・鈑金の受注につながりますし、すかさず洗車だけでも請け負っているとの案内をすれば「すごくきれいにしてもらったし、これならお金を払ってでも洗車してもらいたい」と思っていただくのも不可能ではありません。

     「そうは言ってもこれまでうちの工場では細かい接客なんてやってこなかったし、本当に洗車対応なんてできるかな?」と思った方。実はこれ、私の夢物語ではなく、すでに成功事例が多数あります。なぜ成功したのかは次回、業界の変化とともに語っていくことにしましょう。




    著者プロフィール



    平井新一(ひらいしんいち)
    株式会社本荘興産 代表取締役社長
    岡山県倉敷市出身 1974年生まれ

    大阪の音楽系専門学校を卒業後、北海道の美装専門店での現場修行を経て1999年に同社へ入社。営業担当として全国を飛び回る傍ら、国産カーメーカーの純正ボデーコーティングの企画・開発にも関わる。2014年より現職。
    近年は洗車ビジネスに関するセミナー講師やクライアント企業のブランディング・PRのサポートなどにも取り組んでいる。

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