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    スズキ、「エネルギー極小化に向けた技術戦略2024」を発表

    現行アルト比100kgの軽量化を目標に設定

    • #ニュース

    2024/08/10

     スズキは2024年7月17日、10年先を見据えた技術戦略「エネルギー極小化に向けた技術戦略2024」を発表した。その核となるのは以下の5項目。

    1.軽くて安全な車体
    2.バッテリーリーンなBEV(バッテリー式電気自動車)/HEV(ハイブリッド車)
    3.効率良いICE(内燃機関)、CNF(カーボンニュートラル燃料)技術
    4.SDV(ソフトウェアデファインドビークル)ライト(right)
    5.リサイクルしやすい易分解設計

     1.においては、先代8代目アルトで新世代の軽量プラットフォーム「ハーテクト」を初めて採用し、7代目比120kgの軽量化、空車重量620kgを実現。だが9代目現行アルトでは車重が再び増加し680kgとなっている。

     次世代10代目アルトでは、「ハーテクト」開発時と同様に、部門を問わず全社団結し、先入観を捨てて理論的な結果を重視し譲り合うことで、現行アルト比100kgの軽量化を実現する。

    スズキ・スズライトおよび歴代アルトの空車重量推移

     2.では、軽量プラットフォーム、小さく軽く高効率なe-axle、生活に合った合理的な走行距離を確保する小さな電池パックと、それによる短い充電時間、が具体策。

     スズキでは、非化石燃料の電気エネルギー25%普及の場合、ライフサイクルを通じてのエネルギー消費量が最も少ないのはHEV、75%普及の場合はBEVと試算。また日本とインドは欧州と比較して非化石燃料化が低めに推移すると予測している。

     これを受けて、「非化石エネルギーが普及し切るまではHEVがベストチョイス」と結論付けたスズキは、現行の2kWモーター・12Vマイルドハイブリッドシステムに対し、約10kWのモーター出力を確保できる48V「スーパーエネチャージ」を開発。次世代HEVの主力とする。

    「バッテリークリーンな電動車」の構成要素

     3.では、新型5代目スイフトに初めて搭載され、最大熱効率40%を達成した、Z12C型直列3気筒エンジンの高効率化技術を、軽自動車から小型車のエンジンまで水平展開。また、バイオガスやバイオエタノールといったカーボンニュートラル燃料を効率良く燃やす技術や、「スーパーエネチャージ」に適したエンジンの開発も行う。

    Z12C型エンジンの高効率化技術

     4.では、使い切れないほどの機能を実装するのではなく必要充分なものとし、ソフトウェア更新も有線と無線(OTA)のベストミックスを追求。また、ハードウェアを共有して部品費を抑え、ソフトウェアを再利用して開発費を抑える。

     ADAS(先進運転支援システム)については、「スズキにとって重要な市場であるインドでは、写真に示すとおり、過度の交通渋滞、日本人の我々にはなかなか理解が難しい運転通念があり、日本のものを簡単に横展開とはいかない」と説明。国ごとに異なる道路・運転事情を熟知し、それに適したものを提供する計画を示している。

    「SDVライト」の開発方針

     5.では、ライフサイクル全体を考えたサーキュラーエコノミーの観点で、回収システムの構築、樹脂の再資源化によるリサイクル、リサイクルしやすい易分解設計、再生材の利用促進、街灯への活用など現在実施中の電池リユースなどをさらに拡大。

     また、インドにおいては回収システムを構築し、解体から再資源化に向けた取り組みを始めていることを説明した。

    スズキが展開するサーキュラーエコノミーの概念図

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