JOURNAL 

    シネマエンドレス「サウンド・オブ・サイレンス」

    絶叫禁止 沈黙の恐怖体験、解禁

    • #その他

    2024/03/05

    あらすじ

     ニューヨークで歌手を目指しているエマは、オーディションに落ち続け自信を失っていた。そんな中、実家で暮らす父親が入院したという報せが入り、恋人のセバと一緒に故郷のイタリアへと向かう。父親は面会謝絶となっており、病院で居合わせた母親に理由を聞くが、急に暴れ出した父親から殺されそうになったと震えるばかりだった。その夜、実家に泊まることになったエマは、ガラクタ修理が趣味だった父親の隠し部屋で、古いラジオを見つける。すると、突然ラジオがひとりでに音楽を流し始める。不審に思いつつもスイッチを切るが、その瞬間何かの気配を感じ取る。エマがスイッチを入れて再び音楽が流れ始めると、“それ”は確実に目の前に現れた――。話してはいけない、音を立ててはいけないという極度の緊張感に包まれた静寂と戦慄の一夜が始まる。
     新進気鋭のイタリア人監督ユニットが放つ、息もできないほどの恐怖がすぐそこに。

    筆者の推しどころ

     2024年の1発目からホラー映画を紹介することになるとは……。改めて筆者はホラー、特に霊的なものが大変苦手である。それでもホラー映画を紹介する理由は、アイデアと見せ方がおもしろいからである。長年使い回された驚かせる、怖がらせるという表現をどう演出し、どのように工夫してくるのか、それを楽しむのである。
     では、音を出したら襲われる「クワイエット・プレイス」、電気が消える時だけ見える「ライト/オフ」と近年ホラーのいいとこ取りを実行した本作はどうなのか。……おもしろいじゃん。ホラーを観ていて久しぶりに怖くて声出しちゃったよ。また、徹頭徹尾、恐怖が続くわけではなく、“それ”がなぜ出てくるのか謎が分かると新しい一面が見えてくる変わった作品。本作は3人の監督が立ち上げた「T3」という映画製作ブランドの初の英語長編映画。現在のホラー総本山「ブラムハウス・プロダクションズ」に追いつくその日を期待したい。

    監督:アレッサンドロ・アントナチ、ダニエル・ラスカー、ステファノ・マンダラ
    配給:アルバトロス・フィルム
    公開中

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