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    R-1234yfを代替可能な高機能冷媒「R-474A」を参考出品【人とくるまのテクノロジー展2023横浜:ダイキン工業】

    GWP1未満ながら高い冷暖房能力を持つ混合冷媒。回収・交換スキームの確立が課題

    • #イベント

    2023/07/18

     2023年5月24~26日にパシフィコ横浜で開催された自動車技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展2023 YOKOHAMA」(主催:自動車技術会)で、ダイキン工業は開発中の次世代自動車用冷媒「R-474A」を参考出品した。

    ダイキン工業R-474A

     地球温暖化防止などの観点から冷媒への規制が各国で強化され、自動車用に関してはGWP(CO2を1とした地球温暖化係数)が1430のR-134aから、GWPが1未満のR-1234yfへの転換が進んでいる。

     だがR-1234yfに関しては開発元であるデュポン(現:ケマーズ)とハネウェルが多くの特許を保有しており、これがR-134aに対し非常に高価である原因の一つとなっている。また性能面では、低圧で沸点が比較的高いため、ヒートポンプで使用するには、外気温が低い条件での暖房性能に限界があるという。

     ダイキン工業が開発中のR-474Aは、R1132(E)を23%、R-1234yfを77%含有する微燃性の混合冷媒。R-1234と同様のエアコンシステムに使用可能で、GWP1未満を確保しながら、大気圧下での沸点をR-1234yfの-29℃に対し-43℃へダウン。

     冷凍能力はR-1234yfより高くR-774(=CO2)と同等以上、COP(成績係数。消費エネルギーに対する冷暖房能力)はR-744を上回る、としている。

    圧縮機カロリーメーター試験によるR-1234yf、R-474A、R-744の冷凍能力およびCOP比較グラフ

     そのため、「BEVにR-1234yfを使用すると夏場はキャビンの冷却だけで精一杯だが、R-474Aならキャビンと駆動用バッテリー両方の冷却に使用できる」(同社説明員)。従ってBEVの実用航続距離改善にも寄与する。

     また「義務化を背景に開発されたR-1234yfに対し、R-474Aは機能向上品のため、価格設定を高くできない」(同)という事情もあり、2027年予定とされている市販化の際には安価に入手可能となることも期待できそうだ。

     ただしR-474Aは混合冷媒で、「一度抜けると混合比率が変わるため全交換が必要となる」ため、「使用済みの冷媒をダイキンで全回収し、正しい比率の新品を提供する場合は、そのスキーム構築が必要」。

     もしくは「R1132(E)とR-1234yfの混合比率をセンシングしながら、個別のガスタンクから混ぜる量を調節できる、エアコンガスチェンジャーとそのセンサーの開発が必要となる」。

     ダイキンでは現在「その両面を検討中」とのこと。今後の推移を見守りたい。


    (文・写真=遠藤正賢 図=ダイキン工業)

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