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    【IAAE2024:経済産業省】BEVシフトに急ブレーキがかかる中で日本の自動車産業が生き残る道は?

    BEVの競争力強化と、既存のICEでの収益確保、両にらみの戦略が必要に

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    2024/03/20

     2023年3月5~7日に東京ビッグサイトで開催された、自動車アフターマーケット総合展示会「国際オートアフターマーケットEXPO(IAAE)2024」。

     セミナー「自動車業界を取り巻く環境変化への対応」には、経済産業省製造産業局自動車課の戸塚悠二課長補佐が登壇。自動車産業の近況と今後の見通し、特にグリーン化(GX)とデジタル化(DX)を踏まえた同省の取り組みについて講演した。

    経済産業省製造産業局自動車課の戸塚悠二課長補佐

     日本にとって自動車産業は、輸出額において全産業の17.6%に相当する約17兆円、雇用において同じく約1割に相当する約550万人を占める(いずれも2022年実績)など、「日本の経済・雇用を支えてきた屋台骨」に位置付けられる。

     2023年の販売台数においても、世界全体で約8770万台のうち、中国3005万台、北米1923万台、欧州1687万台、インド508万台に次いで、477万台の日本は5番目に大きな市場となっている。

     一方、これら大規模市場、特に日系カーメーカーのシェアが高く輸出台数も多い北米はもちろん、シェアが高いうえ現地生産台数も非常に多い、かつ今後の成長が見込まれる「ASEANも重要な市場であり、こういった市場の動向を踏まえて戦略をいかに組むかがポイントになる」(戸塚課長補佐)。

    主要市場における自動車販売台数と日系カーメーカーのシェア

     そうした中、欧州と中国を中心にBEV(バッテリー式電気自動車)シフトが進み、グローバルでのBEV販売台数は1006万台、販売比率は13%にまで増加。中でもテスラとBYDのシェアが大きいものの、日系カーメーカのBEVシェアはわずか3%にすぎない。だがBEV以外の車両に関しては日系カーメーカーが依然強く、販売台数7764万台におけるシェアは30%に達している。

     しかしながら、BEVシフトに向けた動きは、各国が補助金や優遇税制、規制強化などによる政策で市場を誘導していた面が大きいのが実情。近年は補助金・優遇税制の縮小・終了や規制強化の延期が相次いでおり、2024年のBEV新車販売台数は大幅な鈍化が見込まれている。

    主要市場におけるBEV販売台数の推移とBEVおよびICEのカーメーカー別シェア

     また、BEVの普及に伴い、駆動用バッテリーに必要な鉱物資源の価格が高騰した2022年には製造コストが上昇。さらにはリチウム、ニッケル、コバルト、黒鉛の精錬に関し、その多くを中国に依存しているという地政学的リスクもあり、今後もこれら鉱物資源の生産が追いつかず、「バッテリーのサプライチェーンに一抹の不安がある」と指摘した。

     こうした状況から、当面はBEVとICE(内燃機関車)が併存しながらBEVの市場が徐々に広がっていくと予測。「(日本は)BEVの競争力をしっかりと強化しながら、これまでに技術を蓄積してきたICEもまだまだ勝ち続けていくという、両にらみで取り組みを進めていく必要がある」ことを訴えている。

    駆動用バッテリーの荷重平均価格推移と関連材料精錬量に関する国別シェア

     その一方で、「CASE」(Connected、Autonomous、Shared、Electrified)技術の進化・普及に伴い、自動車産業においてもGXとDXが進展。自動車の作り方と使い方の概念が大きく変化し、産業構造の変化も起きている中で、「自動車の製造や販売に携わる皆様がしっかり対応していくことがこの動きをカバーするポイントになる」(戸塚課長補佐)。

     これを踏まえ経産省では、GXに向けてクリーンエネルギー自動車(CEV)購入補助金や充電インフラ補助金などによる電動化、FCトラック実装実験や東名阪を中心とした水素ステーション整備などによる水素活用の拡大、合成燃料の開発・商用化促進を柱として、様々な支援策を進めている。

     DXにおいても、特に自動運転技術について「高齢化や物流などでのドライバー不足といった大きな問題を解消する一つのツールになる」と、その社会的意義を強調。「技術的難易度は高く、様々な制度やインフラの整備、事業性の確保、社会受容性の向上が必要」としながらも、これらの課題解決に官民一体となって取り組むことの重要性を示し、講演を締めくくった。


    (文・写真=遠藤正賢/図=経済産業省)

    電気・水素・合成燃料の各分野に対する支援策の概要

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