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    2021年10月1日開始の「OBD点検」とは? 特定整備制度とOBD検査の実施で自動車整備はどう変わる?【IAAE2021セミナーレポート07:国土交通省自動車局整備課】

    特定整備制度、OBD点検、OBD検査、車検証の電子化……相次ぐ制度変更への早めの対応は必須に

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    2021/05/05

     3月17~19日にオンラインで開催された自動車アフターマーケットの総合展示会「IAAE2021 ONLINE Vol.1」で、総計43本が無料公開されたセミナー。

    「自動車整備・検査の高度化について」には、国土交通省自動車局整備課の高瀬竜児課長補佐(総括)が登壇。特定整備制度およびOBD検査(OBD車検)について講演した。

    国交省自動車局整備課の高瀬竜児氏

     現時点で実用化され普及フェーズに入っているADAS(先進運転支援システム)は数多く、特に衝突被害軽減ブレーキは2019年の新車搭載率が93.7%、ペダル踏み間違い急発進抑制装置は同83.8%に達している。

     その一方で、ADASに関連するシャシーやセンサー類、電装系の不具合を原因とした誤作動による事故も増加傾向にあり、これらを定期的に点検整備することの重要性が日に日に高まっている。しかしながら従来の法規では、こうしたADASや自動運転システムは法定点検や車検の対象となっていなかった。

    2019年5月道路運送車両法一部改正の概要

     そのため、保安基準対象装置への自動運行装置の追加、自動車の電子的な検査に必要な技術情報の管理に関する事務を行わせる法人の整理(=OBD検査の実施)、分解整備の範囲の拡大及び点検整備に必要な技術情報の提供の義務付け(=特定整備制度の制定)などを柱として、2019年5月に道路運送車両法の一部を改正している。これにより、

    1.自動運行装置の取り外しや作動に影響を及ぼすおそれがある整備・改造
    2.衝突被害軽減ブレーキ、レーンキープアシストの作動に影響を及ぼす整備・改造
    3.上記に関連するカメラ、レーダーなどが取り付けられている車体前部(バンパー、グリル)、窓ガラスの脱着

    を事業として行うには、これら「電子制御装置」の特定整備認証の取得が必要となった。

    電子制御装置整備の概要

     そして、点検基準の見直しも行われており、2021年10月1日より「OBD(車載式故障診断装置)の診断の結果」が追加。1年ごとに、電子制御装置のほかエンジンやブレーキ、ABS、エアバッグなどに不具合がないか、警告灯の点灯・点滅有無を目視で確認し、ある場合はスキャンツールなどで整備することが義務付けられることとなっている。

     なお、この「OBD(車載式故障診断装置)の診断の結果」について、高瀬氏は「OBD検査とは全く別物であり、こちらはOBD点検」と注釈した。

     また、電子制御装置の特定整備認証は、2021年1月時点で4870の事業場が取得しているが、「現時点では取得件数があまり伸びていない」。「今年10月に向けて申請が一定期間に集中すると、審査に相応の時間が必要になると想定されるため、充分に余裕を持って申請してほしい」と、整備事業者に向けて呼びかけている。

    点検基準への「OBD(車載式故障診断装置)の診断の結果」追加の概要

     続いて、2024年10月(輸入車は2025年10月)より開始予定のOBD検査について説明した。

     このOBD検査では、自動車メーカーから提供される故障コード読み出しに必要な技術情報や保安基準不適合の故障コードを、自動車技術総合機構(機構)が一元管理し、全国の車検場および整備工場に提供。車検場や整備工場が車検の際、専用アプリをインストールした法定スキャンツールで故障コードを車両から読み出し、機構のサーバーへ送信すると、同サーバーから合否判定の結果が戻される、というのが大まかな流れになっている。

     検査対象となる車両は2021年10月以降(輸入車は2022年10月以降)の新型の乗用車・バス・トラックで、対象装置は保安基準に規定があるADASや自動運転システム、排ガス関係装置とされている。

     現時点で特定整備制度およびOBD点検、OBD検査の実施に加え、車検証の電子化も同時に進行しており、自動車整備に関わる制度が矢継ぎ早に大きく変わろうとしている。これらの実施に遅れることなく対応するには早めの準備と手続が不可欠であることを示唆する講演となった。


    (文=遠藤正賢/写真=IAAE運営事務局/図=国土交通省)

    OBD検査の概要

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