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    シネマエンドレス「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」

    〈次世代のタランティーノ〉が放つ、 ポップで、ダークなおとぎ話

    • #その他

    2023/11/21

    あらすじ

     少女の名前はモナ・リザ。だけど、決して微笑まない。12年もの間、精神病院に隔離されていたが、赤い満月の夜、突如“他人を操る”特殊能力に目覚める。

    自由と冒険を求めて施設から逃げ出した彼女が辿り着いたのは、サイケデリックな音楽が鳴り響く、刺激と快楽の街ニューオーリンズ。

    そこでワケありの人生を送ってきた様々な人々と出会ったモナ・リザは、自らのパワーを発揮し始める。いったい彼女は何者なのか。まるで月に導かれるように、モナ・リザが切り開く新たな世界とは──?

     監督は2014年に長編映画監督デビュー作『ザ・ヴァンパイア ~残酷な牙を持つ少女~』が世界で絶賛され、「次世代のタランティーノ」と大注目されたアナ・リリ・アミリプール。主役のモナ・リザ役はハリウッドデ
    ビューとなる韓国人俳優チョン・ジョンソ。モナ・リザをある計画に引き込むポールダンサー役を名俳優ケイト・ハドソンが熱演。

    © Institution of Production, LLC

    筆者の推しどころ

     何とも不思議な作品じゃないか。スタートからラストまでまったく予想できないストーリー、一つひとつがスタイリッシュな映像、ニューオーリンズのネオンが怪しく光る街並み、そんな中で人を操れる能力を持つモナ・リザがどのように自由を手に入れるのか。展開が読めないからこそ夢中になり、気付けばエンドロール。

    「え、ここで終わり!?」と続編への期待が否が応にも高まってしまう。

    ニューオーリンズを舞台に、夜の歌舞伎町のように雑多で治安の悪い世界で懸命に生きる女性の姿が印象的。

    音楽もこだわっており、ケイト・ハドソンが演じるポールダンサーの息子役の男の子がブラックサバスのTシャツにメタリカのリュック。でもBGMは良質なディープハウスやダブステップ多めで久しぶりにサントラがほしくなるようなサブカル強めの作品。

     ちなみに「紹介する作品はだいたい人が死ぬ」と言われる本コーナーだが、珍しく誰も死なない作品である。

    どれだけ心が荒んでいるのか改めて感じてしまった。

    監督・脚本:アナ・リリ・アミリプール
    キノフィルムズ配給
    公開中

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