JOURNAL 

    シネマエンドレス「異人たち」

    名作邦画「異人たちの夏」を大胆に美しくリメイク

    • #その他

    2024/04/09

    あらすじ

     ロンドンのタワーマンションで暮らすアダムは40歳代の脚本家で、12歳の時に交通事故で両親を亡くしている。それ以来、孤独な人生を歩んできた彼は、在りし日の両親の思い出に基づく脚本に取り組んでいる。そして幼少期を過ごした郊外の家を訪ねると、そこには30年前に他界した父と母が当時のままの姿で住んでいた。大きくなった息子の来訪を歓迎する両親と、それに甘えるアダム。それからアダムは足繁く実家に通って心満たされるひとときに浸る一方、同じマンションの住人である謎めいた青年ハリーと恋に落ちていく。しかし、その夢のような愛おしい日々は永遠には続かなかった……。
     1988年に劇場公開された山田太一原作、大林宣彦監督による「異人たちとの夏」を「さざなみ」、「荒野にて」のアンドリュー・ヘイ監督が大胆にリメイク。35mmフィルムの映像美と様々な愛の形のありように観る者の記憶と郷愁が呼び覚まされる。

    筆者の推しどころ

     筆者がVHSで持っていたほど好きだった「異人たちとの夏」。風間杜夫が亡くなった両親(片岡鶴太郎、秋吉久美子)に出会う物語と言えば思い出す中年以上の読者はいるだろう。そんな不朽の名作がイギリスでリメイク。一番の衝撃は主人公が性的マイノリティーに変わっていること。名脚本家としてドラマでは一字一句変えないことで有名だった山田太一が完成作品を観て納得しただけあり、リメイクの枠を超えた新しい作品となった。両親へのカミングアウト、それを認めてくれた両親とのパーティーシーンで流れるペットショップボーイズのAlways on My Mindの歌詞に目頭が熱くなる。また、死者である両親、愛する相手と過ごす何も起きない穏やかでやさしい日々が徐々に不穏な空気に包まれることを感じさせる美麗な映像美も注目。ちなみに劇中でアダムが訪れる実家はアンドリュー・へイ監督が幼少期に実際に住んでいた家らしい。様々な形の愛に胸が掴まれる今の時代に観るべき1本。

    監督:アンドリュー・へイ
    配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
    公開中

    ログインして コメントを書き込む
    コメント入力者
    •  
    • ※こちらのお名前がウェブサイトに掲載されます。

    コメント

    投稿する