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2023年1月の車検証電子化で自動車の各種手続とアフターサービスはどう変わる?【IAAE2022セミナーレポート02:国土交通省自動車局自動車情報課】
電子車検証の券面に記載されない情報は「車検証情報閲覧サービス」アプリで閲覧可能に。電子車検証発行時に車両IDを付与
2022/03/10
2022年3月9~11日の日程で東京ビッグサイトにて開催中の、自動車アフターマーケット総合展示会「国際オートアフターマーケットEXPO2022」で、総計39本が公開予定のセミナープログラム。
「自動車検査証の電子化について」には、国土交通省自動車局自動車情報課の鈴木充生専門官が登壇。車検証電子化に向けた同省の取り組みについて講演した。
車検証電子化を推進する狙いは、継続検査OSS(ワンストップサービス)を導入してもなお残る、車検証を受け取るために運輸支局などへ行く必要がある現状を解消することにある。その手段として、車検証をICカード化するとともに、「記録等事務代行制度」を創設することが、2019年5月24日の道路運送車両法改正によって決定された。また昨今は、行政手続における電子化と押印廃止の方針を受けて、OSSのさらなる普及拡大が図られている。
なお、「記録等事務代行制度」においては、整備事業者が継続検査OSS申請を行い、審査が完了すると、整備事業者は更新可能通知が運輸支局などから通知され、車検証ICタグの更新と検査標章の印刷が可能になる。これによって、運輸支局などへの来訪が不要になる、という流れだ。
国交省自動車局自動車情報課の鈴木充生氏
券面に記載されずデータにのみ記録される内容は、「車検証情報閲覧サービス」アプリで車検証右下に記載されるセキュリティコードを入力し、ICタグを読み取ると、閲覧が可能となる。なお、リコール情報や、けん引車など備考欄に記録すべき情報が多くICカードに収まりきらない車両の車検証情報については、オンラインで全ての情報が確認できる仕様となる見込みだ。
「車検証情報閲覧サービス」アプリの概要
今後の予定としては、2022年3月末にパブリックコメントを実施し、5月に関係省令・通達を掲出。記録等事務代行システムの実証実験を9月に実施し、2023年1月より登録車において電子車検証を導入。軽自動車についても2024年1月に車検証を電子化するする計画となっている。
車検証電子化に向けた今後のスケジュール
また、電子車検証の空き容量をどう活用するかについては、2018年9月に立ち上げ2020年6月に報告書を公表した「自動車検査証の電子化に関する検討会」以後も検討が続いている。
なお、車検証電子化にあたっては、新車は新規登録検査、既販車は継続検査の際などに電子車検証を発行する時点で、英数字14桁の車両IDを付与。この車両IDはその車両のライフサイクルを通じて変わらないため、ナンバーや所有者が変わっても車両の識別が容易になり、様々な活用が見込まれるとしている。
続いて、自動車検査登録手続のデジタル化について説明。一例として、支払窓口業務のキャッシュレス化、車検証更新手続のドライブスルー化、PC・スマートフォン画面での申請書作成やチャットボットによる問い合わせ対応、手続進捗状況の見える化、OSSにおけるマイナンバーカードの活用による住民票取得の省略などを推進する計画を紹介した。
整備・修理工場にとって、カーオーナーの車両を運転中の事故防止や業務効率化はもちろん、昨今のコロナ禍中においては感染防止の観点からも、車検証電子化への対応を通じたOSSの積極的活用は重要度がより一層高まっている。そのような状況下で2023年1月の車検証電子化まで残す所1年を切った今、制度の具体像が固まりつつあることがうかがえる講演となった。
(文・写真=遠藤正賢/図=国土交通省)
電子車検証発行時に付与される車両IDの概要
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