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　3月17～19日にオンラインで開催された自動車アフターマーケットの総合展示会「IAAE2021 ONLINE Vol.1」で、総計43本が無料公開されたセミナー。

「HPが頼れる営業スタッフに変身！　閲覧数が10倍以上、ネット予約年間4,000件まで伸びた秘訣を大公開！」には、香川県内を中心にセルフガソリンスタンド24軒のほか整備工場「ラチェットモンキー」3軒を運営するヤマウチ（本社：香川県高松市、岡本将社長）のカーメンテナンスシステム開発部シニアマネージャー・人見いづみ氏が登壇。

　現場たたき上げの27年選手という人見氏が実践してきた、ラチェットモンキーへのweb集客の実例に加え、自社開発のweb入庫予約システム「とっとこ」についても講演した。

ラチェットモンキーwebサイトへの訪問数と反応数の推移

　web集客に取り組む以前の2013年度は、年間総入庫台数が約3万台、車検入庫台数が約6千台なのに対し、同社サイトへの訪問数は6,409件、反応数（入庫予約および問い合わせの件数）は131件に留まった。それを契機にweb集客を開始しようと様々な専門業者に相談するも、「横文字の専門用語だらけで何を言っているのか理解できず、でも皆さんおっしゃることは一緒で『お金をかけなさい』ばかり」だった。

　そこで、web集客と密接な関わりのある検索エンジンの仕組みや、PPC（Pay Per View。クリック課金型）広告とSEO（Search Engine Optimization。検索エンジン対策）との違いなどについて学んだところ、「閲覧数ではなく反応数を増やしたいことに気付いた」。その後webマーケティングセミナーで情報収集しつつ、希望通りにweb集客をサポートしてくれるパートナー企業を探し当て、2014年度より本格的に取り組みを開始した。

　スマートフォン対応や「Google Analytics」の準備、ランディングページ（主力商品専用ページ）制作や導線改善など、SEOに注力したところ、徐々にユーザー数は増加。そして「web集客は店頭集客と一緒。お客様が欲している情報以外には反応してくれない」ことに気付き、リアル店舗でも同様のテイストで情報発信しはじめた結果、訪問数は前年度比約6倍、反応数は10倍以上に増加している。

ランディングページ作成のビフォーアフター

　そして2015～16年度に自社開発のweb入庫予約システム「とっとこ」を実装したところ、ネットでの入庫予約は約8％増加し、うち約4割が新規客。車検入庫台数に関しては約12％増加したうえ、その約6割がネット予約となったため、電話本数が激減しフロントスタッフの負担が激減したうえ、入庫台数の平準化も図れるようになった。

web入庫予約システム「とっとこ」。各社整備システムと連携可能

　2017年度からはPPC広告も4万円／月を上限として開始すると、訪問数と反応数はさらに増加。そこで2018年度からはDMやチラシなど紙媒体の広告を減らしてみると、訪問数と反応数は減少に転じてしまう。翌2019年度はPPC広告予算を10万円／月に増加するも、訪問数と反応数は微増に留まった。

　そこで原点に立ち返り、2020年度からはガソリンスタンドでのイベントチラシを活用するほか、テレコールセンターを内製化するなど、主にリアル店舗での集客を見直している。

　最後に人見氏は「私たちのビジネスはネット通販ではない。webで集客しても、必ず店頭に来ていただかなければ商品の提供自体ができない。当然お客様はwebの世界と店舗があるリアルの世界を行き来する。ネットとリアルを切り分けるのではなく、リアルの延長にネットがあることを理解し、私たちが店頭で行っているサービス提供をそのままwebの世界でも展開すれば良い」と呼びかけ、講演を締めくくった。

（文＝遠藤正賢／写真・図＝ヤマウチ）

ネット予約・店舗予約件数およびネット予約比率の推移