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    【IAAE2021セミナーレポート01:PSA/トヨタ/フジツボ】自動車&部品メーカーも補修部品ビジネスに本腰! その理由は…?

    所有・使用年数の長期化に伴い中~低年式車・旧車向け部品のニーズが増大

    • #イベント

    2021/04/01

     自動車アフターマーケットの総合展示会「国際オートアフターマーケットEXPO」は、コロナ禍の影響で2020年は事実上中止。2021年はオンラインのみとなったものの、3月17~19日に開催された「IAAE2021 ONLINE Vol.1」では、43本のセミナーがいずれも聴講無料・人数制限なしで公開された。その中からピックアップしレポートをお届けする。

    「[第5回]自動車補修部品ビジネスフォーラム 多様化する補修部品~旧車パーツ・ジェネリックパーツの新しい潮流~」には、Group PSA Japanパーツ・サービス部アフターセールスプロモーション・グループマネージャーの富岡久氏、トヨタ自動車GAZOO Racing Company GRヘリテージパーツプロジェクト担当の結城貴虎氏、藤壺技研工業営業企画部特販事業室取締役室長の小島保彦氏が登壇。各社の取り組みと近況を紹介した。

    (左より)Group PSA Japanの富岡久氏、トヨタ自動車の結城貴虎氏、藤壺技研工業の小島保彦氏

     PSAは2002年に整備・修理業者向けジェネリックパーツ「ユーロレパー(EUROREPAR)」のプロジェクトを発足させ、翌2003年より本国フランスで販売開始。2013年からは日本にも導入し、順次取扱品目を拡大している。

     その大きな特徴は、純正部品より安価ながら品質は同等、かつ2年間の保証が付与されていること。また欧州などでは、PSA傘下にあるプジョー、シトロエン、DS、オペル、ヴォグゾールの車両のみならず他社主要ブランドもカバーしており、サービスショップ網「ユーロレパーカーサービス」も展開中だ。

     PSAの富岡氏は「車の維持費は車齢が進むほど上がる傾向にあるが、カーオーナーは少しでも維持費を抑えたい。そんなニーズに応えるべく、車齢5~10年の車両を中心に幅広くカバーしている」とその意義を述べ、2021年内にバッテリーの取り扱いを開始するのを機に、日本でも他ブランド車に対応し、卸売も行っていく計画を明らかにしている。

    「ユーロレパーカーサービス」店舗イメージ

     これに対し、トヨタが展開する「GRヘリテージパーツプロジェクト」は、より低年式かつ残存率が高いスポーツカーの、廃版となった部品の復刻が中心となっている。

     2019年5月の現行スープラ国内発表時に発足を公表した同プロジェクトは、カーオーナーや専門ショップのニーズを把握したうえで、2020年春よりA70・80系スープラ用補修部品の復刻を開始。同年7月には2000GT用5速MT関連部品の注文受付も開始した。

     比較的新しいA80系スープラでもデビューは1993年。A70系スープラは1986年、2000GTに至っては1967年と設計年次が古いため、部品を生産するための型はもちろん図面データが存在しないものも多いという。また同社が推測する世界残存台数はA80が1万3000台、A70が2万3000台、2000GTが300台と、絶対的な数は少ない。

     従って部品単価も高額な傾向にあるが、販売は順調に推移。2020年7月に35品番を発売して以降の売上は国内1000万円、海外150万円に達している。

     トヨタの結城氏は「CASEが進展すれば車のコモディティ化が進むと言われているが、“愛車”は残り続ける。その“愛車”に長く乗っていただけるよう、補修部品をニーズに応じて供給し、3Dプリンターの活用も検討しながら車種・品目を拡大していきたい」と今後の展望を述べた。

    A70・80系スープラ用「GRヘリテージパーツ」

     では、マフラーやエキゾーストマニフォールドなど排気系を専門とする部品メーカーのフジツボはどうか。同社には「純正部品が手に入らず、メンテナンスが難しくなってきた」「愛車に長く乗りたいが、今後の車検が心配」「オーダーメイドでマフラーを作ってほしい」といったカーオーナーからの声が多く寄せられている。

     そのため同社は、旧車向けマフラー・エキゾーストマニフォールドのラインアップを拡充。現在マフラーは約120製品、エキゾーストマニフォールドは約30製品を設定している。

     結果、販売トップ30のうち7製品が1990年代以前に発売された旧車向けとなりかつ旧車向け製品の年間販売本数は直近で2136本、売上額は1億2520万円を記録した。

     また、オーダーメイドマフラー「BeSpoke(ビスポーク)」を展開しているが、現時点で納期が3年待ちで、新規受付を一時停止しているというほどの好調ぶりだ。

    フジツボ製スポーツマフラーおよびエキゾーストマニフォールド

     このように、所有・使用年数の長期化に伴い、中~低年式車や旧車向け自動車補修部品のニーズが増大。自動車メーカーやTier1の部品メーカーが自ら積極的に参入し、市場の規模も裾野も着実に拡大し続けている。低年式車オーナーの入庫が多い整備・修理工場は特に、こうした市場環境の変化に対応し、カーオーナーへ的確に提案できるよう備えておく必要があるだろう。

    (文=遠藤正賢/写真=IAAE運営事務局、ステランティス、遠藤正賢)

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