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【IAAE2026:国土交通省】さらなる自動車整備技術の高度化と人材不足にどう対応する?
「育成就労制度」の業務区分に「鈑金塗装」追加予定の方針を明言
2026/03/12
2026年2月12~14日に東京ビッグサイトで開催された、自動車アフターマーケット総合展示会「国際オートアフターマーケットEXPO(IAAE)2026」。
セミナー「高度化する自動車整備の及び整備人材の確保にむけた取り組み」には、国土交通省物流・自動車局自動車整備課の久保巧課長補佐が登壇。自動車整備業界の現状を踏まえた国交省の政策について講演した。
セミナー「高度化する自動車整備の及び整備人材の確保にむけた取り組み」の様子
ADAS(先進運転支援システム)や電動化技術などの進化・普及に伴い、自動車の整備技術は日進月歩で高度化。とりわけADASや電動パワートレインなどは外観確認や従来の測定器では故障の特定が困難になっている。
国交省はこうした状況を踏まえ、
- 自動車メーカーが作成する整備作業マニュアルなどの技術情報
- 車載コンピューターを診断するスキャンツール
- これらを扱う自動車整備士の知識・能力
の確保を重視。2020年4月より自動車特定整備制度、2024年10月(輸入車は2025年10月)よりOBD検査を開始するなど、法制度の改定や支援策の拡充を推し進めている。
しかし、2021年1月にUN-155(国際連合・サイバーセキュリティシステムに係る協定規則)が発効したことを契機に、セキュリティゲートウェイ(SGW)が各車両に搭載。スキャンツールを用いて車載各ECUへアクセスする際、カーメーカーのサーバーを通じたスキャンツール使用者の認証や、暗号鍵を用いた作業管理などが求められるため、専業・兼業整備工場が主に使用する汎用スキャンツールでは車載ECUにアクセスできず実施できない作業が増大している。
サイバーセキュリティ強化が自動車整備に与えている影響の概要
その結果、自動車メーカーが開発しディーラーが主に使用する純正スキャンツールでなければ対応できない作業も増大。しかし、全国約9万2000軒の認証整備工場のうち、ディーラーは約1万6000軒、全体の約35%にすぎず、専業・兼業工場がディーラーにこれら作業を依頼してもディーラーが対応しきれないケースが増えているのが実情だ。
ディーラーと専業・兼業工場の現状
こうしたことから国交省は、専業・兼業工場が純正スキャンツールを購入・レンタルしやすい環境を整えることに加え、汎用スキャンツールの機能向上を図る方針を決定。とりわけ後者については自動車メーカーのサイバーセキュリティにも対応させるべく、制度設計を進めている。
スキャンツールの機能向上策
整備人材の確保については、自動車整備士を目指す若者が、過去20年間で半減。自動車整備要員の有効求人倍率は2024年度時点で5.09倍に達しており、平均年齢も同じく47.4歳に達している。
自動車整備学校入学者数の推移、自動車整備要員の有効求人倍率・平均年齢
これらの状況を受け、人材の募集・定着・育成に向けた取り組みを推進。2025年度には「自動車整備士等の働きやすい・働きがいのある職場づくりに向けたガイドライン」を同年6月に改訂したほか、10~11月に開催された「ジャパンモビリティショー2025」に出展し整備士体験ブースを展開した(詳細はこちら)。
外国人材受け入れ拡大に関しては、2027年度の「育成就労制度」開始に向けて業務区分の見直しを進めており、「鈑金塗装」を追加予定であることも明言している。
自動車整備業における外国人材受け入れ状況
最後に、個々の整備工場の生産性向上を図る取り組みを紹介した。
2023年1月より車検証を電子化して指定工場が運輸支局などへ出頭するのを不要としたほか、2025年4月より車検の受検可能期間を従来の有効期限前1ヵ月以内から2ヵ月以内へ拡大し、3月に集中している車検関連作業を平準化。
車検受検可能期間拡大の概要
また、同年7月に発表した、
- 認証工場の機器要件の見直し
- 指定工場(大型)の最低工員数の緩和
- 自動車整備士資格の実務経験年数の短縮
- 「電子」点検整備記録簿の解禁
- 整備主任者などのオンライン研修・講習の解禁
- スキャンツール等による点検可能範囲の拡大
といった、整備事業規制のアップデートについても紹介(詳細はこちら)。
「これらの制度改正はここ1~2年で行われたものだが、当然これで終わりではない。皆さんの声を聴きながら、我々政府もしっかり見直していきたい」と述べ、講演を終了した。
(文・写真=遠藤正賢 図=国土交通省)