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ビッグ 代表取締役 上田 隆啓氏
── 省力化を創造する──コストではなくコストパフォーマンスの高い製品開発に挑み続ける
2021/12/27
2021年で創業40周年を迎えたビッグ(大阪府岸和田市)の代表取締役に上田隆啓氏が就任。
固定観念にとらわれず、カーアフターマーケットに次々とアイデア製品を送り出してきた同社。就任の抱負とともに、今後の取り組みについて聞いた。
代表取締役 上田 隆啓氏
──就任の抱負を
今年でちょうど入社20年の節目を迎える。学生時代から現在に至るまで培ってきた整備や工業技術などの専門知識を活かし、より一層会社へ貢献するとともに、固定観念にとらわれない企業へと成長させていきたい。
近年、カーアフターマーケットで製品に求められるものは多様化している。作業性の高さや価格はもちろんのこと、作業者の安全面や環境への配慮が一層求められている。また、新型コロナウイルス感染症のような突発的かつ長期的な販売機会の減少要因も、販売側は想定しなくてはいけない。従来のような展示会や同行営業以外にも、製品をPRする新たな取り組みを積極的に展開する必要がある。
そのためにはユーザーが今何を求めているか、そして今後何を必要としていくかを正確に把握し、魅力ある製品を継続的に発信しなくてはいけない。常にアンテナを高くし、市場動向だけでなく現場や技術に直接触れることが大切だと認識している。
──カーアフターマーケット向けの製品の開発時に心掛けていることは
前社長の理念でもあり会社方針としても掲げている、「省力化を創造する」ことで、より便利で高品質な製品の提供を意識している。
効率良く生産ができる体制を各工場が構築できるよう、その根幹となる省力化が促進されるものを目指す。そして人手不足に悩む工場にも、しっかりと生産性向上までつなぐ結節点として機能する製品の開発を心掛けている。
──現場の声を開発に活かした実例や他に意識していることは
生産性の観点だけではなく、ユーザーサービスの面から開発をすることも多い。たとえばNEWタッチアップボトルは、顧客に納車する際に、塗装時に使用した塗料を筆付き容器に入れて渡せる製品。容器のフタに塗装用の筆が付いているため、愛車に付いた小傷を自身でタッチアップすることができる。
もう一つ重視しているのが独自性。ニーズが多様化する中で、ユーザーは何万点という市場にある製品の中から自分の求めるものを選ぶ。その中で選ばれ続けるためには、他社の製品にはない特徴が必要である。それは価格の安さや品質の高さの場合もあるが、売れ筋製品に共通しているのはコストパフォーマンスの高さだと考えている。
現場で技術者が日々作業する中で、ふと思うイメージや考えつくアイデアを形にする。現場で毎日触るからこそ感じる、ツールなどに対する不満やこうだったらいいなという要望がある。そういった漠然としたものを顧客のニーズとして明確にして、市場に流通させるイメージコンセプトとして落とし込み、開発に活かしていく。だからこそ真に作業にフィットした、効率の良い製品が生み出せる。 あったらいいなを製品として昇華させ、現場の作業効率改善に貢献し続けたい。
NEWタッチアップボトル(左)と黄金塗膜(右)はともにユーザーの声を製品にしたもの。発売から現在に至るまで根強い人気を誇る
──コロナ禍を経た変化や新たな取り組みは
コロナ禍による影響を大きく受けたのは、展示会の中止や塗料販売店との同行営業の制限により現場のユーザーの生きた声が聞けなくなったこと。加えて、実演によりユーザーが製品を実際に手に取って触れる機会が減った。広告やカタログだけでは良さを伝えきれない製品でも、ユーザーの前で実演すると購入に至るケースはよくある。改めて、展示会などのユーザーと販売側をつなぐ場の重要性を認識した。しかし同時に、今後同じような状況に陥った時どのように対応していくべきかを考えさせられる期間でもあった。
現在、新たな製品PRの取り組みとして、自社Webサイトの大幅なリニューアルを考えている。まずはどのような製品があるのかをユーザーが携帯やタブレット端末などですぐに確認できるようにする。また、カタログのダウンロードや動画での製品紹介を組み合わせることで、展示会などに実際に足を運べない人でも製品の特徴や使い方が分かるようにしたい。
──今後どのように事業を拡大していくのか
現時点で300点以上の製品を開発してきたが、これからも引き続き増やしていくつもりである。
カーアフターマーケットを取り巻く環境は大きな変化を遂げている。その中で進化する自動車に対応した、整備や鈑金塗装作業への支援ができるようにしていく。現在開発中の製品もその観点からブラッシュアップを図っている。
今後もオリジナル製品を増やし、社名に負けないよう大きく広く、現場のニーズを拾い上げ、製品開発とともに販路拡大にも努めていきたい。マスクを外し、笑顔で皆さんをお迎えできる展示会に、1日でも早く出展できることを楽しみにしている。
笑顔でインタビューに応じる上田社長
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