JOURNAL 

    ★対談企画★鈑金・整備業界の人材【株式会社サクラボ様】その1

    株式会社サクラボ菊池氏+BSRweb編集長石本

    • #インタビュー
    • #トピックス
    • #その他

    2023/10/13

    【サクラボ菊池】
    株式会社サクラボと申します。宮城県仙台市で2008年に起業した会社でございます。約十年前から自動車業界の方に力を入れさせていただいて、自動車業界の採用webを活用した採用周りに力を入れております。約十年前にクラッチ求人という業界特化型の求人サイト立ち上げまして、その他カンパネルという首都圏がメインになるんですけど、人材紹介、派遣、自動車整備士に特化した人材紹介派遣を展開しております。元々我々がウェブの制作であったり、SEO対策の会社として立ち上がっておりますので、その辺りのノウハウを活用して、webで人を集める媒体、ウェブサイトの制作も、展開しております。
    主にクラッチ求人という自動車業界特化型のメディアを運営しています。
    月刊の閲覧者数が大体4.7万人で、閲覧者の有資格者がだいたい80%弱ぐらい。有資格の現在会員登録は約3000人です。
    ご利用いただいている企業様、ご登録いただいている企業様が約千社になります
    ご登録いただいている求人サイトとなっております。

    株式会社サクラボHP



    【プロトリオス石本】
    現在の自動車整備の人材不足について、いろいろお話もお聞かせいただいたんですけども、改めてその原因について。

    【サクラボ菊池】
    自動車整備士の人材不足っていうところで、まあ皆様方重々ご体感いただいているところだと思うんですけれども、やはり今自動車整備士がかなり不足していまして、時系列でお話しすると約20年ぐらい前、学生のなりたい職業の10位以内に自動車整備士はランクインしていたんですが、15年前くらいから子供のなりたい職業にはもうランクインして来なくなったっていうのがあります。まあ理由としても単純によく言われる「若者の車離れ」っていうのも勿論あると思うんですけど、まあ車以外に興味がある、楽しいものが増えてきたっていう背景もあると思うんです。そもそも日本全体がやはり人口も減っているということもあって、やはり自動車整備士のそもそものなり手が減ってきているという現状がございます。
    実際、自動車整備士の専門学校の入学者も年々減ってきている。
    かつ、専門学校の中の、外国人留学生のかたが在校生として占める割合も増えてきていて、多くの整備学校さんの定員の7割8割ぐらいを占めてきているのではと。
    でかつ入学される方の3割は留学生で多い。専門学校だと半分ぐらい留学生とか。
    整備学校さんによっては一クラス全員留学生のクラスがあるとかも聞きます。
    まずそもそも資格を取って整備士になる方が減ってきているっていうのも整備士不足の一つかなと思っております。
    自動車整備を志す方、整備士になりたい方というのは基本的にモノづくりとか、車が好きとか、2輪のバイクが好きっていう方が多いかと思うんですけど、先程お伝えしたように年々減少している。何かを作るとかっていう仕事自体は増えてきているので、それこそ昔はこう車を作るとかあったんですけど、今はもうプログラムでモノを作るという感覚。そちらにきっと人は流れていっているんだろうなと感じます。「ものづくり」っていう観点で言いますと。

    【プロトリオス石本】
    なるほど。

    【サクラボ菊池】
    自動車整備士さんはやはりその辺も含めて減ってきていて、あとは業界自体の課題でもあるんですけど、やはり給料面にも、費用面にも問題があります。
    整備士専門学校で整備士資格を取ろうとするとたぶん1年で100万円以上の学費がかかり、二級整備士目指すと2年間の負担になります。
    通う形になって、その後就職するディーラーさんもそうですし、
    民間の整備工場さんもやはり日本全体で見ると平均賃金低い部類に入ってしまっている。
    そのあたりでやはり敬遠されがちになる。地方だと特に敬遠される。
    愛知とか、まあ我々のいる宮城もそうですけど、自動車製造工場の組立工のほうが、賃金が高いという現象が起きているのが現状です。整備士より給料が高い。

    【プロトリオス石本】
    ええ?

    【サクラボ菊池】
    意外と製造業の方が自動車整備士よりも月給面が良かったりとかするんですね。
    というのもあり、そもそも車が好きだったりする方も、何か物を作りたいっていう思いが違う業界に目が移り、他業種への選択につながったしまう
    昔は車への憧れとか、何かをいじるとなった時にクルマっていうのが浮かぶ方が多かったと思うんですけど、やはりいろいろな選択肢が増えてきているので、人が流れていってしまう部分はあると思います。
    これまで申し上げたところが、まず「入り口の部分」で整備士人材不足の原因の一つかなと思います。待遇面も含めてですけども。

    【プロトリオス石本】
    なるほど。

    【サクラボ菊池】
    自動車整備士として勤められたあとも特にディーラーさんとかだと土日祝日は基本的に動く形になるので、家庭ができた時に、土日のどちらかを休みたいなという問題で転職を考えるというケースはあります。
    最近は減ってきてはいますが、整備士の方はある程度経験年数重ねていくと、フロントへのジョブチェンジ、営業へのジョブチェンジっていうのが起こります。
    昔は一般的な流れだったので、そのタイミングで整備をしたいのに営業になるなら、もう会社を辞めて転職という流れもいまだにあります。
    このタイミングで、違う業界に行ってしまう。転職を考えているうちに、待遇いい業界を目の当たりにしてしまう。最近よくあるのが運送系への転職ですね。
    転職される方も増えているので、整備士の方に限らず、おそらくどの会社も30から40歳ぐらいがちょっと手薄になっている傾向はあるのですが。
    本当に色々な要素が交わっているのですけど、やはり自動車整備士、特に有資格の方はそもそもの人数が減ってきているっていうのも問題としてありますね。
    それを裏付けるデータとして、在職者の平均年齢も、年々しっかり上がってきています。多分46歳ぐらいが整備士の平均年齢でこの10年、15年ぐらいで10歳近くだが上がってきているので。それはそのまま、若い方が入ってこないという証左でもあります。
    どの会社も今後の企業運営を考えた時に、新陳代謝じゃないですけど、若手を入れていかないと、職場で高齢化が進んでいる整備工場が非常に増えています。

    【プロトリオス石本】
    そうですね。サクラボ様は求人サイトの方と、人材紹介に力を入れられていると思うんですけれども、最近の転職の傾向についてお聞かせください。ディーラーに転職したいという人、ディーラーを辞めて自分のペースでできる整備工場、それ以外に転職も含めて。

    【サクラボ菊池】
    そうですね。やっぱりディーラーで務められている方、特に専門学校出られた方の大半は、最初の就職先はディーラーさんを選択されますよね。
    ディーラーにいかれるんですけど、実際、作業面で考えると、アッセンブリー交換もしくは車検点検がメインという感じで、本来自分がやりたかった整備とかけ離れてしまっているケースは見受けられます。
    モータースさんとかなんかそういったエッジの効いた特定の車種、スポーツカーの車種を特定に扱っているところへはちょくちょくある。それこそハイエース専門とか、あとランドクルーザー専門とか、アメ車・輸入車のカスタム屋さん。
    他にやっぱり動きやすいっていうのがありますね。
    なんかこう、本来やりたかったものづくりに近いようなところにも惹かれるケースと、あとはやはりディーラーさんって土日もほぼ100%に動いていらっしゃるので。
    そこがネックな方は、大型整備だったりとか建設機械とか。重機周りの整備って結構土日休み日祝休みっていう企業さんが多い。法人相手にされているケースが多いので。
    ってなると、こう。取引先さんがよく休む土日は工場も休んでるとかあるので。
    するとそういったところに転職される方がやはり多いですかね。逆にこう。民間のモータースさんからディーラーさんとか。
    モータースさんを辞められる方で、主な理由としては、これもちょっと偏見(私見)が入りますが、もともと専門学校から入られる場合は、できればディーラーに行きたかった人たちが結構多くて、ディーラーに受からなくて、モータースさんに入るケースとか。
    やっぱディーラーさんへの憧れの部分があったりもします。
    後は、月給に大差がなくディーラーさんの方がちょっと安い傾向も正直ありますが、やはり福利厚生面、長期的に見た時の退職金制度とかもそうですし、そういったところはディーラーさんの方が少し良い傾向があるので。
    その辺でディーラーに転職される方っていうのが民間整備工場とか、地場の工場だと結構あるかなという話は伺いますね。

    【プロトリオス石本】
    なるほど。まあ一概には言えないんですけど、やっぱり傾向としてはそういう方が多いそうですね。板金塗装業界の方で言うと、整備業に対してちょっと一部コンプレックスみたいなところが。
    自動車整備にも行けないけど、車体整備科に+一年で行く人も昔はいたんだけど、最近車体整備科自体がなくなることも多くなりました。
    鈑金塗装に関しては、職に就くのは専門学校行ってから就く人と、中学卒業してから就職も多い。転職については、塗料販売店などの材料屋さん通じて、こっそり紹介してもらって移っていくっていうのも昔は多くありました。かなりもめるんですが。
    板金塗装業界の人とかも、最近、問い合わせだったり、紹介するケースもありますか?

    【サクラボ菊池】
    そうですね。傾向としては以前からあって、特に目立って増えているわけではないんですけど、まあ増えて整備士と同じぐらいの増え方ですから。
    そうなると、おそらくどっちも不足されているのが現状だと思うんですけど。で、特に塗装とか板金塗装で明確に必要な資格って結構なかったりする部分が、車体整備持ってれば、なおよしっていう感じで。
    あとは、実際は本当に板金塗装での経験だったりとかセンスも含めて、どれだけいろいろな板金をやったかという技術的な面がやはり強い。まあ本当職人気質な仕事だと思うので。でそうすると、なかなか経験者っていうのは、そもそも自動車整備士に比べてたぶん板金塗装をやられている人口が少ないっていうのもあると思うので。
    でもなかなか整備市場では採用しづらい。経験者であったりとか、まあある程度即戦力と思われる方の採用でも整備士以上に厳しかったりはします。こう、パーツ交換はあくまでやり方を覚えれば、ある程度交換できちゃいますけど、板金とか塗装になるとそれこそ塗装の場合、色合わせなきゃ調色しなきゃいけない。
    既定の色をそのまま塗ればいいっていうわけじゃなくて、劣化に合わせてであったりとか、そういう部分が出てくると、やはりちょっと教えて何回かやったらできるようになるものでもなかったりとか。板金に関してもですね、同じようにあるので。やっぱ即戦力の採用は非常に難しい。ただやはり興味は持たれている方は一定数いらっしゃるので、そういう方をどれだけ戦力にして行けるか。
    業界としてもそうですし、あとはまあ各企業様としても、そういった体制を構築できるかっていうのがおそらく課題なのかなとは。
    ただ、結構興味持たれる方は多い印象はありますね。特に我々は派遣・紹介であったりとか、まあ自社の媒体もそうなんですけど、直接企業様に対するコンサルタント、webを活用したコンサルタントっていう仕事もしてまして。
    いろいろ企業さんの内部の、こういうふうに改善して行くとより安くなりますよー、だったりとかっていうご提案もさせていただいてたりするんです。
    いろいろな企業さんの求人とか、直接回してて板金塗装だと塗装の方がやや反響が、高い傾向があります。興味を持っているかたが多いんでしょうね。

    【プロトリオス石本】
    その辺のお話もちょっとお聞かせいただける範囲内で聞きたくて。
    最近、自動車の整備の求人のサイトであったりだとか、紹介、それこそ派遣と違いますよっていうところもお話いただいたんですけど。最近の整備士求人のWeb広告でも
    月収50万円保証から残業0、完全週休2日制の整備求人Web広告が非常に多く目につきます。現在の状況から考えてウソ大げさまぎらわしい広告が極端に増えていないでしょうか。

    【サクラボ菊池】
    そうですね。そこに関しては多分月給50万みたいな打ち出しにされる求人を作る企業様って、おそらく紹介会社さん、保険会社さんが大半だと思うんですけど、実態として月給50万円ってなると、工場長クラスでいるかいないかレベルだったりするので、そうそうそういった求人はなかったですね。
    工場長クラスで、かつ残業が結構あってはじめていくレベルだと思うので正直無いわけでは無いですけど、ほぼ無いのでちょっとこれも業界の闇というかですけど、実際に紹介会社の時はそういった求人も紹介できないことはないので。
    存在は一部していると思うので、まあ嘘ではないって言えば嘘ではないんですけど、ただ応募された方がそこに当てはまるスペックの人材かっていうと9割方そうじゃなくなってしまうので、実体のところでは、そこの半分ぐらいの求人を紹介されたりとかいうケースが多いかなと思いますので、逆に不信感を持たれるので、我々はそういったうちで正直一切逆にネガティブになってしまうんで。

    【プロトリオス石本】
    そうですね。

    【サクラボ菊池】
    結局50万だと思って応募して20万ですって言われたら、もうその会社さんに相談しようって求職者さんは思わないので、結果的にみたらあまりプラスではない。
    結構そういう会社さんのあるあるで、紹介会社さんが直接求人広告を出しているんじゃなくて広告代理店さんだったりとか、応募数をどれだけ稼いでその企業さんに送客できるかっていうところがミッションの広告会社さんの場合がある。
    そうなると、ちょっとでも応募が来てその後の採用率は我々の責任じゃないです、みたいなケースも。なので一概には言えないですし、もちろんそういった求人も実際あると思うんですけど、あまり鵜呑みにするのはよろしくないのかなとは思います。

    【プロトリオス石本】
    なるほど、ありがとうございます。結構、僕らのサイト見に来る人も技術者の人が多いのですごく気になっている人は多いと思います。
    自分の待遇面もそうですし、まあ社会保険のところもそうですし、気になっているのが手取りでいくらっていう。前より増えたっていうのですけど、その社会保険完備している、してないっていうところも、正しく理解してほしい。
    会社が負担している部分とか、あれも含めて分かってない人もけっこう、多いのじゃないかな。それなのに額面だけ見ちゃってっていう人もいる。それがいいわるい別にして、その辺の理解とかあまりされてない気がします。

    【サクラボ菊池】
    ああ、そうかもしれないですね。
    実際そこは自動車業界に限らずですけど、正社員とか直接雇用で、一定の日数以上正社員で働くってなると、基本的に会社さんは社会保険義務になってくるんです。大体2割ぐらい皆さんの額面から引かれる社会保険って感じになってて、その分2割会社も同じ額負担しているっていうのも正直、知らない人の方が世の中、結構多かったりするので。

    【プロトリオス石本】
    そうですよね。説明しても、分からない。どう説明しても、理解してくれないというのがある。


    ~その2へつづく~


    その2

    ログインして コメントを書き込む
    コメント入力者
    •  
    • ※こちらのお名前がウェブサイトに掲載されます。

    コメント

    投稿する