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公明党 西田議員、物価等上昇にともなう価格転嫁について参院予算委員会で指摘
2023/03/03
3月2日の参議院予算委員会にて公明党の西田実仁議員が中小企業の価格転嫁の進捗について質疑したなかで、保険修理における自動車整備工場と損害保険会社の取引関係が下請け関係に近いと指摘。その上で保険修理において、今般の物価上昇や労務費上昇分を転嫁できるよう、また、金融庁などにその状況を注視するよう求めた。 以下、質疑応答の内容を記す。
<西田実仁議員>
中小企業の賃上げについて3月が正念場という話を頂きました。ここで私、13年前、野党の時代に質問しましたが、今日(こんにち)この物価上昇の中で改めてご質問したいと思います。
それは法的には下請け関係にはございませんが、方や全国規模の大企業、方や町の中小零細企業であり、価格交渉や転嫁が言い出せず賃上げどころではない問題です。
それは自動車整備工場と損害保険会社との取引です。多くの自動車整備工場は自動車保険に入っている顧客から事故に遭った車の修理を頼まれたら、バンパーなどの部品を仕入れ、職人が手間暇をかけて修理して車をお返しし、その後にお客さんに代わって保険会社への修理代金を請求しています。
大手損保会社が共同出資している株式会社自研センターが修理に必要な作業時間、例えばバンパーを取り替えて修理する時間の基準を決めており、それに労務費の単価を掛け合わせる形で、多くの損保会社はこの基準に近い額で修理代金保険金額を定めています。
昨年来の物価高を受けて全国の自動車整備工場から物価高でも価格転嫁できないとの悲鳴が寄せられています。
例えば、オイル代も、電気代も、労務費も上がっているのに、損保会社から認められる修理代金保険金はどの保険会社も似たような水準に揃って据え置かれたままで、実際に掛かった修理代金を得られない。
保険会社はせめて材料費や電気代の値上がり分は修理代を引き上げてほしい、労務費も引き上げてほしいとの悲鳴が聞こえてきます。
さらには、保険会社が修理代金の基準を決めているから、どんなに物価が上がっても価格転嫁して貰えないという声も聞こえて参ります。
そんな保険会社にとって自動車整備工場は、保険を売ってもらったり、顧客の自動車を修理してくれる大切なパートナーのはずです。
修理時間の基準は一民間会社、つまり自研センターですが、作成していること、それを使うかどうかは、また労務費単価をいくらにするかは、形式上、損害保険会社と自動車整備工場が契約で決めた形になっていることは理解しています。
また、損保と自動車整備工場は修理の委託という下請け関係にないことも承知しております。
しかし、現実には方や全国規模の大企業であり、方や中小零細企業であり、修理時間はもっと必要である作業員の労務単価が安すぎるとかの交渉、転嫁を言い出せない取引構造になっているのも事実です。
他の業界におきましては、業界を所管する省庁が作る取引適性化ガイドラインに従って、自主行動計画を作成して、取引の適性化に取り組んでいます。
たとえ下請け関係になくても同じ金融庁が監督をしております銀行業界においては全国銀行協会が手形の電子化のための自主行動計画を作成し、中小企業の資金繰り支援にも役立つ取り組みを業界を挙げて実行しております。
そこで金融担当大臣にお聞きしますが、損害保険会社を所管する金融庁には自動車整備工場からの悲鳴、特に損保会社が修理時間をずっと据え置いている。あるいは、労務費の単価引き上げの交渉にも応じてもらえないとの声は届いているのでしょうか。
<鈴木俊一金融担当大臣>
あの、自動車整備事業者から、損害保険会社が修理代金の引き上げに応じてくれないといった声があること、これは承知をしております。
<西田実仁議員>
承知しているということで、届いているということでありますので、昨年来、労務費やエネルギー、原材料価格が高騰しているのですから、損保と自動車整備工場との契約関係においてもコスト上昇を取引価格へ反映するために価格交渉をするよう、損保業界に促すべきではないでしょうか。
<鈴木俊一金融担当大臣>
あの、西田先生ご指摘の通りに工賃単価等の修理代金の計算方法、これは損害保険会社と自動車整備事業者との間の契約に基づき設定されるものでありますが、足元で物価が高騰し、また労務費も上昇していることを踏まえますと、損保会社と自動車整備事業者の双方が、納得できる適性な内容であるべきであると、そのように考えます。
昨年来のこうした、えー、あの、
この物価上昇でありますとか、労務賃の上昇、こうした環境の大きな変化については
4月以降の新年度の工賃単価等の見直しにおいて考慮されるものと認識しております。
金融庁としてその見直しの状況をしっかりと把握したいと思います。
そして、必要に応じて取引の適正化を促していきたいと考えています。
<西田実仁議員>
把握して頂いた上で、金融庁にはこの損害保険会社、損保業界への包括的な監督権限があります。
保険契約者の保護に限るとか、あるいは下請け的な関係にない等の狭い権限ではありません。
保険会社が取引先に物価高騰の影響をしわ寄せしていないか、価格交渉を促すための自主行動計画を作るべきではないか、この実態を把握した上で必要とあれば促していただけますでしょうか。
<鈴木俊一金融担当大臣>
あの、先程も金融庁の認識をお話させていただきましたが、足元で物価が高騰して、労務費もかなり上昇しているということを踏まえますと、
修理代金の計算方法は、損保会社と自動車整備事業者の双方が、納得する、できる適性な内容であるべきであると、そういうふうに考えているところでございます。
あのー、先程の繰り返しになりますが、今まさに4月以降の新年度の工賃単価等の見直しに向けて、損保会社と自動車整備事業者の話し合いが行われていると承知をしております。
金融庁としてはまず、その見直しの状況をしっかり把握したいと考えます。
そして、あの、先生から損保会社に自主行動計画を作るようにと、それを促すべきであると、そういうご意見をいただいたところでございます。
自主行動計画については、中小企業庁においてサプライチェーン全体の取引適正化と付加価値向上に向けた計画の策定を経済界に要請しているものと、そういうものと承知しておりますが、そうしたことも踏まえまして、適切に、適切な対応をですね、考えていきたいと思います。
<西田実仁議員>
総理にお聞きします。
大手損保会社いずれもいわゆるパートナーシップ構築宣言、これを発しておられます。
総理は常々民間に任せず、あるいは構造的な賃上げに政策を総動員するとおっしゃっておられます。
政府の立場からも今お聞きいただいた、この損保会社に取引の適性化をするよう促すお考えはありますでしょうか。
<岸田文雄内閣総理大臣>
あのー、大手損害保険会社においては、委員ご指摘の通り、取引先との共存共栄に向けた取り組みを進めているものと承知をしており、金融庁をはじめ関係省庁において、その取り組み状況の把握に努め、そして取引の適正化を促して参りたいと思います。
えー、そのうえで賃上げは新しい資本主義の最重要課題であり、物価上昇を超える賃上げ、
更にはその先の構造的賃上げに取り組んでいただくべく、中小企業における生産性向上に向けた支援策など、政策を総動員して環境整備に政府として取り組んでいきたいと考えます。
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