JOURNAL 

    TMコーポレーション、技能実習生育成スキームを展開

    外国人技能実習制度の本質に基づき、「日本語」と「志」を根幹に据えた人材育成

    • #ニュース

    2022/11/04

     TMコーポレーション(室谷眞一社長、本社=石川県金沢市)はこのほど、日本語教育に重点を置いた独自の外国人技能実習生育成スキーム「ダイバーシティーマネジメント」を構築。従来は、TMコーポレーションに参加する企業のみを対象に人材育成研修を行ってきたが、業界全体の人材不足解消に役立てたいとの思いから、TM事業とは別にこのスキームを全国の整備事業者へ展開することを発表した。
     スキームを考案し、本事業を担当する野崎幸恵取締役は、「技能実習生を受け入れてもうまくいかない原因の多くが、実習生の日本語能力の不足にある」と指摘。また、「受け入れ先企業は安い労働力の確保、実習生は日本でお金を稼ぐことが目的にすり替わり、本来の外国人技能実習制度の趣旨からかけ離れている」ことも、育成を難しくさせている要因に挙げた。

    野崎幸恵取締役

     そこでダイバーシティーマネジメントでは、同制度が掲げる開発途上国の経済発展を担う人材育成の目的に基づき、「将来、母国で独立開業する高い志を持った実習生が、受け入れ先企業で充分なコミュニケーションを図ることができる日本語能力を習得する仕組みを根幹に据えた」。
     本スキームでは、まず提携するミャンマーの送り出し機関で将来的に独立する意志が強い人材を選抜し、日本語特別コースを受講。監理団体を通じ、受け入れ先企業に実習生として来日後は、週1回、昼休みなどを利用して遠隔で日本語学習に励む。その際、実習生の相談窓口としての役割も担う。受け入れ先企業は、遠隔授業の時間を確保するとともに、帰国後の独立開業に向け、より実践的な知識ならびに技術を日本語で指導する。
     先行してTMコーポレーション関連会社で受け入れたアウン・モー・トン・ナインさんとティン・テ・エーさん。来日3年目を迎えた彼らは、日ごろの日本語学習の成果が実を結び、ナインさんは日本語能力試験N3(3級)、テさんはN2(2級)に合格。特定技能1号の取得要件であるN4(4級)をすでに上回った。また、国際人材協力機構(JITCO)が主催する外国人技能実習生・研修生日本語作文コンクールでは、自動車整備業界で初めてナインさんが最優秀賞に、テさんが特別賞に輝いた。また、同一企業から2人以上の上位入賞者の選出も同コンクール初の快挙となった。

    (左から)アウン・モー・トン・ナインさん、野崎幸恵取締役、ティン・テ・エーさん

     知識と技術においては、車検・整備、鈑金塗装すべての業務に従事し、貴重な戦力として日々、活躍する。「日本語での会話はもちろん、読み書きできるレベルにまで上達したため、充分なコミュニケーションが取れ、知識も技術も目覚ましく向上した」。2人とも三級整備士の学科試験に合格。来年、実技試験を受験し、日本の国家資格の取得を目指す。また、技能実習生から特定技能に移行し、これから先も日本で技術の研鑽に励む予定。
     高い志を持った実習生であれば、言葉の壁を取り払うだけで優秀な人材を育成できることが実証された。「すべての根幹は日本語と志。受け入れ人数に限りはあるが、この理念に共感し、質の高い外国人技能実習生の育成に興味がある事業者がいれば、ぜひ問い合わせていただきたい」。

    ダイバーシティーマネジメントのスキーム

    ログインして コメントを書き込む
    コメント入力者
    •  
    • ※こちらのお名前がウェブサイトに掲載されます。

    コメント

    投稿する