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    ダイハツ、認証取得不正で国内全車種で出荷停止

    相次ぐ認証不正、性善説は限界か。国交省は対策を

    • #一般向け

    2023/12/21


     ダイハツは、国の認証取得不正問題で新たに174件の不正が見つかったと発表した。不正行為が確認された車種は64車種、3エンジン。これらの中には生産終了したモデルや、開発中のものが含まれる。同社はこの調査結果を受け、国内外の全ての車種で出荷停止を決定した。

    ■不正の内容は多岐にわたる


     この問題は、4月のドアトリム不正を受け同社が設置した第三者委員会からの報告書によって明らかになったもの。5月にはダイハツ・ロッキー/トヨタ・ライズのポール側面衝突試験不正が報告されていた。

     認証申請の不正は多岐にわたり、左側の衝突データを右側に転記、タイヤ空気圧の虚偽記載、加速度データの差し替えなどがあった。
     深刻なものでは、エアバッグEUCの開発が間に合わず、タイマーによる着火で試験を行ったと言う記述である。量産品に搭載されているエアバッグECUでテストが行われていない。この件について同社で技術検証が行われており、エアバッグに関する乗員保護性能に問題はなかったと発表された。対象車両は、ダイハツ・ムーヴ/スバル・ステラ、ダイハツ・キャスト/トヨタ・ピクシスジョイ、ダイハツ・グランマックス/トヨタ・タウンエース/マツダ・ボンゴ。

    ■相次ぐ認証不正、性善説に限界。国交省は対策を急いでほしい


     認証試験は国土交通省および自動車技術総合機構 交通安全環境研究所の自動車認証審査部の審査官が担っている。ダイハツの不正は1989年から30年以上行われており、常習性が明らかになっている。近年、日野のエンジン不正問題や三菱による燃費不正問題が相次いで明らかになっており、現在の認証試験の手続きが正しく機能していないことを示している。
     不正を働くカーメーカーに問題があることは言うまでもない。一方で、繰り返される不正を見逃している国交省の管理体制にも問題があると言わざるを得まい。ただでさえ、自動車は国民から多くの税金を徴収している。自動車は製造したからといって勝手には売れない。適性な性能を有していると国が判断し、許可を与えて販売している。その責任を果たしてもらいたいと国民が考えるのは自然だ。
     今後、自動運転に切り替わっていこうとしている中で、不都合なデータを出さない、あるいは改竄される疑いがカーメーカーにあるという状態で、自動運転の認証の正しさを一体誰が担保するのだろうか。
     自動車産業を保護する意味でも国土交通省が主体的に認証試験を厳格に運用できる組織体制を速やかに構築し、対応することを願ってやまない。それが監督省庁としてのあるべき姿であろう。
     今回の不正によって、実際の安全性は別として正しく認証試験を通過していない車両が全国を走っている。本来は公道を走ることに問題があるはずだ。こうした状態が続くようであれば、不正改造車両の取り締まりや、車検制度にも疑念が生じかねない。
     今般の問題は放置すれば一企業の不祥事ではなく、車社会全体の法と秩序を揺るがす事態に発展するおそれがあるのではないか。

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