Q&A 

    ディーラーの下請けについて

    • #見積り

    2022/06/04

    Q

    質問者
    匿名希望さん

     内製化工場を持っていないディーラーさんは、各地域の鈑金工場さんに協力してもらい鈑金業務をお客様から承っているわけですが、その際に、下請けの鈑金工場さんに対しての工賃割引(工賃レス)が存在しています。各ディーラーさんと、地域の鈑金工場さん間においてこの工賃割引の度合いが様々なようですが、そもそもいつから、そして、何故、工賃の割引が存在しているのでしょうか?地域の鈑金工場さんは工賃割引が4割引だったら、6割程度の仕上がり具合の仕事をしているわけではなく、10割の仕上がりに近づけられるように仕事をしています。下請け工場さんがディーラーさんに10割の修理代を請求をして、ディーラーさんが保険会社やお客様に自分達の利益を加算して、請求したのでは駄目なのでしょうか?保険での修理の場合、指数というものが存在し指数が決まっているからなのでしょうか?建築関係・土木関係の親会社と下請け会社の関係のように、下請け会社が、かかった費用を親会社に請求出来るような時代は、自動車鈑金業界にはやってこないのでしょうか?

    A

    回答者
    プロトリオス

    ご質問ありがとうございます。下請けについて回答させて頂きます。
     ご質問にある通り車体修理業界では、ディーラーや整備工場等からの下請けが中心になっているボディーショップが多い事は事実です。いわゆる、工賃レスが発生する案件になりますが、そのレス率は、一律同じ比率ではない事はご存知かと思います。約30~40%が多く、まれに50%以上を要求されるケースもあるように聞き及びます。ご指摘の通り、レス率に関係なくボディーショップには、丁寧な作業、きれいな仕上り、品質が求められますが、それに見合った作業の進め方や稼働率はどうか等も含めて、それが正しいのかどうか考える必要もあるかと思います。また、過度なレス率の要求は、一般的な下請けの値引きの範疇を越えている可能性もあり、下請法(下請代金支払遅延等防止法)に抵触するおそれもあります(元請け、下請け両者で合意の上でも)。違法となれば指導、勧告の対象となるので元請け、下請けどちらとも注意が必要です。
     あと、いつ頃から下請けが始まったのかは、わかりかねますが、工賃の割引は、元々、直需で仕事を得るためのコスト(広告宣伝費や接客、納品後の集金、納車引き取りの手間等)を元請け側が代用するという事、人材や設備の問題上、すぐに鈑金塗装という作業が出来るわけでもありませんので、専門職であるボディーショップに依頼するという背景があったものと思われます。元請け側としては、直需で仕事を得るためのコストをみているので、その分をマージンとする必要があり、どうしても、下請けの場合であれば、レスが発生する事になります。下請けの流れが建築業界のような仕組みに変わるかどうかは、現状では予測出来ませんが、今後、交通事故発生率が減少していく中で、既存の元請け先との関係を見直し、レス率等の取引条件が改善出来る余地がないようであれば、新規取引先を開拓するか、元請け先との関係、連携を強化し、新規顧客開拓に繋げるための付加価値サービスを提案して、見返りに一定の入庫を確保する施策等、その元請け先が、将来的なビジネスパートナーとして共闘していけるのか等の経営判断も必要になってくると思われますし、直需型工場への転身もひとつの方法ですが、長く下請け業態でやって来たボディーショップにとっては、先に記した通り直需仕事のためのコスト以外にも様々な障害が考えられ、容易ではありません。本来であれば工賃からのレスではなく、レーバーレート(指数対応単価)を調整するのが正しい姿ではないでしょうか。レーバーレートを下げる事により、工場の総原価が下がり、そこに利益を加味する余裕が発生します。レス率ばかりではなく、自社のレーバーレートを見直すのもひとつの方法かと思います。
     いずれにしろ、ディーラーの高レス率の要求、損保会社の手数料アップ等があっても、動じる事のない工場経営を心掛けたいものです。
    ※レーバーレートの詳細については、弊社BSR2021年7月号、同2022年7月号をご参照下さい。

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