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シネマエンドレス「アフターサン 」
誰の心にもある、 大切な人との大切な記憶の物語
2023/05/31
あらすじ
思春期真っただ中の11歳のソフィは、離れて暮らしている30歳の父親カラムと夏休みを過ごすため、トルコの閑散としたリゾート地にやってくる。
まぶしい太陽の下、二人はビデオカメラで互いを撮影し合い、親密な時間をともにする。
20年後、当時の父の年齢になったソフィが映像を見返すと、当時は知らなかった父の一面を見いだしてゆく。
うだる暑さと少しぎこちない会話。無言で闇の中で踊る父の姿。もし、ひとりの人間として内なる父を知ることができたなら――。
いつまでもまばゆい愛おしい人との記憶の物語を今、再生する。
2022年カンヌ映画祭で上映されると話題を呼び、A24が北米配給権を獲得。数多くの海外メディアがベストムービーに挙げる話題作がついに公開。
監督・脚本は本作が長編デビュー作となるシャーロット・ウェルズ。
© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & T
筆者の推しどころ
本コーナーお馴染みのA24が配給権を獲得したというだけで、映画ファンは観たくなるだろう。
独身の筆者にすら伝わる父親から娘への、娘から父親への深い愛情がひしひしと伝わってくる。説明的なセリフが少なく、分かりやすい大きな事件が起きるわけでもない。
だが、役者の表情と一つ一つの風景がこの親子の幸せがいつまでも続かないことを感じさせてくる。その切なさが観ている人の胸をキュッと締め付けるてくる。
観る人によって感じ方が変わるであろう余白の多さが作品に厚みを生むことに見事に成功していると言える。
また、ビデオカメラ映像と映画の切り替えや、まぶしい太陽に照らされるトルコの風景も美しく、A24が買い付けるの納得の映像美。
冒頭、ソフィが31歳のカラムに向かって「11歳の時、将来は何をしていると思ってた?」と問いかけるシーンがある。
自分が父親だったらなんと答えていただろうか。少なくとも今のk……いいや、止めておこう。
では、カラムは何と答えたか、ぜひ劇場で確認してほしい。
個人的には今年ベストムービーの一つに挙げたくなる傑作。
監督・脚本:シャーロット・ウェルズ
ハピネットファントム・スタジオ配給
全国公開中
http://happinet-phantom.com/aftersun/index.html
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