JOURNAL 

ひょう害修理の透明性を確立し工場の強力なパートナーへ

  • #インタビュー

2026/04/30

世界8ヵ国に拠点を構え、総勢1,500人以上のデントリペア技術者のネットワークを持つDRS GROUP(本社=ドイツ)。2015年に日本法人として設立したDRSオートモーティブソリューションジャパンは、高い技術力とAI搭載ひょう害スキャナーで国内のひょう害修理に新たなスタンダードを築こうとしている。同社のマレネジオ ジアス社長に目指す未来について聞いた。


̶ DRSオートモーティブソリューションジャパンの活動について

 ひょう害修理専門のプロフェッショナルチームとして、日本のひょう害修理市場とカーオーナーに受け入れてもらうことを我々の活動の目的としている。そのために最も重要視しているのが”仕上がり品質”である。

 日本は世界各国と比較しても、仕上がりに厳しい国だが、ひょう害車補修のスペシャリストとしてその要求に応えるだけでなく、超えていかなければならないと感じている。目指すべきは、デントリペアがひょう害車に対する最も正しく、優れた修理方法であると結果で証明することである。その信念を胸に事業を展開している。


̶ 日本のデントリペア補修の現状をどう見ているか

 現在日本には、デントリペアに特化した標準的な見積りシステムは存在していないと認識している。これが、保険会社との協定やカーオーナーへの説明において1つの障壁となっている。また残念ながら、正しい技術を持たずにデントリペアサービスを提供し、結果として低品質の仕上がりになっている事業者も存在する。こうした事例が、デントリペア全体のイメージを損なう一因となっていることは否めない。

 加えて、特にひょう害のような広範囲の損傷では、人間の目では見落としがちな微細な凹みが残る可能性がある。修理前後で車両の状態がどう変化したのかを、誰の目にも明らかな形で記録し、証明する責任が今後増すだろう。こういったデントリペア作業の透明性や客観性に対し対策を講じることは、カーオーナーだけでなく、保険会社やディーラーなどに対しても自社とのトラブルを未然に防ぐメリットとして機能するはずだ。我々はこの現状を打破するため、修理前後の客観的な証拠を残す手段として、AI搭載スキャナーを導入している。


AI ひょう害損傷スキャナー

̶ 同業他社とどのように差別化を図っているのか

 最大の強みはひょう害車専用の3Dスキャナーである。車で持ち運びできる組み立て式で、出張修理でも約20分で使用可能となる。車をゲートへ通すとわずか30秒でスキャンが完了し、AIが凹みの数や大きさ、位置を正確に検出し客観的なデータを3分以内に作成する。このデータは改ざん不可能であり、修理前と修理後の再スキャンをすることで修理履歴の証拠として極めて高い信頼性を持つだろう。

 またサービスの核として技術者の“腕”も貴重な財産。いかにテクノロジーが進化しようとも、最終的な品質を左右するのは人の手である。日本市場が求める高い品質基準を深く理解し、カーオーナーを心から満足させる修理を提供できる世界水準の技術者を擁し、育成することこそ、我々に課せられている重要な役割だと考えている。そして技術だけでなく、日本人の車への“リスペクトの精神”を理解することもまた重要である。

 国外から招いた技術者が日本の基準の厳しさに戸惑うこともあるが、当社の“仕上がった”とは、スキャナーが検知したすべての損傷を完璧に修復することであり、仕上がり品質には一切妥協しない。その基準をクリアできる職人のみを現場に送り出している。この技術者へのこだわりこそが、カーオーナーの大切な資産である愛車の価値を真に守ることにつながると確信している。


修理前後の凹み個所の比較。各部品ごとに凹みの数と(平均的な)大きさのデータが作成される

̶ 技術者の育成にはどう取り組んでいるか

 デントリペアと言っても、ドアパンチのような単体の凹みを直す技術と、ひょう害車の無数の凹みをパネル全体の歪みを考慮して修復する技術とでは求められるスキルが異なる。

 現在、埼玉拠点にトレーニングセンターを併設し、実車を使った専門的なPDRトレーニングを実施している。特に専門性の高いひょう害修理のプロフェッショナルを育成するためのカリキュラムを提供している。ぜひ声を掛けていただきたい。


̶ 最後に読者へメッセージを

 デントリペアは、車の価値を守りつつCO2を排出しない地球にやさしい修理方法である。その他にも多くのメリットがあるにもかかわらず、日本ではまだその価値が充分に認知されていないように感じる。当社はスキャナーという“目”を用いてデントリペアの品質を可視化し、業界の信頼性を高めていく。工場の方々には、ぜひ当社をパートナーとして積極的に活用してもらいたい。

 また今後は、ひょう害の発生しやすい地域を中心に、各県に少なくとも1つ工場を設置し、全国どこでも迅速に対応できる体制を構築していく計画である。素晴らしいデントリペア技術を日本に根付かせるため、業界の皆さまとともに歩んでいきたい。