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2026年版中小企業・小規模企業白書が閣議決定 「稼ぐ力」強化と経営リテラシー向上を分析

労働生産性の向上に向けた価格転嫁やAI活用の重要性を提示、小規模事業者の企業間連携も有効と指摘

  • #ニュース

2026/04/27

 中小企業庁は2026年4月24日、「2026年版中小企業白書・小規模企業白書」を取りまとめ、同日の閣議において決定された。経営環境の転換期において、中小企業が「稼ぐ力」を高めて「強い中小企業」へと成長することの重要性を掲げ、労働生産性の向上に有効な取り組みや、経営者の基本的知識である「経営リテラシー」の強化・実践に焦点を当てて分析を行っている。


労働供給制約下での「戦略」への転換

 中小企業の現状として、春季労使交渉において約30年ぶりの賃上げ水準が続くなど、持続的な賃上げの実現が日本経済の成長に不可欠となっている。一方で、大企業と比較して中小企業の賃上げ余力は厳しく、さらなる賃上げ原資の確保が課題となっている。また、2010年代以降の人手不足感の強まりに加え、今後の労働供給制約社会の到来に伴い、中小企業の雇用者数は減少が見込まれることから、人手不足がさらに深刻化する恐れがある。

 こうした経営環境の転換期において、同白書は現状維持を最大のリスクと位置づけている。短期的な損益を追うのではなく、長期的な視点で事業構造・組織構造を再構築していく「戦略」を持った経営に転換し、「稼ぐ力」を高めていくことが重要だとしている。


労働生産性のさらなる向上に向けた施策

 「稼ぐ力」とは付加価値を生み出す力であり、労働供給制約社会において労働生産性の向上は不可欠となる。中小企業の労働生産性は、一人当たりの労働時間が減少しつつも付加価値額が増加しているため、時間当たりでは上昇傾向にある。また、大企業と遜色ない労働生産性を誇る中小企業も存在している。

 労働生産性のさらなる向上に向けた重要事項として、以下の取り組みが挙げられている。

・価格転嫁の推進
・成長投資による製品・商品・サービスの高付加価値化
・事業承継やM&Aによる事業再編
・AI活用・デジタル化の促進による「労働投入量の最適化」

 実際にこれらの施策に取り組む企業は、取り組んでいない企業と比較して、付加価値額の増加や労働投入量の最適化を実現していることが確認された。


経営リテラシー向上と企業間連携の有効性

 小規模事業者の分析では、経営リテラシーを「財務・会計」、「組織・人材」、「運営管理」、「経営戦略」の4類型に分けて現状を把握している。小規模事業者の経営リテラシーには改善の余地があるものの、これらを有する事業者は業績や人材確保において明確な違いを生み出している。例えば、原価管理を詳細に行う事業者ほど価格転嫁率が高く、組織活性化に取り組む事業者では採用に成功している傾向がある。

 また、経営資源が限られる小規模事業者にとっては、他の事業者との連携により「経営力」を補完することも有効な手段だとしている。同白書では、事業の維持や拡大を図る上で、企業間連携によって相互に補完し合うことが有効な取り組みであることが示されている。


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