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全固体電池の実用化はいつ?各メーカーの動向とEVの買い時を解説

「全固体電池はいつ実用化されるの?」という疑問にお答えします。この記事では、トヨタや日産など主要メーカーの開発動向や実用化時期の目標、普及に向けた課題について詳しく解説します。EVへの買い替えを待つべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

  • #コラム

2026/06/02

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全固体電池の実用化はいつ?各メーカーの動向とEVの買い時を解説

「電気自動車(EV)に乗り換えたいけれど、次世代の全固体電池がいつ出るのか気になって購入に踏み切れない」と悩んでいる方に向けて、実用化の時期や現状の課題を詳しく解説していく内容です。この記事では、全固体電池の基本的な実用化スケジュールと、主要な自動車メーカーの開発動向を整理してお伝えします。

最後までお読みいただくことで、今EVを購入すべきか、それとも数年後の次世代技術を待つべきかの具体的な判断基準が見えてくるでしょう。結論として、EV向けの全固体電池が市場に登場するのは2027年から2028年頃になる見通しとなっています。

【結論】全固体電池の実用化はいつ?

全固体電池の実用化はいつ?

電解質が固体である「全固体電池」について、分野ごとの実用化時期について解説を進めていきます。

EV向けは2027年から2028年頃の登場が有力

電気自動車(EV)向けの全固体電池は、2027年から2028年頃に市場へ投入される見込みで、2026年に入り実用化に向けた動きが具体化しています。現在主流となっているリチウムイオン電池は液体電解質を使用しているため、極端な温度環境下での性能低下や、強い衝撃を受けた際の発火リスクといった弱点を抱えているのが現状です。

これらの課題を克服するために、電解質を固体に置き換えた全固体電池の開発が急速に進められてきました。固体電解質を使用することで安全性が飛躍的に高まるだけでなく、エネルギー密度が向上し、1回の充電で走れる航続距離が大幅に伸びると期待されている技術です。急速充電については、10分程度で80%充電できる目標が掲げられていますが、実現は2030年代以降が見通されており、初期段階では充電時間の大幅な短縮よりも安全性とエネルギー密度の向上が優先されています。

各自動車メーカーは、この次世代電池を搭載したEVを2020年代後半に市販化するというロードマップを公表しており、2026年現在、製造プロセスの最適化と量産体制の構築が最重要課題となっています。

小型機器向けはすでに一部で実用化が始まっている

産業用センサーやIoT機器などの小型機器向け全固体電池は、すでに実用化が進んでいます。これらの小型デバイスは、搭載できるバッテリーのスペースが限られているため、より高い安全性と長寿命が求められる分野です。

特定の電子部品メーカーは、小容量ながらも安定して動作する全固体電池の開発に成功しており、医療機器、工場自動化(FA)、ウェアラブルデバイス向けなどに供給を開始しました。小型の電池は大容量のEV向けと比較して技術的なハードルが低く、製造プロセスも確立しやすいため、先行して市場に投入されたという背景があります。

スマートウォッチやワイヤレスイヤホンなどのウェアラブル機器向けには、2026年から実用化が本格化しています。しかしながら、スマートフォンやパソコンなどを長時間駆動させる大容量タイプの全固体電池はまだ開発段階であり、広く一般の消費者が恩恵を受けられるようになるには、もう少し時間が必要と考えられます。

サムスン電子は早ければ2027年初めにスマートフォンへの全固体電池搭載の可能性を検討していますが、当面はシリコンカーボン電池などの中間技術が先行する見込みです。

 

全固体電池の開発をリードする主要メーカーの動向

全固体電池の分野では、日本の自動車メーカーが高い技術力を持っており、世界的な開発競争をリードしています。それぞれの企業がどのような目標を掲げているのかを詳しく見ていきましょう。

自動車メーカー

目標とする実用化時期

主な取り組みと特徴

トヨタ自動車

2027年〜2028年頃

出光興産と協業し、硫化物系固体電解質の量産体制を構築しています。

日産自動車

2028年度まで

自社工場にパイロットラインを建設し、充電時間を大幅に短縮する目標を掲げています。

ホンダ

2020年代後半

既存の製造プロセスを活かした低コストな量産化技術の開発を進めています。

トヨタ自動車の取り組みと発売時期

トヨタ自動車は、2027年から2028年頃にかけて全固体電池を搭載したEVの実用化を目指すと公式に発表しています。同社は早くから全固体電池の研究開発に取り組んでおり、保有する関連特許の数は世界トップクラスを誇る水準です。

2023年10月には出光興産との協業を発表し、全固体電池のキーマテリアルである「硫化物系固体電解質」の量産体制構築に向けて大きく前進しました。この硫化物系固体電解質は、リチウムイオンが移動しやすく高い出力が得られる反面、水分と反応して有毒な硫化水素ガスを発生させるリスクを伴います。トヨタ自動車と出光興産は、この課題を克服する新しい材料技術を確立し、量産化に向けたパイロットラインの稼働を急いでいる状況です。最初の段階では、コストの観点からハイエンドモデルのEVに優先して搭載される可能性が高いと予測されます。

参考:出光とトヨタ、バッテリーEV用全固体電池の量産実現に向けた協業を開始 | コーポレート | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

【関連記事】トヨタと住友鉱山、全固体電池の正極材量産に向け共同開発契約 | BSRweb | 株式会社プロトリオス - PROTO-RIOS INC.

日産自動車の取り組みと発売時期

日産自動車は、2028年度までに自社開発の全固体電池を搭載したEVを市場に投入するという明確な目標を掲げています。同社は横浜工場内に全固体電池のパイロット生産ラインを建設しており、材料の開発から製造プロセスの構築までを一貫して進める方針です。

日産自動車が目指しているのは、エネルギー密度を従来のリチウムイオン電池の約2倍に引き上げ、充電時間を3分の1に短縮することにあります。これにより、大型のSUVやピックアップトラックといった重量のある車両でも、実用的な航続距離を確保できるようになるでしょう。また、バッテリー自体のコストダウンにも注力しており、将来的にはガソリン車と同等の価格帯でEVを提供するための重要な鍵として全固体電池を位置づけています。

参考:日産自動車、全固体電池の試作生産設備を公開

ホンダの取り組みと発売時期

ホンダもまた、2020年代後半の全固体電池実用化に向けて研究開発を加速させている企業の一つです。同社は栃木県さくら市の研究所内にパイロットラインを建設し、全固体電池の生産技術の確立に力を注いでいます。

ホンダのアプローチは、既存の液体リチウムイオン電池の製造プロセスを可能な限り流用することで、設備投資を抑えながら量産化を実現するという現実的な手法です。ホンダは全固体電池の開発を独自に進めており、GMとのEV共同開発計画は2023年10月に中止されています。四輪車だけでなく、得意とする二輪車(電動バイク)への搭載も視野に入れており、幅広いモビリティで全固体電池のメリットを活かそうとしています。

参考:栃木県さくら市にある全固体電池のパイロットラインを初公開 | Honda 企業情報サイト

参考:全固体電池 技術解説|テクノロジー|Honda公式サイト

ドーナツラボが2026年に電動バイク向けを展開する事例

海外のスタートアップ企業も全固体電池の実用化に向けて積極的な動きを見せています。フィンランドに拠点を置くドーナツラボ(DonutLab)は、2026年の第1四半期に全固体電池を搭載した電動バイクを市場に投入すると発表しました。

この事例では、わずか5分でフル充電が可能であり、マイナス30度から100度という過酷な温度環境でも性能が劣化しないという高い耐久性が報告されています。自動車に比べてバッテリー容量が少なくて済む電動バイクという分野とはいえ、OEM生産車として実際に路上を走る製品が2026年に登場することは、全固体電池の技術が実験室の段階を終えて商業化フェーズに入ったことを示す画期的な事例と言えるでしょう。

参考:ドーナツラボがCESで電動化の未来を発表 量産車への搭載が可能な世界初の全固体電池を披露 - ドーナツラボ

【関連記事】スズキ、カナデビアから全固体電池事業を譲受 次世代電池の技術継承へ | BSRweb | 株式会社プロトリオス - PROTO-RIOS INC.

 

なぜ全固体電池の実用化には時間がかかっているのか?

全固体電池の実用化の課題とは?

夢の次世代電池と呼ばれる全固体電池ですが、その開発と量産にはいくつもの高い壁が存在します。ここでは、実用化が遅れている具体的な理由について深掘りしていきます。

量産化に向けた技術的およびコスト的なハードル 

全固体電池の実用化を阻んでいる大きな要因の一つが、量産化に伴う高いコストと製造技術の難しさです。固体電解質は、液体のように電極の隅々まで自然に浸透することがありません。そのため、イオンをスムーズに移動させるには、固体電解質と電極を極めて強い力で密着させる必要があります。この均一な密着状態を大規模な工場で連続して作り出す製造プロセスは、非常に高度な制御が要求される技術です。

また、全固体電池に使用される特殊な材料は、現状では大量生産のインフラが整っておらず、材料費自体が非常に高価になっています。製造不良を減らし、従来のリチウムイオン電池と競争できる価格までコストを下げるためには、新しい製造設備の開発からサプライチェーンの構築まで、業界全体で取り組むべき課題が山積している状態です。

参考:経済産業省「蓄電池産業戦略の推進に向けて」

耐久性と大容量化を両立する難しさ 

もう一つの重要な課題は、電池を繰り返し充放電した際の耐久性を確保することにあります。電池は充電と放電を繰り返すたびに、内部の電極材料がわずかに膨張と収縮を繰り返す特性を持っています。液体電解質の場合は、液体の柔軟性がこの体積変化を吸収してくれますが、全てが固体で構成されている全固体電池では、膨張と収縮によって電解質と電極の間に隙間が生じてしまう問題があります。隙間ができるとイオンが移動できなくなり、電池の性能が著しく低下してしまうという仕組みです。

この問題を解決するために、各メーカーは柔軟性を持たせた新しい固体材料の開発や、外部から強い圧力をかけて隙間を防ぐ構造の設計に取り組んでいます。特にEVを動かすために必要な大容量の電池パックを作る場合、この耐久性の課題をクリアすることが難しく、実用化に向けた大きな障壁となっています。

参考:経済産業省「次世代電池の技術開発トレンドおよび事業進捗について」

参考:WO2014162532A1 - 全固体電池、および全固体電池の製造方法 - Google Patents

 

今EVの購入を検討している人は全固体電池を待つべきか

EVの購入は全固体電池を待つべきか

現在車の買い替えを検討しており、全固体電池の登場まで待つべきか悩んでいる方に向けて、判断の基準となるポイントを解説します。

普及初期の価格を考慮した判断のポイント

全固体電池を搭載したEVが2027年頃に発売されたとしても、初期の段階では車両価格がかなり高額になることが予想されます。新しい技術が市場に投入される際、開発費の回収や生産規模の小ささから、まずは高級車やスポーツカーなどのハイエンドモデルに限定して採用されるのが一般的です。そのため、大衆車向けの身近な価格帯に全固体電池が降りてくるのは、2030年代に入ってからになる可能性が高いと考えられます。

もし、現在乗っている車の車検が近づいていたり、維持費の削減を目的として手頃な価格のEVを探していたりする場合は、全固体電池を待つのはあまり現実的ではありません。現在販売されているリチウムイオン電池搭載のEVでも、日常的な通勤や買い物、週末のドライブには十分な航続距離を備えており、今のタイミングで購入しても大きな不便を感じることは少ないはずです。

補助金やインフラの現状から考える購入タイミング 

EVを購入する際に利用できる国や自治体の補助金制度も、購入タイミングを測る上で考慮すべき要素となります。現在はEVの普及を促進するために手厚い補助金が用意されていますが、将来的に全固体電池が普及しEVが一般的な乗り物となった段階では、このような補助金制度が縮小されるか、あるいは終了してしまう可能性があります。

また、日本全国の充電インフラも現在進行形で拡充されていますが、充電設備の大半は現在のリチウムイオン電池を想定した出力規格で作られています。全固体電池の強みである超急速充電を最大限に活かすためには、それに対応した超高出力な充電器が新しく普及するのを待たなければなりません。そのため、最新技術をどうしても一番に体験したいという強い思いがない限りは、補助金が充実している今のタイミングで、現在のライフスタイルに合ったEVを選ぶという選択も賢明な判断と言えるでしょう。

 

まとめ

この記事の要点をまとめます。

  • 電気自動車向けの全固体電池は2027年から2028年頃の実用化が有力である
  • トヨタや日産など主要メーカーが量産化に向けた体制構築を急いでいる
  • 実用化には量産コストや耐久性の向上といった技術的課題が残されている
  • 発売初期は車両価格が高額になるため今のEVを購入するのも一つの選択である

全固体電池の動向を把握し、ご自身のライフスタイルに合った自動車選びの参考にしてみてください。

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