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北京モーターショー2026レポート
HEVへの「逆シフト」と進む海外勢の現地化
2026/06/15
先の見えない値下げ競争から脱却すべく、海外に活路を見いだす中国メーカー。一方、外資系は協調と競合を上手に駆使して生存戦略を展開する。そんな中国の最新事情を2026年4月開催の「北京モーターショー」から紐解く。(写真・文:中国車研究家 加藤ヒロト)
上海と交互で毎年4月に開催される北京モーターショーは今年、従来の会場に併設する形で誕生した新会場も取り込み、展示面積は22万㎡から38万㎡へと拡大した。17個ある展示ホールには80以上のカーメーカー・ブランド含む2,000以上の出展者が集結、展示台数は1,451台となった。そのうち、世界初公開車種は181台で、コンセプトカーは71台と主催者は発表している。会場が広くなった影響でカーメーカーがより広い展示スペースをとれるようになっただけでなく、各メーカーと同じ展示ホールに駆動用バッテリーや自動運転システム、エンタメ関連などのサプライヤーも同規模のブースを構えているのが印象的であった。こういったところからも中国の自動車産業が拡大傾向にあると感じられた。
電気自動車(BEV)一辺倒と思われがちな中国市場だが、ここ2~3年ではプラグインハイブリッド(PHEV)やレンジエクステンダー付きEV(EREV)も同様にそろえるのが一般的だ。ただ、今回感じたのはさらにその逆を行くストロングハイブリッド(HEV)回帰の風潮である。中国勢ではジーリー(吉利汽車)やチェリー(奇瑞汽車)、長安汽車が新たなHEVを発表して注目を浴びた。これには政府によるEV優遇政策が2026年から削減されたことに加え、消費者の間で依然として航続距離の不安が根強いことが影響していると言える。各社はどれもEV開発からフィードバックした新世代のHEVシステムであることをアピールし、従来より大型化したバッテリーや、さらなる熱効率を追求した新エンジンで日系HEVに勝負を挑む。
技術やコストパフォーマンスで先を行く中国勢に対抗すべく、外資系メーカーは現地の合弁企業を通して新モデルや新技術を開発する「現地化」をますます加速させている。この風潮はトヨタが2020年に発表したBYDとの協業に端を発していると言え、その成果として一汽トヨタ(第一汽車との合弁)はこれまでに2つのBEVを発売した。何かと暗い話題の続く日産も遅れまいと中国向けEVを続々投入、主力の「Nシリーズ」は現在3車種をラインアップする。日産はこれらを中国だけでなく新興国市場へも輸出すると発表しており、「中国のために中国で開発されたEV」がそのまま世界でも通用するかに注目だ。他にも、独フォルクスワーゲンや英ランドローバーも現地開発を推進、欧州といった先進国市場への投入を匂わせている。
日産アーバンSUV PHEVコンセプト
日産は今回、2台のPHEVコンセプトを披露した。そのうち、アーバンSUV PHEVコンセプトは中国向けに発売したばかりの「NX8」に近い雰囲気を持つものの、サイズをよりコンパクトにして若い購買層をターゲットにしたとしている。デジタルサイドミラーやLiDARがもたらす高度な運転支援機能にも期待だ。
日産 アーバンSUV PHEVコンセプト
日産 テラノPHEVコンセプト
もう一方のコンセプトは1990年代のRVブームをけん引した名車「テラノ」の復活だ。パワートレインはPHEVで、中国で製造しているピックアップ「フロンティア プロ」がベースならば、恐らく同じ1.5l直4ターボを搭載するだろう。市販モデルは1年以内に発売予定としており、中国だけでなく日本でも大きな話題を呼ぶ。
日産 テラノPHEVコンセプト
BYD 元PLUS
BYDは日本でも販売している世界戦略SUV「元PLUS(海外名:アット3)」のフルモデルチェンジを発表した。駆動方式はFWDからRWDへ刷新し、サイズも初代より拡大、全長は+210mmとなる。モーターは出力268hpと321hpの2種類を用意するなど、走りの面でも初代より大幅にパワーアップしている。
BYD 元PLUS
デンツァ Z
BYDの「デンツァ」ブランドからは電動スーパーカーが発表された。1年前にプロトタイプが披露された際は2ドアクーペだったが、今回はオープンモデルが先行して発売されると明かされた。詳細はまだ謎に包まれているものの、3モーターで1,000hp近くを叩き出し、0-100km/hを1.9秒で加速するとしている。
デンツァ Z
紅旗 グローバルSUVコンセプト
第一汽車が展開する中国の歴史ある高級車ブランド「紅旗」は多角化を進めており、今回発表した「グローバルSUVコンセプト」は同ブランドの海外市場拡大を目指した新世代のモデルだ。サイズは従来の紅旗SUVよりも小型な全長4,750mmクラスで、発電用エンジン搭載のEREVパワートレインを採用すると見られる。
紅旗 グローバルSUVコンセプト
ヒョンデ アイオニックV
韓中関係や電動化への乗り遅れを受け、ヒョンデの中国販売は年々悪化の一途を辿っている。そんなヒョンデの起死回生をかけた1台が、中国専売モデル第1弾の「アイオニックV」だ。SF映画の宇宙船のような見た目を持つ純電動コンパクトセダンで、インテリアのレイアウトも中国における流行を取り入れた設計となる。
ヒョンデ アイオニックV
フォルクスワーゲン ID. AURA T6
第一汽車との「一汽フォルクスワーゲン」が製造・販売する純電動SUV。プラットフォームには新興EVメーカー「シャオペン」と共同開発したものを採用、加えて自動運転ベンチャー「ホライゾン」のハンズオン自動運転を搭載するなど、開発コストを抑えながら中国市場の需要に応えた1台だ。発売は2026年下半期を予定する。
フォルクスワーゲン ID. AURA T6
212 T10
「212」は北京汽車製造廠(BAW)が1965年に生産開始した軍用車「BJ212」をモチーフとしたオフロードSUVブランドである。2024年にはジープ ラングラーをベースとする「T01」を発売、そして今回はその3ドアモデルとなる「T10」が披露された。エンジンには2.0lターボを採用すると見られる。
212 T10
トランプチ 越7
オフロード風SUVの流行りを受け、国営メーカー「広州汽車」も初となるモデルの発売に乗り出す。同社のSUVブランドから新たに登場した「越7」は1.5l直列4気筒ターボエンジン+47.9kWhバッテリーを搭載するPHEVで、チェリーの「iCAR V27」や、BYDの「方程豹 豹5」などがライバルとなるだろう。
トランプチ 越7