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外国人自動車整備士の採用方法!必要な在留資格3種類や費用、注意点を解説
自動車整備士の人手不足でお悩みですか?この記事では、外国人整備士を採用するために必要な「特定技能」などの在留資格3種類を比較し、それぞれのメリットや注意点を解説します。採用までの具体的な流れや費用も紹介しており、貴社に最適な人材確保の方法がわかります。
2026/03/24

日本人の整備士を採用しようと求人を出しても、応募が全く来ないという状況にお困りではないでしょうか?少子高齢化が進む中、多くの整備工場が深刻な人手不足に直面しており、その解決策として「外国人自動車整備士」の採用が注目を集めています。この記事では、外国人整備士を採用するために知っておくべき3つの在留資格の違いや、具体的な採用手続きの流れ、そして受け入れ後の定着ノをわかりやすく解説します。読み終わる頃には、貴社の工場に最適な採用方法が見つかり、新たな人材確保に向けた第一歩を踏み出せるようになります。

なぜ今、外国人自動車整備士の採用が注目されているのか?
自動車整備業界において、外国人材の採用が急速に進んでいるのには明確な理由があります。これまで通りの求人方法では人材が集まらない現状に対し、多くの経営者が新たな活路を見出し始めているからです。ここでは、業界を取り巻く環境の変化と、なぜ外国人がその解決策となり得るのかについて、背景を掘り下げていきます。
自動車整備業界の深刻な人手不足が背景にある
現在の自動車整備業界は、かつてないほどの人手不足に直面しています。若者の車離れや職業選択の多様化により、整備士を目指す若年層が減少していることが大きな要因です。整備士養成施設の入学者数も減少傾向にあり、国内の人材だけで現場を回すことが年々難しくなっています。このままでは、車検や点検の受け入れ台数を制限せざるを得なくなり、工場の経営そのものが立ち行かなくなるリスクがあります。このような状況下で、労働力を確保するための現実的な手段として、外国人材への注目が高まっているのです。
【関連記事】【IAAE2025:国土交通省】自動車整備業界の現状は? 人材確保はどうする? | BSRweb | 株式会社プロトリオス - PROTO-RIOS INC.
外国人整備士の数は年々増加傾向
実際に現場で働く外国人整備士の数は、右肩上がりで増え続けています。国土交通省や関連団体のデータを見ても、整備要員として従事する外国人は増加の一途をたどっており、すでに多くの工場で貴重な戦力として活躍しています。彼らは日本で技術を学びたいという強い意欲を持っており、真面目に業務に取り組む姿勢が高く評価されています。すでに珍しい存在ではなくなりつつあり、業界全体として外国人とともに働くことが当たり前の光景になり始めているのです。
国も制度を整備し受け入れを後押ししている
政府もこの人手不足を深刻に受け止め、外国人材を受け入れやすくするための制度改革を進めています。特に2019年に新設された「特定技能」制度は、即戦力となる外国人を雇用しやすくするための仕組みとして大きな期待を集めています。また、従来の「技能実習」制度も、より人材育成と定着に重きを置いた「育成就労」制度へと見直しが進められています。 国が主導して受け入れの門戸を広げている今こそ、制度を正しく理解し活用することが、企業の成長にとって重要な鍵となります。
参考:特定技能制度 | 出入国在留管理庁
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外国人自動車整備士を採用するメリット

外国人整備士の採用は、単に空いた人員の穴埋めをするだけではありません。日本人採用が難しい中で人材を確保できるだけでなく、組織全体に良い刺激を与える副次的な効果も期待できます。ここでは、実際に外国人材を雇用することで得られる具体的なメリットについて解説します。
慢性的な人手不足の解消につながる
最大のメリットは、何と言っても慢性的な人手不足から脱却できることです。国内では応募が来ない求人でも、海外には日本で働きたいと希望する若者が数多く存在します。母集団を世界に広げることで、採用のチャンスは劇的に広がります。必要な人数を安定的に確保できれば、予約を断ることもなくなり、工場の稼働率を維持・向上させることが可能です。経営者にとって、「人がいない」という最大のストレスから解放されることは、計り知れない価値があるはずです。
【関連記事】整備士の採用が難しい理由は?今すぐできる対策と定着率を高める秘訣を解説 | BSRweb | 株式会社プロトリオス - PROTO-RIOS INC.
若く意欲的な人材を確保しやすい
来日を希望する外国人の多くは20代から30代の若年層であり、技術習得に対するモチベーションが非常に高いのが特徴です。彼らは母国での成功やキャリアアップを夢見て日本へやってくるため、仕事に対する熱意やハングリー精神を持っています。高齢化が進む日本の整備工場にとって、若く体力があり、かつ意欲的な人材が加わることは、現場の活性化に直結します。教えがいのある彼らの姿勢は、ベテラン整備士にとっても良い刺激となることが多いです。
社内のコミュニケーションが活性化する
外国人が職場に入ると、必然的にコミュニケーションの機会が増えます。業務指示をわかりやすく伝えようと工夫したり、文化の違いについて話したりすることで、社員同士の会話が自然と生まれます。これまで黙々と作業していた現場でも、「伝える」という意識が高まることで、チームワークが向上するケースが少なくありません。異文化交流を通じて視野が広がり、職場全体の雰囲気が明るくなることも、導入企業からよく聞かれるメリットの一つです。
外国人顧客への対応力が向上する
近年は日本に住む外国人も増えており、整備工場を訪れる外国人顧客も珍しくありません。そのような場面で、母国語や英語で対応できるスタッフがいることは大きな強みになります。言葉の壁によるトラブルを防げるだけでなく、安心して任せられる工場として、外国人コミュニティ内での評判が高まることも期待できます。新たな顧客層を取り込むきっかけとしても、外国人スタッフの存在は有効に機能します。
外国人自動車整備士の採用で注意すべき点
メリットが多い一方で、外国人採用には日本人を採用する場合とは異なる特有の難しさや注意点があります。これらを事前に理解し対策をしておかないと、早期離職やトラブルにつながる可能性があります。ここでは、採用前に必ず押さえておくべきリスクや配慮事項について説明します。
言語や文化の違いへの配慮が必須である
日本語能力試験に合格していても、専門用語や現場特有の言い回しまで完璧に理解しているとは限りません。指示が正しく伝わっていないと、整備ミスや事故につながる危険性があります。また、宗教的な習慣や生活様式の違いから、誤解が生じることもあります。たとえば、お祈りの時間を確保したり、食事の制限に配慮したりするなど、互いの文化を尊重し歩み寄る姿勢が求められます。単に労働力として見るのではなく、異なる背景を持つ人間として接することが大切です。
在留資格の複雑な手続きが必要になる
外国人が日本で働くためには、適切な「在留資格(ビザ)」を取得しなければなりません。この申請手続きは種類によって要件が異なり、非常に複雑で専門的な知識を要します。提出書類も多く、許可が下りるまでに数ヶ月かかることも珍しくありません。また、採用後も定期的な更新手続きや、在留カードの管理など、日本人にはない労務管理業務が発生します。コンプライアンスを遵守するためにも、行政書士などの専門家と連携する体制を整えておくことをお勧めします。
参考:在留資格認定証明書交付申請 | 出入国在留管理庁
参考:在留期間更新許可申請 | 出入国在留管理庁
日本人と同等以上の労働条件が求められる
「外国人だから安く雇える」という考えは、完全に過去のものです。法律により、日本人と同等以上の報酬額や労働条件を設定することが義務付けられています。賃金格差をつけることは差別となり、法律違反として処罰の対象になります。また、彼らは円安の影響や他国の賃金上昇にも敏感ですので、魅力的な待遇を提示できなければ、より条件の良い企業へすぐに転職してしまいます。優秀な人材に来てもらうためには、適正な給与設定が必要です。
既存社員の理解と受け入れ体制が不可欠
現場で実際に指導にあたるのは、既存の日本人整備士たちです。彼らの理解と協力がなければ、外国人材の受け入れは成功しません。「言葉が通じないから面倒だ」「仕事が増える」といったネガティブな感情を持たれないよう、事前に採用の目的やメリットを説明し、納得してもらうプロセスが重要です。受け入れ側の不安を取り除き、全員で新しい仲間を育てるという雰囲気を作ることが、定着への第一歩となります。
雇用に必要な在留資格3種類を比較する

自動車整備士として働くための在留資格には、主に「特定技能」「技能実習(育成就労)」「技術・人文知識・国際業務」の3種類があります。それぞれ対象となる人材のレベルや目的が異なるため、自社のニーズに合った資格を選ぶことが重要です。以下の表で、それぞれの特徴を整理しました。
項目 | 特定技能1号 | 技能実習(育成就労へ移行予定) | 技術・人文知識・国際業務 |
主な対象 | 一定の知識・技能を持つ即戦力 | 技能習得を目指す未経験者 | 大学等で専門知識を学んだ高度人材 |
求められる資格 | 自動車整備特定技能評価試験合格等 | 特別な資格は不要 | 2級自動車整備士以上(要件による) |
日本語能力 | 日常会話レベル(N4相当以上) | 基礎レベルからスタート | 高い日本語能力が望ましい |
活動内容 | 整備全般(分解整備含む) | 指導員の下での作業・技能修得 | 整備業務、通訳・翻訳、技術指導 |
在留期間 | 通算5年まで(2024年7月から特定技能2号も可能) | 最長5年(育成就労は原則3年) | 更新すれば無期限 |
こんな企業向き | 現場ですぐに動ける人材が欲しい | 時間をかけて若手を育成したい | 将来の幹部候補を採用したい |
即戦力を求めるなら「特定技能」
「特定技能」は、現場の人手不足を補う即戦力を確保するための在留資格です。この資格を持つ外国人は、一定レベルの技能試験と日本語試験に合格しており、基本的な整備作業を一人でこなす素地があります。さらに、3級整備士相当の知識を持っているとみなされるため、入社直後から現場の戦力として期待できます。ただし、在留期間は通算5年までという制限があるため(2号へ移行すれば無期限も可能)、長期的なキャリアパスについては本人と相談が必要です。
参考:国土交通省「自動車整備分野における外国人の受入れ(在留資格:特定技能)」
参考:通算在留期間 | 出入国在留管理庁
未経験者を育成するなら「技能実習(育成就労)」
「技能実習」は、日本で技術を学び母国へ持ち帰る国際貢献を目的とした制度です。そのため、採用時点では整備の経験がない未経験者も対象になります。企業側にとっては、一から自社のやり方を教え込み、じっくりと育成できる点がメリットです。なお、この制度は2027年4月1日に「育成就労」という新制度へ移行することが決まっており、より人材確保と育成に重点を置いた仕組みに変わります。
参考:育成就労制度Q&A | 出入国在留管理庁
参考:外国人技能実習制度について |厚生労働省
2級整備士以上を採用するなら「技術・人文知識・国際業務」
通称「技人国(ぎじんこく)」と呼ばれるこの資格は、専門的な技術や知識を持つ高度外国人材向けのものです。自動車整備の分野では、日本の専門学校を卒業して「2級自動車整備士」の資格を取得した留学生などが主な対象となります。彼らは高い日本語能力と専門知識を兼ね備えており、整備業務だけでなく、通訳や将来の管理者候補としても活躍が期待できます。在留期間の更新制限がないため、長く働いてもらいたい場合に最適な資格です。
参考:在留資格「技術・人文知識・国際業務」 | 出入国在留管理庁
いずれの資格も認証工場であることが基本要件
どの在留資格で採用する場合でも、受け入れ企業である整備工場は「認証工場(地方運輸局長の認証を受けた工場)」または「指定工場」であることが大前提となります。分解整備などの特定整備を行うには、この認証が不可欠だからです。もし未認証の工場であれば、外国人整備士を受け入れることはできません。まずは自社の工場の認可状況を確認し、受け入れ要件を満たしているかチェックすることから始めてください。
参考:自動車整備分野 | 出入国在留管理庁
参考:厚生労働省「特定の職種及び作業に係る技能実習制度運用要領」
外国人整備士を採用するまでの具体的な流れ

実際に採用活動を始めてから外国人が入社するまでには、国内採用よりも多くのステップと時間を要します。ここでは、一般的な採用フローを時系列で解説します。スムーズな受け入れのために、全体像を把握しておきましょう。
手順1:採用計画と在留資格を決定する
まずは、どのような人材を何名採用したいのか、明確な計画を立てます。「即戦力が欲しいから特定技能」「将来の幹部候補なら留学生」といったように、求める人物像に合わせてターゲットとなる在留資格を決定します。この段階で、いつまでに入社してほしいかというスケジュールも逆算して設定しておきます。海外から呼び寄せる場合は半年近くかかることもあるため、余裕を持った計画が必要です。
参考:特定技能制度に関するQ&A | 出入国在留管理庁
手順2:人材紹介会社などを通じて募集する
外国人の募集を自社だけで行うのはハードルが高いため、外国人材に特化した紹介会社や監理団体(技能実習の場合)、登録支援機関を利用するのが一般的です。これらの専門機関は、現地の送り出し機関と提携しており、条件に合った候補者を推薦してくれます。信頼できるパートナーを見つけることが、採用成功の鍵を握ると言っても過言ではありません。複数の会社に相談し、サポート体制や実績を比較検討してください。
参考:送出し国・送出機関 | 外国人技能実習制度 | JITCO - 公益財団法人 国際人材協力機構
手順3:書類選考とオンライン面接を実施する
紹介会社から候補者の提案を受けたら、履歴書や職務経歴書を確認し、書類選考を行います。その後、Zoomなどのビデオ通話ツールを使って面接を実施します。面接では、技術的な質問だけでなく、なぜ日本で働きたいのか、どのくらい長く働きたいかといった意欲や人柄を確認します。言葉の壁がある場合は、通訳を介して行いますが、簡単な日本語で直接会話をしてみることで、実際の語学レベルを肌感覚で掴むことができます。
手順4:地方出入国在留管理局へ申請する
採用が内定したら、いよいよ在留資格の申請手続きに入ります。「在留資格認定証明書」の交付申請を、管轄の地方出入国在留管理局に行います。この手続きには、雇用契約書や採用理由書、企業の登記簿謄本など、膨大な書類が必要です。申請から許可が下りるまでには、通常1ヶ月から3ヶ月程度の審査期間がかかります。不備があるとさらに長引くため、行政書士などの専門家のサポートを受けるのが確実です。
参考:在留資格「特定技能」 | 出入国在留管理庁
参考:在留資格認定証明書とは|申請の流れ・必要書類・審査期間を行政書士が解説【2026年度版】
手順5:住居など生活面の受け入れ準備を整える
在留資格が無事に許可され、ビザが発給されたら、来日の日程を調整します。それと並行して、日本での生活拠点を準備します。社宅や寮の手配、家具・家電の準備、ライフラインの契約など、彼らが来日してすぐに生活を始められるようサポートします。また、空港への出迎えや、転入届、銀行口座の開設といった初期手続きの同行も必要です。これらをスムーズに行うことで、彼らは安心して仕事に集中できるようになります。
参考:1号特定技能外国人支援・登録支援機関について | 出入国在留管理庁
採用後の定着を成功させるポイント
苦労して採用した外国人整備士に、長く働いてもらうためには、入社後のフォローが何よりも大切です。文化や言葉の壁を乗り越え、彼らが職場で能力を発揮できる環境を作るためのポイントを紹介します。
業務マニュアルの多言語化や図解化を進める
日本語のマニュアルだけでは、細かいニュアンスが伝わらないことがあります。写真やイラストを多用した「見てわかる」マニュアルを作成したり、重要なポイントには母国語の翻訳を添えたりする工夫が有効です。また、作業手順を動画で撮影し、いつでもスマホで確認できるようにしておくのも良い方法です。視覚的に理解できるツールを用意することで、教育にかかる時間を短縮し、ミスを減らすことができます。
日本語学習や資格取得の機会を提供する
仕事で使う日本語や、日本の整備士資格の取得に向けた学習をサポートします。日本語教室への通学費を補助したり、社内で勉強会を開いたりすることで、彼らの成長意欲を満たすことができます。特に、3級や2級整備士の資格取得は、彼らにとって大きな目標であり、給与アップにもつながるため、モチベーション維持に非常に効果的です。学ぶ機会を与えることは、会社へのエンゲージメントを高める投資と言えます。
【関連記事】自動車整備士の資格取得ガイド!種類や難易度、合格への近道を解説 | BSRweb | 株式会社プロトリオス - PROTO-RIOS INC.
孤立させないための定期的な面談を行う
異国での生活は、想像以上にストレスが溜まるものです。仕事の悩みだけでなく、生活面での不安やホームシックになっていないかなど、こまめに声をかけることが大切です。定期的に面談の時間を設け、しっかりと話を聞く体制を作ってください。日本人社員とのランチ会や社内イベントを通じて、仲間としての絆を深めることも、孤独感を和らげる良い方法です。
役所の手続きなど日本での生活を支援する
病気になった時の病院への付き添いや、税金・保険の手続き、携帯電話の契約など、日本特有の複雑な手続きをサポートします。これらは日本語が不慣れな外国人にとって大きなハードルです。生活の基盤が安定していなければ、良い仕事はできません。公私にわたって親身になって相談に乗ることで、会社への信頼感が生まれ、「この会社で長く働きたい」という気持ちを醸成することができます。
まとめ
外国人整備士の採用はハードルが高いと感じるかもしれませんが、適切な準備と理解があれば、貴社にとってかけがえのない戦力となります。
この記事の要点をまとめます。
· 外国人整備士の採用は、深刻な人手不足を解消し、工場の活性化や将来の事業継続を実現する有効な手段である
· 採用にあたっては「特定技能」「技能実習(育成就労)」「技術・人文知識・国際業務」の3つの在留資格の違いを理解し、自社の目的に合った制度を選ぶ必要がある
· 定着のためには、日本人と同等以上の待遇を用意し、業務マニュアルの工夫や生活支援など、受け入れ体制を整えることが不可欠である
外国人整備士の採用はハードルが高いと感じるかもしれませんが、適切な準備と理解があれば、貴社にとってかけがえのない戦力となります。まずは制度を正しく知ることから始め、新たな人材戦略の一歩を踏み出してみてください。

