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石芳のこれでヨシ! クラウンシリーズ 塗色マットメタル「1M1」

マット塗装のクラウンを美しく保つ!TMコートの効果と正しい洗車方法を徹底解説

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2025/05/31

艶消しクリアの上にTMコートが施工されており、防汚効果がある。1年に1回再施工が推奨されている。保険仕事の場合、初年度以降の場合は再施工されているか、それが1年以内かがまずは争点になるだろう。

トヨタ自動車は5月22日、クラウン(セダン)に2つの特別仕様車を設定した。このうち、クラウン専門店「THE CROWN」専用の特別仕様車Z“THE LIMITED-MATTE METAL”にマット塗装の車体色を設定した。昨年2024年10月10日に発売されたクラウン(スポーツ)に続いて2車種目。

このマット塗装は塗色コード「1M1」、塗色名称「マットメタル」として設定されている。特筆すべきは「TMコートマット塗装」と呼ばれる特殊表面処理がクリア層の上に施されている点である。このTMコートは高い防汚性と汚れ除去性を長続きさせ、マットクリア塗装のお手入れを容易にする効果がある。メーカー工場内でマットクリア塗装に特殊表面処理が施されており、一般的なコーティングの膜よりも薄いため、マットの質感を損なわずに防汚性と汚れ除去性を付与する。

TMコートの再施工は年に1回が推奨されており、これにより防汚性、汚れ除去性が新車時と同程度まで回復するとされている。ただし、小傷やこびりついた汚れは除去できない。

マット塗装のメンテナンスには特別な注意が必要である。洗車時には、車体表面の砂やほこりを十分に水をかけて洗い流し、その後に柔らかいセーム革で車体を軽く拭くことが推奨されている。洗車ブラシや電動ポリッシャー、コンパウンド(研磨剤)の使用は避けるべきである。また、ワックスやコーティング剤の使用はマットな質感を損なう可能性があるため推奨されない。鉄粉除去剤やピッチクリーナー、ガラス用撥水コーティング剤、タイヤクリーナーなども使用しないよう注意喚起されている。家庭用中性洗剤やカーシャンプーは薄めて使用し、使用後はしっかりと水で洗い流す必要がある。

日常の使用から傷に気をつけ、汚れが付着した場合は速やかに洗車する必要がある。これは、マットクリア塗装が表面に細かな凹凸を持つため一般的なクリア塗装よりも汚れが付着しやすく、放置すると汚れが塗装表面の隙間に入り込み落ちにくくなるためである。また、凹凸のある塗装表面が平らに近づくことで艶が出てしまい、マットな質感が損なわれるおそれがある。

傷の補修については、一般的なクリア塗装のように研磨したりタッチアップペイントを使用したりする方法は、マットな質感を損なう可能性があるため推奨されない。マットな質感を損なわずに傷を補修するには、部品全体を再塗装する必要があり、詳細は購入した販売店に相談することになる。洗車機の利用は避けるべきだろう。

車体にステッカーやラッピングフィルム、マグネット式の標識などを貼り付けることも、特殊撥水処理の影響で密着性が落ち、剥がれるおそれがあるため推奨されていない。

<文・石芳賢和>

施工対応拠点はどこか、クラウン専門店のみで扱うグレードだけに確認することは多い。洗車だけでも細心の注意が必要だ。間違っても洗車機にはかけないように。トラブルの元だ。