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BSR誌面連動企画『磨きの匠』 FILE#3 Y'sボディー・小林洋平
磨きとは「クリヤー、コンパウンドなどの機材の特性を熟知すること」である
2025/05/15
PROFILE
小林洋平(こばやし・ようへい/写真右)
ムラタ 第2技術部 課長 髙山翔吾
経験年数 25年以上
主な経歴 Y'sボディーオンラインサロン「鈑金塗装 研究室」を主宰・運営。鈑金塗装だけでなくSNS及びWebなどのマーケティング戦略についても幅広い知見を持つ。
座右の銘 「木を見て森を見ず」
――磨き作業で意識すべきポイントや考え方について
初期研磨において、傷やブツなどの塗膜不良をどれだけ取り切れるかは一つのポイントとなる。そのため、P1500〜2500でペーパー研磨を止めるのではなく、P4000までていねいに傷を置き換えておく方が良い。今回実演で使用したALMA HCは硬質塗膜(外資ハイソリッド・耐スリ傷性クリヤー)の初期研磨に適したコンパウンドだが、今まで現場で使用してきたコンパウド製品でも、この初手の手間を惜しまないことで後の仕上がりを高められる。
もちろんクリヤーの種類や乾燥度合いによってバフの当て方も変わり、研磨中のバフをマメに清掃することで塗膜への深いバフマークを防止できる。このような各工程や塗膜ごとに気を付けた方が良いポイントは、ここでは伝え切れないほどあり、すでに現場で取り組んでいる方も多いだろう。しかしより大切なのは、コンパウンドやバフなどの使用機材がどのような特徴を持っているかを作業者が正確に把握すること。
私自身、ALMAシリーズコンパウンドの開発者であるムラタ・髙山翔吾氏と出会えたことで、深い製品知識を得ることができ、磨き作業に活かせた。現場の技術者がこういった知識に触れる機会は少なく、他社製品でも同じ様にはいきにくい。だからこそ、自社WebサイトやSNSを通じて現場に最新情報を届けつつ、技術者が製品を選ぶ選択肢を増やせるよう努めていきたい。
――次世代を担う若手技術者にメッセージを
磨きに限った話ではないが、自分の担当業務や上達したい作業などがあれば、まずその仕事の本質を理解することからスタートする。
プロの技術者として働く以上、持っている技術は顧客のニーズに合わせた価値として提供できてこそ、顧客を心から満足させることができる。自身のこだわりを強く持つのは良いことだが、自己満足に終始しないよう、夢中になって技術を磨いてほしい。
【作業実演】
トヨタ209ブラックマイカのボンネットへの磨き
~硬質塗膜(外資ハイソリッドクリヤー)~
ボンネットに付けたペーパー傷を、3工程で仕上げまで実演。実作業を想定し、1〜2工程でシングルアクションポリッシャーにより傷を細かく置き換えた後、3工程目にダブルアクションポリッシャーでオーロラを消して仕上げた。