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国交省、第8回「OBD検査準備会合」を開催(後半)。「特定DTC照会アプリ」未使用ディーラーのOBD検査未実施と保適証発行を警告
2024年8月時点の「特定DTC照会アプリ」の初回使用率は全体で53%、ディーラーで68%
2024/09/06
国土交通省は2024年9月4日、第8回「OBD検査準備会合」をAP新橋(東京都港区)で開催した。
事務局は国交省物流・自動車局自動車整備課と自動車技術総合機構(機構)OBD情報・技術センター、構成員は日本自動車工業会(自工会)、日本自動車輸入組合(JAIA)、日本自動車機械器具工業会(自機工)、日本自動車機械工具協会(機工協)、日本自動車整備振興会連合会(日整連)、日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連)、日本自動車連盟(JAF)、軽自動車検査協会(軽検協)、交通安全環境研究所。
<前半の記事はこちら(https://bsrweb.jp/news/detail.php?id=001983)>
最後となる今回の第8回会合では、OBD検査に向けた直近の準備状況についても確認。指定整備工場におけるOBD検査システムへのID登録完了率は、2024年8月26日時点で96%、同じく初回ログイン完了率は同94%にまで上昇している。
これについて国交省物流・自動車局自動車整備課の村井章展(むらいあきのぶ)整備事業指導官は、「本格運用開始までまだ1年ある輸入車中心、あるいは大型特殊自動車や二輪自動車などOBD検査対象外の車両のみ扱っている指定工場を除けば、ID登録完了率は98%になる。つまり、OBD検査に対応するつもりはあるけどID登録がまだという指定工場は全体の2%」と補足説明。
「運輸局の方で全ての指定工場に一軒一軒確認したところ、OBD検査に対応するつもりがない指定工場はあまりいないということが分かったので、最後までフォローした結果、(OBD検査への対応が必要な)全ての指定工場でID登録が終わったと思っている」との見解を示した。
指定工場の支局別のID登録完了率【支局別】(令和6年8月26日時点)
村井指導官は、「OBD検査対象車の入庫がしばらく見込まれない事業者は現時点での検査用スキャンツール購入を控えていると思われるが、本格運用開始の10月1日より直ちに対象車となる型式の車両が入庫する、特にディーラーはOBD検査の開始が必要になると認識している。我々はどのディーラーがまだ1回も特定DTC照会アプリを使用していないかをリストで共有しており、直ちに我々が監査でお邪魔する可能性があるので、まだ1回も使っていない事業者は本当に頑張ってほしい。我々もこれだけ準備して呼びかけてきて、最初の10月1日からOBD検査未実施の車両があるのはよくないと思っているので、特に10月1日よりOBD検査対象車となる車両の系列ディーラーはしっかり準備して10月を迎えてほしい」と警告した。
なお、2024年7月末時点でのOBD検査対象車の台数は、登録車が193万5373台、軽自動車が84万588台の、計277万5961台。
OBD検査対象車型式一覧(開始日が2024年10月1日の型式を抜粋)
自工会サプライチェーン委員会サービス部会サービス分科会の木原康秀委員は、ディーラーでの準備状況について報告。2024年8月15日時点のID登録完了率は99%、初回ログイン完了率は同98%、初回アプリ利用率は68%と、「全国平均よりは高いものの、確率的に系列ディーラーへ対象車が入庫するのは容易に想定できる。準備が不足した場合は10月1日以降に様々なリスクが生じることを都度入念に伝え、今後もフォローしたい」と述べた。
これに対し村井指導官は、「10月1日時点でOBD検査が適用される車種と、どのディーラーがまだ1回も特定DTC照会アプリを使用していないかは、我々が全部データを持っている。従って、アプリを1回も使っていない指定工場でOBD検査対象車に保安基準適合証が切られていれば、OBD検査未実施を疑うことになる。それは運輸局・運輸支局にも伝えているので、もしOBD検査への対応が間に合わない指定工場があれば保適証を切らないよう注意喚起をしっかりしてほしい」と再度警告。
「OBD検査未実施があれば、言い逃れはほぼ間違いなくできない状況になる。我々が監査する場合は、まずはそういうことが起こり得そうな事業者を重点的にチェックしようと思っているので、初回アプリ利用率が思ったほど伸びていないディーラーは気をつけてほしい」と、10月1日よりOBD検査対象車となる型式がある系列のアプリ未使用ディーラーより重点的に監査する意向を示唆している。
メーカー系列販売店(指定工場)の準備状況(令和6年8月15日時点)
続いて、プレ運用などにおいて2024年7月9日から8月19日までの間に新たに明らかになった課題と、それらに対する国交省および機構の対応について報告が行われた。
車検見積りでOBD確認を実施した工場にカーオーナーが車両を入庫せず、別の認証工場で車検見積りを取り、そちらに入庫し持込検査が受検された場合のOBD確認の扱いについて、結果が適合だった場合は実施事業者を問わず検査場でのOBD検査は原則的に省略される。
ただし、持込検査時にOBD検査を受ける前提でOBD検査結果に影響のある作業を行う想定の場合、別の工場が実施したOBD確認によって持込検査時のOBD検査が省略されるのは問題ではという指摘を受け、OBD確認の結果が意図せずOBD検査の省略に利用されないよう、整備事業者が自ら実施したOBD確認の結果を削除できる機能を追加することとしている。
最後に、OBD検査本格運用開始後も取り組むべき中長期的課題について確認。村井指導官は「本格運用開始後に上手くいかないことがあれば、制度修正は躊躇なく行う必要がある。またOBD検査の制度設計を行った2018年頃と比べて先進安全装置もその搭載車も増え、国際基準も整備されているので、OBD検査対象装置の拡充も今後論点になる」ことを示唆した。
また、「OBD検査自体はアプリがあればどの整備工場でも実施できるよう制度設計しているが、OBD検査で不合格となった車両を直せるかはまた別の問題」として、専用のスキャンツールやマニュアル、整備士の教育などを「自動車整備技術の高度化検討会」で並行して議論するほか、不具合を直せない自動車メーカー・車両型式・部位、手に入らない専用スキャンツールなどのアンケートを整備事業者に向けて実施する計画。
加えて、検査用スキャンツールのISO13400対応、特定DTC照会アプリと検査用スキャンツールのAndroidおよびiOS対応によるスマートフォン対応、OBD検査システムとOSS申請・電子保安基準適合証システムなどとの連携などを進める方針を示している。
そのほか、OBD検査準備会合の構成員などに募集し挙げられた新たな課題についても、開催頻度を落としつつOBD検査準備会合と同様の形式・構成員で行う、2024年11月に第1回を開催予定の「OBD検査モニタリング会合」で今後も議論していくこととした。
(文=遠藤正賢 図=国土交通省)
OBD検査準備会合構成員等から挙げられた新たな中長期的課題の概要
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