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    適切なエーミング作業とその後の完成検査の重要性とは?【IAAE2022セミナーレポート06:あいおいニッセイ同和自動車研究所】

    特定整備認証制度および制度導入後の点検基準改正、OBD検査におけるエーミング作業の実務についても解説

    • #イベント

    2022/03/25

     2022年3月9~11日の日程で東京ビッグサイトにて開催された、自動車アフターマーケット総合展示会「国際オートアフターマーケットEXPO 2022」。

     セミナープログラム「診断から始まる自動車整備~エーミングから完成検査の重要性~」には、あいおいニッセイ同和自動車研究所(以下、AD自研)研修部整備技術グループ長の小島一郎氏が登壇。特定整備認証制度と点検基準改正、OBD検査について解説するとともに、トヨタ・ヤリスの実車を用いたエーミングおよび完成検査の実演を行った。

    あいおいニッセイ同和自動車研究所の小島一郎氏と、トヨタ・ヤリスを用いたエーミング作業実演の様子

     特定整備における電子制御装置整備の認証基準では、点検作業場のスペースが6×2.5m 、そのうち屋内が3×2.5m、またエーミング作業の際には車両前部に1×2mのスペースが必要と規定されているが、実際のエーミング作業に必要なスペースは異なるのが実情だ。

     例えば今回実演に用いられたトヨタ・ヤリスの場合、フロントカメラのターゲット調整に必要な車両前部のスペースは、一括認識(ターゲットを3つ並べて1回で認識させる方法)で行う場合は認証基準と同じ1×2mで収まるが、順次認識(1つのターゲットを位置を変えて認識させる方法)で行う場合は3×3m必要になる。

     またミリ波レーダーの調整では、平面ターゲットを使った場合は2×2.5m、三角ターゲットを使った場合は6×5mのスペースが車両前部に必要なうえ、後者の場合は車両先端から2m以上先に金属があってはならないなどの制約が加わる。そして「全ての作業において、水平な床面であることが求められている。従って、非常に広いスペースが必要になる」と注意を促した。

     なお、特定整備認証制度の導入に伴い、従来の点検整備記録簿が特定整備記録簿に名称変更されるとともに、エーミング作業実施時の記載例が国土交通省のwebサイトに示されている。その中には、エーミング作業を行った場所・天候・理由を記載することで、電子制御装置点検整備作業場以外でもエーミング作業を実施できることが明記されている。

    電子制御装置点検整備作業場以外でエーミングを実施した場合の特定整備記録簿への記載例

     特定整備認証制度がスタートした2020年4月1日以前にエーミング作業をしていた整備工場には4年間の経過措置がある一方、2021年10月に点検基準が改正され、電子制御装置整備の認証あるいは経過措置の適用を受けていない整備工場は、電子制御装置整備の対象車両に対し保安基準適合証を発行することができなくなった。

     また点検基準の改正に伴い、点検項目に「車載式故障診断装置の診断の結果」が追加。エンジン、ブレーキ、ABS、衝突被害軽減ブレーキ、レーンキープアシスト、レベル3以上の自動運行装置がスキャンツールまたはメーター警告灯の目視による12ヵ月点検の対象となった。

     そして2024年10月より開始されるOBD検査では、排出ガス等発散防止装置のレディネスコード(OBD2の診断記録)、保安基準の対象となる運転支援技術(オートライト、衝突被害軽減ブレーキ(国際基準に沿った性能を持つもの)、バックカメラ(2022年5月義務化予定)、EDR(2022年7月義務化予定))および自動運転技術が検査の対象になる。

     そのため「これらの機能が正常に作動するためには当然状況判断が必要。ということは、センサーからの情報が適切にコンピューターに送られる必要がある。だからこそ、各センサーのエーミングが重要になってくる」と、適切なエーミング作業の重要性を強調している。

    排出ガス等発散防止装置のレディネスコードの一例

     その後、トヨタ・ヤリスのミリ波レーダーのエーミングを、バンザイの「センターサポートナビ」および「MST-7R」を使って実演。エーミングのみならずセンサーの交換作業も発生した場合は、トヨタ純正スキャンツール「GTS」のほか、部品をトヨタモビリティパーツに発注した際にトヨタのサーバーへアクセスするためのゲストアカウントを発行してもらい、セキュリティキーを更新する必要があることなど、実務上の注意点を分かりやすく説明していた。

     さらに、トヨタ・ヤリスのフロントカメラのエーミングも実演したほか、トヨタ・プリウスPHVの超音波センサー交換・エーミング・完成検査、スズキ「デュアルカメラブレーキサポート」やダイハツ「スマートアシスト」用フロントステレオカメラのエーミングおよび完成検査についても動画で紹介。

    トヨタ・プリウスPHVのインテリジェントクリアランスソナー作動確認の様子

    「エーミングが正しく行われていなければ、例えば衝突被害軽減ブレーキが正常に作動せず、前方の車両に衝突してしまう可能性がある。従来もエンジンやブレーキを脱着・交換していれば、整備主任者が確実に整備が完了しているか必ず確認してから点検記録簿にサインしていたのと同様に、ADAS(先進運転支援システム)に関わるセンサーのエーミングを行った際には、正常に作動するか完成検査を行ったうえでお客様に納車してほしい」と強く訴えていた。


    (文・写真=遠藤正賢/図=あいおいニッセイ同和自動車研究所)

    トヨタ・ライズe-SMARTハイブリッドの「スマートアシスト」機能検査の様子。非常に複雑な検査手順がサービスマニュアルで指定されているため注意が必要

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