JOURNAL 

横浜ゴム、AIとシミュレーションを融合したタイヤ金型設計支援システムを独自開発

熟練技術者の知見をデジタル化し、開発期間の短縮と高品質な金型設計の両立を図る

  • #ニュース

2026/05/18

 横浜ゴムは2026年4月、シミュレーション(FEM:有限要素法)とAI技術を融合したタイヤの金型設計支援システムを独自に開発した。これにより、膨大な仮想実験に基づき、金型設計因子の変更に伴うタイヤ特性の変化傾向といった情報を得ることが可能となる。経験の浅い技術者による設計を容易にし、開発スピードの向上やコスト削減、手戻りの抑制を実現する。また、金型設計因子とタイヤ特性の関係を多角的に把握することで、新たな知見の獲得や高性能な商品の開発が期待できるとしている。


開発の背景と従来手法の課題

 今回のシステムは、同社が2020年10月に策定したAI利活用構想「HAICoLab(ハイコラボ)」に基づき、開発プロセスの革新を目的として開発された。タイヤの特性を左右する金型設計において、従来は設計因子と特性の関係を把握するために試作と評価による試行錯誤が必要であり、多大な時間とコストを要していた。また、熟練技術者の知見に依存する部分が多く、設計精度や所要時間に個人差が生じるといった課題を抱えていた。


シミュレーションの自動化とAIによる可視化を統合

 同システムは、これらの課題解決に向けて「シミュレーションの自動化」と「AIによる予測・可視化」を組み合わせている。具体的な仕組みは以下の通りである。

  • 金型形状を変化させた多数のタイヤFEMモデルを自動生成し、仮想空間上でタイヤ特性を一括計算する。
  • 計算結果を学習データとして、金型設計因子とタイヤ特性の関係を瞬時に予測するAIモデル(サロゲートモデル)を構築する。
  • SHAP(SHapley Additive exPlanations)やPDP(Partial Dependence Plot)といったXAI(説明可能なAI)技術を適用し、各因子が特性に与える影響を定量的に可視化する。

 これにより、技術者は目標特性を達成するために「どの因子をどれだけ変更すべきか」という明確な指針を容易に得ることが可能となった。


「HAICoLab」を通じた開発環境の拡充を継続

 横浜ゴムはこれまで、2021年のタイヤ特性値予測システムや2024年のタイヤ設計支援システムを通じ、技術者が設計指針を容易に得られる環境整備を進めてきた。今回開発されたシステムは「HAICoLab」に基づく一連の取り組みとして位置付けられている。同社は今後も開発環境のさらなる充実を推進し、革新的なタイヤ開発を加速させる方針だ。