JOURNAL 

【“360° Mobility” 台湾国際自動車部品・アクセサリーショー TAIPEI AMPA VOL.2】

洗練される台湾の“手工具”

2026/06/08

 台北国際自動車及びオートバイ部品・アクセサリー見本市TAIPEI AMPAを含む3つの展示会で構成される、台湾最大級の自動車・オートバイ・EVの展示会「360° MOBILITYMega Shows」が、4月14 ~ 17日の4日間にわたり、台北市の台北南港展示会館で開催された。

 前回は、フォックスコングループ(Foxconn)でも知られる台湾のEV大手・鴻海(ホンハイ)精密工業を中心に、台湾域内のEV事情や、世界市場を見据えたカスタムパーツメーカーの動向から、台湾における機械産業の興隆を紐解いた。

 今回はさらにツールメーカー各社の動向を追い、台湾の自動車整備におけるトレンドや、現場が求める作業性について、日本との共通点やEV先進域としての未来像を見ていく。

会場となった台北南港展示会館。域内最大級の規模誇る

5,000億円市場で洗練される台湾の“手工具”

 日本の経済産業省に相当する台湾・経済部が主導する、MII(金属情報ネットワーク)とITIS(産業・技術情報サービス)の研究チームの調査によると、2025年度における台湾域内の手工具(ハンドツール)産業の総生産額は994億6,000万台湾ドル、日本円にして5,000億円超に上った。

 統計の分類に差異があるため単純比較はできないが、経済産業省の生産動態統計における日本の手作業工具生産額が近年400~500億円前後で推移しており、その規模の大きさが際立つ。

 台湾の機械産業は、台中市の“黄金の60キロメートル”と呼ばれる産業集積地を中心に、中小工場による緻密なネットワークが構築されている。
また、生産拠点を台湾に置く海外のツールブランドも少なくない。OEM需要も極めて旺盛で、生産額に対する輸出依存度は80%を超え、輸出先導型の産業基盤を確立している。

世界各国の認証・認定に則した構造設計やデザインをOEM製造を通じて吸収することで、台湾製工具は日々洗練され続けている。

第三者認証・検査機関も出展。中古車市場も大きく 品質検査が重要視されるなど日本と状況が重なる

日本に通ずる作業品質へのこだわり

 前回も触れたが、台湾ではEVシフトが急速に進んでいる。

 台湾区車両工業同業公会の調査によれば、EVの累計販売台数は2025年時点で10万台を突破。また、新車市場全体に占める割合を見ると、その普及率は8%に達するという。2026年以降も同域内政府はEV関連の補助金を継続していく方針だ。

 今回の展示会もこの流れに呼応する形で、EV整備用の絶縁工具を訴求するブースが目立つ。作業効率の向上を追求、支援する企業も多く出展。ツールや周辺器具をブラッシュアップしていき、業務効率向上を求めていく文化は、日本とも相通じるものがある。

 以下に、その一部の企業を紹介する。

絶縁工具を謳う ポスターが展示 会場各所に散見 され、EV整備に 身近さを感じる

研ぎ澄まされた現場主義台湾と世界を支えるツールメーカーたち

 今回の展示会では、最新の自動車整備に対応した高精度ツールを訴求するブースが数多く見られた。
 海外ブランドのOEMとして多くの引き合いがある製品も多く、日本国内で見かけるツールの源流と言える製品も散見された。
 さらに、EVAフォームを用いて工具にジャストフィットするケースを製作・提供するなど、現場主義に基づいた実用的かつ効率的な提案が相次いだ。

A-KRAFT TOOLS /磯慶實業股份

国際規格基準の高品質ハンドツールを開発。人間工学に基づく設計で各国ブランドのOEM生産も担う

BEST FRIEND ENTERPRISE /百旭朋企業

ぬくもりある木組みツールボックスと特注可能な収納用EVAフォームの独自路線で業務効率化を支援

DONZEE ENTERPRISE /東咨實業

産業向けの化学洗浄ソリューションを展開。車両から工具、そして手の平まで、作業環境を清潔に保つ

ECLATORQ TECHNOLOGY /數泓科技股份有

指示値の±1%の高計測精度と締め付け値・角度データ管理を両立するデジタル・トルクレンチを展開

FEASUN TECHNOLOGY /羽耀科技股份

域内最大級の3Dプリント製造拠点を構えスキャニングによるデータ化から開発支援まで一手に支える

MYTOOLS ENTERPRISE /銘祐實業

創業35年の老舗ツールメーカーも1,000V通電テストに合格した絶縁工具セットを複数取りそろえる

台湾の熱さに触れる展示会

 今回は通訳もなく、身振り手振りと翻訳アプリに頼っての取材となった。
 アプリを立ち上げるのに手間取っていると、向こうから翻訳機を用意してくれたり、恐らく“慌てなくてもいい”というようなことを言って笑ってくれた。

 だがアプリが立ち上がったとて、現地の喧噪もありあまり精度は良くなかった「ゴルフバッグを背負って、海に入ります」といった意味の通じない言葉に訳されることもザラだ。
 それでも何往復か繰り返すと、お互いに言いたいことが分かり(互いに分かったような気になっているだけかもしれないが)、最後には握手を交わしてくれた。

近未来を感じさせるEV三輪車両のコンセプトモデルも紹介された

 会場では海外ツアー客の中に、日本人の姿も多く見かけた。各社でツアーパックも用意されており、通訳者付きで会場を周ることもできるようだ。

 また今回は触れなかったが日本企業の出展もあり、台湾域内の様子を聞くことができた。

「市場がある。活気がある。そして熱気がある」。

 ある日本人出展者の言葉だ。ぜひ、一度足を運んでこの熱を体感してほしい。


                                                           

上記にも登場した百旭朋企業の看板嬢、自慢の製品 とともに。EVAフォームのサンプルを山ほどくれた