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【人とくるまのテクノロジー展2025横浜】日鉄、ゲスタンプ、リョービが最新のボディ関連技術を披露

リョービはスポット溶接可能な異種材接合用鋼製リベット「ERWin」を紹介

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2025/06/30

 2025年5月21~23日にパシフィコ横浜で開催された自動車技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展2025 YOKOHAMA」(主催:自動車技術会)。


 当記事では鉄鋼、アルミ合金、樹脂などの素材、加工、接合といったボデー関連製品を取り扱う企業の主な展示内容を紹介する。


【日本製鉄】

 スズキ・スペーシアのリング状フロントピラーを模した1760MPa冷間成形鋼板、既存のホットスタンププレスラインを用いながら、プレス方向の異なる複数の部品を一体成形できる「二軸ホットスタンプ工法」で製造したリヤホイールハウス・骨格・フロアを展示。複雑な形状をより高い強度で割れ・しわなく成形できることをアピールした。

1760MPa冷間成形鋼板によるリング状フロントピラー

「二軸ホットスタンプ工法」で一体成形されたリヤまわり

 また、塗装省略・簡略化に寄与する塗装レス鋼板として、ヘアライン仕上げの「フェルーチェ」や塗装鋼板「ビューコート」、フィルム積層鋼板を、昨年に続いて提案している。

(左より)フォルム積層鋼板、フェル-チェ(黒)、フェル-チェ(シルバー)、ビューコート、フィルム積層鋼板

【ゲスタンプ・オートテック・ジャパン】

 材料の被膜を除去せず接合可能な「ゲス-ワイヤ」と、スポット溶接に対し時間を最大1/5に短縮する「G-ウェルドオーバーラップ」でレーザー溶接したセンターピラーを日本初公開。

「ゲス-ワイヤ」と「G-ウェルドオーバーラップ」でレーザー溶接したセンターピラー。接合箇所の仕上がり品質も非常に綺麗なのがうかがえる

 また、グループ会社のエドシャゲスタンプが、通常のヒンジにトーションバーを組み合わせることで、モーターを用いることなく操作荷重を半減させる、ピックアップトラック向け「楽々テールゲート」を提案した。

楽々テールゲートのデモ機。ゲート下のトーションバーを外すと開閉操作が非常に重くなる

【リョービ】

 2025年3月に竣工した菊川工場(静岡県)内の大型製品試作工場で作られた、ギガキャストでの一体成形よるリヤフロアの試作品を展示し、ギガキャストを用いたアルミダイキャストボディの試作を自動車メーカーなどへ提案。

ギガキャストで一体成形されたアルミダイキャスト製リヤフロアの試作品

 そのほか、フランス・ゲーミングエンジニアリング社による、スポット溶接に加え接合後にドリルで引き抜いての再接合も可能な、異種材接合用鋼製リベット「ERWin」を紹介。これを用いることで、リョービのアルミダイキャスト製品と鉄鋼、樹脂などの異種材と組み合わせることを提案していた。

「ERWin」を用いてスポット溶接したアルミダイキャストと鋼板(左)、「ERWin」の再接合フロー(右)

(文・写真=遠藤正賢)