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コスモ石油や京都大学など5者、溶融塩電解技術を用いたCO2由来固体炭素製造のベンチスケール検証を開始
クリーン水素不要のCCU技術、住友重機械とSECカーボンが新たに参画し実用化へ
2026/06/12
コスモエネルギーホールディングスのグループ会社であるコスモ石油、京都大学、アイ’エムセップ、住友重機械工業、SECカーボンの5者は、共同で溶融塩電解技術を用いたCO2由来固体炭素製造について、ベンチスケール装置による検証を開始した。
新たな参画企業とサプライチェーン全体の検討
同取り組みは、コスモエネルギーグループがこれまで京都大学、アイ’エムセップと取り組んできた共同検討の成果を基盤に、CO2の供給から装置化、炭素材料としての評価、さらには用途検討に至るまで、サプライチェーン全体を見据えた視点で技術の成立性を検討する次段階の取り組みである。今回の共同検討には、エネルギープラントや化学プロセス機器分野において設計から建設、運転・評価、保守に至るまで一貫して手掛けてきた実績を有する住友重機械、および人造黒鉛電極やアルミニウム製錬用カソードブロックなど、電解・高温プロセスで使用される炭素材料の製造・評価において長年の実績を有するSECカーボンが参画した。
これにより、炭素年産数十kg規模のベンチスケール装置を用いた炭素生成検証を通じて、CO2を固体炭素へ転換する技術について、プロセスおよび材料の両面から実用化に向けた実現可能性を検証する。
取り組みの背景と技術的特長
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、CO2の回収・有効利用(CCU)は重要な技術領域の一つとされ、CO2を安定した固体炭素として長期的に固定化・利用する技術への注目が高まっている。その中でも溶融塩電解技術は、電気エネルギーのみを用いてCO2を炭素材料へと転換可能であり、e-fuel等の他のCCU技術と比較して、高コストになりがちなクリーン水素を必要としない点が特長である。再生可能エネルギーと組み合わせることで、将来的には低炭素・低環境負荷な手段としての展開が期待されている。 また、炭素材料(グラファイト、カーボンナノ材料等)は、蓄電池や次世代エネルギー関連分野をはじめとする幅広い産業で不可欠な素材である一方、国際的には供給構造の偏在や地政学的リスクが指摘されている。CO2を原料とした炭素材料の製造は、脱炭素に貢献すると同時に、国産炭素材料の素材サプライチェーンの多様化・安定化の両立に資する可能性を有している。
ベンチスケール装置を用いた共同検討の概要
同取り組みでは、ベンチスケール装置を用いて以下の内容に関する共同検討を進める。
- 溶融塩電解技術を用いたCO2由来炭素材料製造の技術的可能性の検証
- 原料調達から製造、利用に至るまでのサプライチェーン全体の検討
- 将来の社会実装を見据えた課題および論点の抽出
今後は、国内外の技術動向や政策動向、素材・エネルギー分野を取り巻く事業環境等を踏まえながら、関係各社との連携のもと、脱炭素社会の実現と新たな価値創出の両立に資する取り組みとなるよう、検討を継続していくとしている。
各参画組織の取り組みと方針
コスモエネルギーグループは「2050年カーボンネットゼロ」の実現に向けて、中長期目標「Vision2030」において脱炭素に関する取り組みを加速している。今回の取り組みは同目標に掲げる「石油事業の競争力強化・低炭素化」に資する施策の一つであり、将来的な社会実装や事業化の可能性を視野に入れた第一歩として、引き続きエネルギーと素材の両面から持続可能な社会の実現に貢献する方針だ。
京都大学は、長年にわたり培ってきた溶融塩化学・電気化学の知見と最先端の研究成果を活かし、同取り組みの中核である「溶融塩電解技術の検証」を学術面から牽引する。これまでの共同検討をさらに深化させ、基礎研究から社会実装への橋渡しとなる産学連携を強力に推進することで、革新的なCCU技術の確立とカーボンニュートラル社会の実現に貢献するとしている。
アイ’エムセップは、溶融塩電解の技術ポテンシャルを活かして、SDGs社会へのパラダイムシフトを促進する事業活動を展開している。その中でも、本取り組みをカーボンニュラルに資する独自技術の事業化に向けた重要なステップと位置付けている。溶融塩技術の社会実装による新産業の創造を目指し、その中核的な役割を果たす考えである。
住友重機械グループは、「こだわりの心と、共に先を見据える力で、人と社会を優しさで満たします」というパーパスのもと、「事業活動における環境負荷の低減」と「製品の環境性能向上」の両面から環境負荷低減に取り組んでいる。同取り組みは、将来的なカーボンリサイクルの実現に向けた技術基盤の構築を目的とした活動の一環として、グループの研究開発を統括する技術研究所が担当している。総合機械メーカーとしての知見を活かし、同取り組みを通じて技術開発を進め、持続可能な社会の実現に貢献するとしている。
SECカーボンは、人造黒鉛電極やアルミニウム製錬用カソードブロックなど、炭素材料の製造・評価で培った知見を活かし、同取り組みにおいてCO2由来炭素の評価および材料化検討に参画する。炭素材メーカーとして、CO2排出削減への取り組みとCO2由来炭素の材料価値創出を通じ、脱炭素と付加価値創出の両立を目指す。同取り組みは、同社グループが中長期経営方針「2030 Make Real」において注力する「CO2資源化技術の推進」に通じ、サステナブル重要課題の一つである「カーボンニュートラルに貢献する製品開発・上市」にも資するものとしている。
なお、コスモ石油と京都大学は2023年3月14日に次世代エネルギーの安定供給技術などの共同開発検討に関する包括連携協定書を締結しており、コスモ石油とアイ’エムセップは溶融塩電解技術を用いたCO2の有価物変換(CCU)に向けた共同検討に関する基本合意書を締結(2024年1月29日発表)している。