JOURNAL 

シネマエンドレス「OCHI! -オチ-」

  • #一般向け

2026/04/07

A24が贈る異彩のキュンカワ・ノスタルジック・ファンタジー

 霧に包まれた村の奥深い森には、大きな瞳と耳を持つふしぎな生き物〈オチ〉が棲み、人々は何世代にもわたり、その存在を恐れ遠ざけてきた。その村に住むユーリはオチ狩りに執着する父の姿勢に疑問を抱く日々を送っていた。母はユーリが幼いころに家族の元を去っており、そのことがユーリの心に深い影を落としている。ある日、ユーリは怪我をした小さなオチを見つけ、密かに家に連れ帰り傷の手当てをする。ひとりぼっちの幼いオチに結びつきを感じ、伝承とは違う、オチの本当の姿を知ったことで、幼い命を家族の元へ返そうと決意し、家から飛び出し冒険の旅に出る。やがて、ユーリとオチは心を通わせ、オチが感情を音楽のように紡ぐことばを理解し始める――。

 孤独な少女とふしぎな生き物〈オチ〉が言葉を超え心を通わせる物語を、懐かしくも新鮮なファンタジーとして描き、観る者を異世界へと誘う。かつて子どもだった、すべての人へ贈る物語。

© 2024 KURKAMART LLC AND IPR.VC FUND II KY. ALL RIGHTS RESERVED.

© 2024 KURKAMART LLC AND IPR.VC FUND II KY. ALL RIGHTS RESERVED.

サブカルおじさんの推しどころ

 A24作品を2作連続で紹介。カワイイもの好きを自認している筆者は、本作に登場する子どもオチが可愛すぎてキュンキュンしてしまった。驚き、心配し、時には不安げに身を寄せるオチの姿はどのシーンも額縁に入れて飾りたくなるほどである。そんな表情豊かで愛らしいオチの多くは、CGではなく実際のパペット操作で命が吹き込まれている。アイザイア・サクソン監督の「手作りの不完全さが魅力になる」という言葉のとおりである。

 映像作家出身の監督は、「E.T.」、ジブリ作品(「もののけ姫」、「となりのトトロ」)など自身が愛する作品の精神性を原点にしており、新しいのにどこか懐かしい感情に包まれる本作は、誰にでもオススメできるやさしい作品。ちなみに今年紹介した8本の映画の中で誰も人が死なない最初の作品でもある。なお、筆者はジブリ映画を一つも観たことがない。とりあえず夜中の社内で「バルス!」と叫んでいる。

© 2024 KURKAMART LLC AND IPR.VC FUND II KY. ALL RIGHTS RESERVED.

監督・脚本:アイザイア・サクソン/配給;ハピネットファントム・スタジオ/4月3日より全国公開


担当記者


青山 竜(あおやま りゅう)

東京編集課所属。映画・音楽・芸術あらゆる文化に中途半端に手を出し、ついたあだ名は「サブカルくそおじさん」。


その他紹介作品はこちらから