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トヨタ・クラウン(セダン)の新オフセット前面衝突試験車両がJNCAP表彰式で公開

2024年度自動車アセスメント(JNCAP)でトヨタ・クラウン(セダン)が「ファイブスター大賞」を獲得

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2025/05/29

 国土交通省および自動車事故対策機構(NASVA)は2025年5月27日、2024年度の自動車アセスメント(JNCAP。安全性能評価)表彰式を、ベルサール六本木(東京都港区)で開催。


 同年度内で最高得点を獲得した車種に与えられる「ファイブスター大賞」を受賞した、トヨタ・クラウン(セダン)の「新オフセット前面衝突試験」実施車両を、相手側車両を模したデフォーマブルバリアとともに、表彰式会場内で公開した。

トヨタ・クラウン(セダン)のJNCAP新オフセット前面衝突試験車両。手前は同試験に用いられたデフォーマブルバリア

【エンジンルーム】

 バンパービームは完全に原型を留めながら、その後ろにある衝突側(運転席側)のクラッシュボックスは綺麗に潰れ、衝撃を吸収。


 ラジエーターなど補機類も衝突側が変形・破壊されながら、非衝突側(助手席側)にも変形が発生しており、バンパービームが衝撃を非衝突側(助手席側)にも分散し吸収しているのがうかがえる。

運転席側への衝突エネルギーが効率良く吸収・分散されたのがうかがえるエンジンルーム

【デフォーマブルバリア】

 デフォーマブルバリアは奥側ほど硬い3層構造となっているが、局部的な変形・突起は見られず、全体的に綺麗に潰れている。


 衝突側(写真左側)は変形が2層目、非衝突側(写真右側)は同じく1層目までに留められており、相手車両側への被害も抑えられていると推察される。

クラウン(セダン)のJNCAP新オフセット前面衝突試験に用いられたデフォーマブルバリア

【フロントまわり運転席側側面】

 フロントタイヤは後ろへ大きく押され、フロントフェンダーは前側が大きく変形しているものの、後ろ側の変形は軽微で、フロントピラー&ドアに被さる形でズレを起こしている程度。


 サイドシルもアウターパネルとフロントフェンダーとの接合部に剥がれが生じているものの、それ以降のキャビン側は損傷がほとんど見られない。


 ポップアップフードはヒンジ側で目測で10cm程度持ち上げられており、歩行者の頭部がフロントガラスへ直撃するのを可能な限り防ぐ狙いが見て取れる。

フロントガラスを除けば大きな損傷はエンジンルーム内で完結している

【衝突試験用ダミー】

 運転席ドアより約1m離れた場所から見た限りでは、運転席側・助手席側とも目立った擦過傷は見られず、エアバッグがサイドウィンドウやトリム類への衝突を防いだものと思われる。

運転席側には「THOR(ソア)ダミー成人男子50%タイル」、助手席側には「ハイブリッドIIIダミー成人女子5%タイル」を使用

【センターピラー上部】

 運転席ドアパネルがごくわずかに上方へ持ち上げられているものの、問題なく開閉できる模様。またその影響か、ルーフパネルにごくわずかなシワが生じているものの、明るい場所で肉眼で見なければ見落としやすいと思われるため注意したい。

フロントドアパネルのズレはごく軽微で、国産高級車でなければ許容範囲とされる可能性も

【リヤまわり】

 ごくわずかなチリの狂いも見られず、センターピラーより後ろ側の車体では目視可能な変形が発生していないと思われる。それだけに、念には念を入れて、ボディ計測装置を用いての損傷診断をリヤまわりでも行うのが望ましいだろう。

センターピラーより前側を見なければ衝突試験後の車両とは思えないほど綺麗な状態

(文・写真=遠藤正賢)