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【速報】自動車整備の「隠れた買いたたき」にメス 国交省が修理指数の実態調査へ、大臣も構造的問題を認める

自動車整備業界が直面する深刻な人手不足と、それに伴う「整備難民」問題が深刻化している。その背景にある、損害保険会社と修理工場間の不透明な価格決定プロセスについて、西田実仁参議院議員が参議院国土交通委員会で厳しく追及した。

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2026/04/23

「タダ働き」を強いる修理指数 構造的な買いたたきを指摘

自動車整備業における工賃は、「作業に要する時間(指数)」と「時間あたりの単価(レーバーレート)」の掛け合わせで決まる。しかし、この「指数」の決定権を握っているのが、損害保険会社が全額出資する「自研センター」である。

西田議員は、この指数が約40年前の基準をベースにしており、近年の高度な車両技術や新素材に対応していないと指摘。「本来1時間かかる作業を30分と設定されれば、残りの30分は修理工場のタダ働きになる。これは実質的な買いたたきであり、賃上げの原資が奪われている」と、業界の窮状を訴えた。


国交省が初の第三者調査を実施、6月までに公表へ

この問題に対し、国土交通省は令和7年度、第三者機関(TUV社)を活用して「標準作業時間」の実態調査を実施した。

質疑の中で石原大物流・自動車局長は、「自研指数の時間では終えられないという現場の声は認識している」とした上で、調査結果を自研センターや業界団体と共有し、指数の改定に反映させるよう強く働きかける方針を示した。また、公表時期について当初「6月まで」としていたが、西田議員からの「一刻を争う」という指摘を受け、金子恭之国土交通大臣は「少しでもスピードアップできるよう努力する」と答弁した。


「第三者による指数の策定」へ踏み込めるか

議論の核心は、損保会社の子会社が数値を決定するという現在の構造そのものにある。西田議員は、「メーカーや損保の言い分だけでなく、現場の意見を反映した第三者的な機関が指数を決めるべきだ」と提言した。

これに対し、金子大臣は「これまでの長い慣例があるが、今の問題意識を持って検討しなければならない」と応じ、今後のあり方を含めて組織的な協議を行っていく姿勢を示した。


今後の展望

修理工場の多くは中小零細事業者であり、超巨大企業である損保各社との交渉は対等とは言い難い。今回の国交省による調査結果の公表が、長年放置されてきた業界の商慣習を是正する突破口となるのか。賃上げと人材確保に向けた、業界の存続をかけた取り組みが続いている。


本件に関する解説

  • 指数(レバーレートとの関係): 自動車保険での修理工賃は、損保各社が採用する自研指数の影響を強く受ける。この指数が実態より低く見積もられることは、現場の技術者の賃金を抑制する大きな要因となり得る。

  • 今回の成果: 長年、民間機関である自研センターの数値が事実上の「公定価格」のように扱われてきたことに対し、国土交通省が公的機関として「実態調査」という形で介入・検証に踏み込んだ点は、非常に大きな前進と言える。

YouTube:立憲民主党 国会情報
2026年4月23日 参議院 国土交通委員会

当該質疑応答における各氏の発言内容は次の通り。

(西田実仁参議院議員)
西田でございます。早速質問にさせていただきたいと思います。

今日は令和5年の公正取引委員会の特別調査によりますと、自動車整備業というのは労務費の転嫁率が最も低い業種の1つとされております。

とりわけ事故車の修理を行います車体整備業におきましては、人材確保が大きな課題となっております。

人手不足のため、全国各所で自動車の整備をしてもらえないという、いわゆる整備難民が、生まれている状況です。

魅力ある職場とするためには、まずは賃上げの原資を確保する必要があり、労務費等の転嫁が適切に進められる環境を作らなければなりません。

自動車整備のこの平均年収というのは全産業より100万円ぐらい低いと言われております。

この労務費の転化を進めるためには、今日お配りをしましたこの国交省の資料でありますけれども、損保会社と車体整備事業者、修理工場の価格交渉、ここで価格を決めていくことになるんですね。

これなかなか複雑でして、自動車保険で修理をする場合には、いわゆる債権・債務関係はユーザーと損保会社にはありますけれども、損保会社と修理工場にはないんですね。

非常にあの難しいんですが、ただ価格交渉はですね、この保険会社19事業者と言いますけど、メガ4社であれば超大企業そして修理工場は約3万事業者ですけども、大部分が中小零細で3人とか1人、2人でやっているとこもたくさんございます。

そこの交渉によって決まるわけであります。

なかなかこれ大変だということで国交省の方にもですね、交渉に応じてもらえないとか、協定を先延ばしてされてしまうとか、経費を計上してもらえないと、こういう声が寄せられていると承知しております。

この価格がどう決まるかというと、左の下に一般的な修理工賃の算定方法と書いてあって、工賃=赤の指数かける指数対応単価と。
つまり指数というのはですね、この作業に何分かかるか。それを割り出して、そして単価というのはレーバレートといいますけれども、大体8,000円~10,000円とかいろいろな地域によって個別交渉で違ってきてますけれども、この掛け算で決まってくるですね。

ですので両方とも上げないと工賃は上がらない。工賃が上がらなければ賃上げ原資もないと。

賃上げしないと人手不足で整備難民がどんどん日本中で生まれてくるとこういう関係にあるわけでございます。

この指数なんですけどね。今言ったこの作業を、ボルト締めるの何分かかるとかっていう指数、これがですね、誰が決めているかってことなんですよ。

実はこの損害保険会社が出資する自研センターという株式会社がありましてですね。

要するに損害保険会社の子会社みたいなもんです。出資会社ですけどね。そこが指数を決めてるんですよ。

それを使って修理工場と交渉する、と。参考と言いながら、事実それが決まってるんですよ。

ですからね、もともと超大企業のとこと交渉するだけでも大変なのに、その指数が、超大企業が出資した自研センターで決められている。

これしかも40年ぐらい前のもので、最新の先進自動車とか、あるいは新材料とかですね、そういうものに対応していないと。

こういった実態と全然合わないとこう言われているところに国交省も目をつけていただいて、この標準作業時間、つまり指数ですね、この調査を令和7年度国交省を行っていただきました。

これどう活用するのか。また国交省にはですね、このいわゆる自研指数、自研センターが作った指数では到底作業が終えられないと、こういう多くの声も寄せられていると聞きます。

国交省にお聞きしますが、この標準作業時間の調査の目的、またどのように活用するのか、公表についても含めてお聞きしたいと思います。


(石原物流自動車局長)
お答え申し上げます。

事故車の修理の価格決定に用いられる各修理作業の標準的な作業時間につきましては、委員の方からご説明ありました通り、株式会社自研センターが策定したいわゆる自研指数があの幅広く使用されております。

しかしながら、車体整備事業者より、この指数の時間では終えられない作業があるという声が、国土交通省に数多く寄せられているところです。

こうした声が寄せられる理由としましては、自研指数というものが、この自研センターが定めた、標準的な作業条件及び作業方法を前提に作られているというものでありますけれども、実際のこの修理作業というのは、色々様々でありますし、条件も様々というようなところが、大きな理由ではないかというふうに推測しております。

このため、国土交通省では令和7年度第三者的立場から、この修理作業の標準的な作業時間を調査したところでございます。

この調査結果につきましては、自研センターや車体整備業界と意見交換の上、公表をいたしまして、そして自研センターに対して、この自研指数の改定に活用するよう働きかけてまいります。


(西田議員)
いつ頃公表しますか?


(石原物流自動車局長)
遅くとも今年の6月には公表したいところに考えております。


(西田議員)
これ実はですね、私もずいぶん取り組んできましたけど、今団体協約っていうのが、車体整備の共同組合と損保各社ですね、団体交渉ですが、中小企業組合法に基づいて認められている独禁法の対象外になる。

そういう価格交渉レーバーレートについてやってるんですよ。今すごい大事な時期なんですよ。

で、この工賃を決めていくためには、レーバーレートだけじゃなくて指数も正確に適切にやらなければ意味がありません。

したがってもうもっと早くですね、なぜそんなに時間がかかるんでしょうか。昨年度の事業ですよ。予算を付けて。

もっと早くできないでしょうか。


(石原物流自動車局長)
昨年度の調査ということで、先月取りまとめというか調査結果がようやっとまとまった所、今その分析などもしておりますので、まあなんとかこの2ヵ月以内、6月中には公表したいと、このように考えております。


(西田議員)
大臣に聞きたいと思うんですけどね。これあの指数はですね。実態とまあかけ離れているということで第三者的に国交省が調べているんですね。

で、実態とあまりかけ離れるっていうのは、それは形を変えた買いたたきなんですよ。だから工賃は指数と単価で決まるわけで、単価は今団体交渉しています。

指数については、その団体交渉の対象にはなっていないんですけど、実際とかけ離れているとですね。本来1時間かかる作業を30分でできるっていう指数だと30分後はタダ働きってことになるわけですよ。

ですから買いたたきに直結する。これ大変由々しき事態になります。

そういう認識を大臣にお持ちかどうか確認したいと思います。


(金子国土交通大臣)
車体整備業界の様々な現場の声を聞いていただいてですね、取り組んでいただいております。

私自身も今日の質問にあたってですね、物流自動車局とこの中身についてお話をさせていただきました。

この自研指数が仮にですね、実態よりも短い作業時間で設定されている場合には、損害保険会社から車体整備業者に適切な修理代金が支払われないことになるということを、今の皆さん方に分かっていただいたと思います。先ほど局長が答弁した通りですね、この調査結果については、遅くとも本年6月中には公表したいということでございますが、少しでもですね、スピードアップできないか、さらに局長とも協力をしながらですね、遅くなればなるほど現場にとっては、大変なことになるわけでございますので、1ヵ月短くするというのはちょっとあれかもしれませんが、少しでも短縮できるように、努力をさせていただきたいというふうに思います。

で、この調査については、今年度も継続的に実施していく予定でございますので、より有効に活用いただけるように、そして実態をですね、本当に反映できたものでないとですね、これはおかしいと思っておりますので、このなんですか、自研センターですかね。

この自研センターの一方的なことでは、おかしいと私も思いますので、そこはしっかり今後のあり方も含めてですね協議させていただきたいと思います。


(西田議員)
今後のあり方とおっしゃったんで、あえて申し上げますが、この国交省が調査委託したのはTUVという会社なんですよ。これドイツの工数を決める、第三者的な機関として位置づけられているんです。

以前からですねこの自研センターが、そもそも損保会社のほとんど100パーセント出資会社が、そこがやって、交渉する数値を作ることがおかしいわけですよ。

やっぱり第三者的に、どっちか一方ではなくて、第三者的にですね、メーカーはメーカーの工数が必要だし、損保会社の言い分も当然あっていいと思います。

しかし、現場で働いている人のそういう意見もちゃんと反映されたような第三者的にこの指数を決めていかないと適切なその反映というのは、土台は無理だと思うんですよ。

そういう今後のあり方っていうことで、すぐにはできないの分かりますよ。

いろんな経緯もあるのは分かってますけれども、そういう考え方に大臣に立っていただいているという風に今のご答弁をお聞きして思いましたが、それでよろしいでしょうか。


(金子国土交通大臣)
これまででの長い間の慣例ということでございますので、どこかでですね、やはり今の問題意識を持って検討しなければいけないことだと、私は認識をしておりますので、何ができるか、そのことから含めてですね。局長とも協業していきたいという風に思います。


(西田議員)
まあそういう意味では、昨年度から国交省が標準的作業時間を調べると踏み込んだのは非常に大きな一歩だと私も思っています。

今まではなかなか省庁に気兼ねしてか、やってこなかったところを踏み込んでいただいたと。ぜひそういう検討をですね進めていただきたい。