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令和8年度から「自動車車体整備 基礎統計調査」開始へ

業界の実態を可視化し、価格交渉の「武器」に

  • #ニュース

2026/03/07

国土交通省物流・自動車局自動車整備課は、令和8年3月6日、自動車車体整備業界の経営実態を網羅的に把握するための「自動車車体整備の基礎統計調査」の実施方針を固めた 。車体整備に特化した公定統計が存在しない中、業界の現状を可視化することで、労務費の適切な転嫁や経営改善を後押しするのが狙いだ。

背景:進まぬ労務費転嫁、高まる「実態把握」の必要性

自動車の高度化や原材料費・人件費の高騰など、車体整備を取り巻く環境は激変している 。しかし、令和5年の公正取引委員会の特別調査では、依然として労務費の転嫁が十分に進んでいない課題が浮き彫りとなった。

こうした状況を受け、国交省は「業界の現状」や「規模別の経営状況」を正確に把握する統計の整備を決定した 。本調査は、個々の事業者が経営を振り返る指標とするだけでなく、損害保険会社等との価格交渉における「客観的なエビデンス」として活用されることが期待されている。

調査手法:ソリューションデータ活用の「全数調査」

法的枠組みによる名簿が存在しないため、母集団の形成には「cogniPHOTOBASE(コグニビジョン)」や「Repair.c(ブロードリーフ)」といった業務支援システムの利用データ、および業界団体・フランチャイズの会員データが用いられる 。

実施方針では、業界実態をより正確に捉えるため特定のサンプルに限定しない「全数調査」を掲げている 。

  • 収集方法: 回答専用ホームページとWebリサーチを併用するハイブリッド型を採用 。次年度以降は前年の回答データが保存される仕組みとし、回答者の負担軽減を図る 。

  • スケジュール: 3月期決算後の税務申告期限などを考慮し、毎年6月〜8月に実査を実施。11月頃の公表を目指す年間サイクルが組まれている 。

注目項目:レバレート、レス率、代車費用まで

統計項目は「基本・設備・従業員・経営・特記」の5分類に渡り、現場の切実な実態に踏み込む内容だ 。

  • 経営実態: 標準レバレート(定価)と、実際の受託における「加重平均レバレート」の乖離を把握 。

  • 取引の公平性: 保険修理における価格交渉の有無や、応じてもらえない理由。さらに、委託取引における「レス率」や「部品持ち込みの自己負担」まで調査対象とする 。

  • 人財確保: 工員の年収や、過去1年の「賃上げ率」をレンジ別で把握し、処遇改善の指標とする 。




<国土交通省 車体整備業事業者の皆様へ>
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr9_000040.html