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【改正道路交通法施行令・一部改正】生活道路での30km/h化とチョイ乗り増による「DPF洗浄」と「カーボン除去」の整備需要への影響

需要が高まると予測されるDPF洗浄及びカーボン除去について解説

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2026/07/13

 9月1日より改正道路交通法施行令が施行され、センターラインのない生活道路における車の法定最高速度が60から30km/hへ引き下げられる。歩行中・自転車乗車中の死傷事故において、車道幅員5.5m未満の道路での発生割合が高い(警察庁発表資料)背景もあり、日本自動車工業会(JAMA)などの業界団体はカーオーナーへの周知を図っている。
 一方で、この“低速走行”はエンジンに対して負荷を強いることにもなりうる。

参考資料:国土交通省「道路法等の一部を改正する法律」の施行に伴う関係政令を閣議決定~安全かつ円滑な道路交通の確保と道路分野の脱炭素化の推進に向けて~


規制強化とシビアコンディションのせめぎ合い

 生活道路における30km/h制限は、自然とアクセルを踏み込む量(アクセル開度)の低下と、ストップ&ゴーの増加を引き起こす。特に近隣の商業施設やスーパーへの買物や送迎など、いわゆる“チョイ乗り”が中心の車では、エンジンが適正な作動温度に達する前に稼働を終える機会がさらに増える。
 この低速・低温状態での連続稼働はエンジンの燃焼効率を低下させる。クリーンディーゼル車や直噴ガソリンエンジン車においては、構造上不完全燃焼による生成物が内部に蓄積しやすくなるため、結果として、排出ガス浄化装置や吸気系にトラブルが起こるリスクが高まる。


クリーンディーゼル車でのDPF詰まりのメカニズムと現場対応

 ディーゼルエンジンに搭載されているDPF(微粒子捕集フィルター)は、排気ガス中のススを捕集し、一定量が蓄積した段階で排気温度を500〜600℃まで上昇させて自己燃焼(DPF再生)させる仕組み。しかし、30km/hの低速走行や短距離移動を繰り返すと、この燃焼に必要な温度と時間を確保しにくい。すると、未燃焼のススがフィルターに蓄積し続け、最終的にはエンジン警告灯が点灯し出力制限が掛かる。

 整備現場にこういった車が持ち込まれると、スキャンツールを接続して強制再生を試みるだろう。しかし、一定量を超えてススが堆積している場合、急激な燃焼はフィルター基材が溶けて欠ける危険があるため実行できない。その場合、DPFを取り外し、専用の特殊溶剤に漬け込んで高圧洗浄機で灰やススを物理的に洗い流す“DPF洗浄”が試される。


直噴エンジンのアキレス腱と
EGR(排気の再循環)が引き起こすカーボン堆積

 ガソリン車においても、シリンダー内に直接燃料を噴射する「直噴エンジン」では低速走行の影響を受けやすい。
 従来のポート噴射エンジンは、吸気ポートで燃料を噴射するため、ガソリンが吸気バルブの傘部を洗い流す効果があった。しかし直噴エンジンにはその洗浄作用はほぼない。さらに、最近のエンジンは排出ガス中のNOx低減と燃費向上のため、大量の排気ガスを吸気側へ戻すEGR(排気再循環)システムを採用している。

 たとえば、EGRから戻るススとPCVバルブ経由で還元されるブローバイガス中のオイルミストが吸気マニホールド内で混合すると粘着質の高いスラッジとなる。これが吸気バルブに付着し、エンジンの熱で焼き付くことで硬いカーボンデポジットとなってしまう。低速走行下では吸入空気の流速は遅く、バルブ周辺に汚れが滞留しやすい。

 1996年に量産化されたガソリン直噴エンジン(三菱・GDI)においても、吸気系へのカーボン堆積によるアイドリング不調が多発していた。今では燃焼制御が進化した他、直噴とポート噴射を使い分けるデュアルインジェクションシステム(トヨタD-4Sなど)も普及している。しかし生産コストなどの理由から、単独の直噴システムを採用する車種も多く、大量のEGRと低粘度オイルの普及により、新たなカーボン蓄積の要因を生み出している可能性もある。


予防整備としての吸気系クリーニング

 直噴エンジンの吸気バルブに堆積したカーボンは、市販の燃料添加剤だけでは完全に除去できない。インジェクターのノズル先端の洗浄だけならばおそらく有効だが、燃料が通らない吸気バルブの背面には物理的に届きにくいだろう。
 そのため現場では、吸気ラインから特殊な洗浄液を点滴状に吸い込ませて溶解させるケミカル洗浄や、インマニを取り外し、砕いたクルミの殻を高圧で吹き付けてカーボンを剥離させる“ウォルナットブラスト”といった手法がある。

 整備現場では、カーオーナーの車の使用用途に基づいたDPF洗浄やカーボン除去といった予防整備メニューを提案する機会が増えるのではないだろうか。