JOURNAL 

デンソーとオラクル、サプライチェーン基幹システムの刷新に向け戦略的提携を構築

AI活用を前提とした次世代デジタル基盤をグローバルに導入し、業務変革と経営判断の迅速化を図る

  • #ニュース

2026/04/21

 デンソー(林 新之助社長、本社=愛知県刈谷市)は、オラクルコーポレーションと、サプライチェーン領域の基幹システム刷新に向けた戦略的パートナーシップを構築し、2026年4月より協業を開始する。デンソーは、本パートナーシップのもと、統合クラウド・アプリケーション「Oracle Fusion Cloud Applications」を基盤として、最新AI技術などを活用した新たな基幹システムをグローバルに導入する。これにより、自動車部品業界のサプライチェーン領域における、先進的なデジタル基盤の構築を目指す方針だ。


複雑化するサプライチェーンへの対応

 現在、自動車業界は、車両システムの高度化や機能の多様化に加え、地政学的リスクの高まりなどを背景に、生産管理、物流、調達といったモノづくりを支えるサプライチェーン業務が一段と複雑化している。こうした変化に適切かつ迅速に対応するには、従来の属人的な運用から脱却し、デジタル技術を活用した業務プロセスの変革が重要となっている。


 デンソーとオラクルはこれまで、経理、間接材調達、人事領域において、クラウド技術を基盤とした業務プロセスの刷新を共に推進してきた。今回の戦略的パートナーシップでは、両社がこれまで培ってきた知見を土台に、協業範囲をサプライチェーン領域へと拡大する。


AI技術を組み合わせたグローバル刷新

 本パートナーシップのもと、デンソーは、「Oracle Fusion Cloud Applications」を基盤として、自社の自動車部品製造ノウハウと、オラクルの最新クラウドアプリケーションおよびAI技術を組み合わせ、サプライチェーン領域の基幹システムをグローバルに刷新する。
 また、本取り組みでは、オラクルとAIセンター・オブ・エクセレンス(AI Center of Excellence)を設置し、AI活用に関する知見の蓄積と、先進的なAIエージェントの活用を目指すとしている。


段階的なグローバル展開と強靭な体制構築

 本基幹システムは、2年後の海外拠点でのパイロット導入を経て、順次グローバルに展開される予定だ。自動車部品業界において先進的な取り組みとなる、AI活用を前提としたサプライチェーン基幹システムの導入を通じて、業務の効率化や高度化を進めるとともに、変化に強く、強靭かつ持続可能なサプライチェーンの構築を図る。


本取り組みにより目指す主な業務変革

  • 業務プロセスの高度化  グローバルに分散する計画・調達・生産・納入から経理までのデータをクラウドシステム上で一元管理し、サプライチェーン全体をリアルタイムに可視化する。そのデータ基盤に基づき、AIが業務の自動化や推奨アクションの提示を行うことで、定型業務を削減し、より付加価値の高い戦略業務へ注力できる環境を実現する。
  • 経営判断の迅速化  同じデータ基盤を活用し、AIが必要な情報の収集・分析や複数の数値データに基づくシミュレーションを実行することで、従来は人手を介して特定していた調達・供給リスクなどを早期に把握する。グローバル最適の視点で、環境変化に即応した生産・調達・供給の各戦略を、迅速に立案できる体制を構築する。


各社コメント

 デンソーCTO、CDO、研究開発センター長、生産革新センター長の武内裕嗣氏は、近年、サプライチェーン業務の複雑化が進む中、AIなどの先進テクノロジーと、統合データに基づく分析・予測基盤は前提条件であると言及。本取り組みは、単なる業務効率化ではなく、グローバルで意思決定の質とスピードを変えるための基幹システム刷新であり、データの精度と鮮度を徹底的に高め、AIを実務に組み込むことで、変化に強いサプライチェーンを実装していくとしている。

 オラクルのアプリケーション開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのスティーブ・ミランダ(Steve Miranda)氏は、デンソーの継続的な成長に加え、サプライチェーン業務のスピードと複雑性が増す中で、AIを中核に据えた統合的なアプローチが求められていたと指摘。デンソーは、「Oracle Fusion Applications」により、エンドツーエンドのワークフローを自動化し、サプライチェーンのパフォーマンスを高め、効率的なグローバル成長を推進する、AIを搭載したシステムを導入できると述べた。