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SUBARUが2026年3月期決算を発表、海外市場で販売台数が減少
中東情勢の緊迫化が海外市場向けの出荷・販売に影響
2026/05/20
SUBARUは2026年5月15日、2026年3月期の決算説明会を開催した。
2026年3月期は、米国追加関税や為替変動、原材料高騰などにより3,000億円レベルの影響が発生。加えて、米国環境規制の大幅な緩和を受け、環境クレジットおよびバッテリーEV(BEV)に係る減損損失とそれらに関わる費用を計上したことにより、営業利益は401億円となった。なお、現時点で想定しうるBEV関連の費用は、2026年3月期をピークとして概ね計上を完了している。
同社は2025年11月に経営基盤の強靭化とともに「存在感と魅力ある企業」であり続けるための道筋として、「2025方針」を策定・発信。モノづくりにおける「柔軟性の徹底的追求」と「価値づくり」、そしてブランドを際立たせることにより存在感を高め、社会にとってなくてはならない企業を目指す方針だ。
「2025方針」の進捗と商品戦略のシフト
「2025方針」の進捗として、開発面ではBEV開発を契機にデジタルを活用したアジャイルで短期間の開発プロセスを確立し、その知見をICE車へ展開する成果を得ている。生産面では、矢島工場において半年間の工事を経てBEVとICE車の混流生産の基盤構築が完了し、2026年2月よりBEVの生産を開始した。
商品面では、自社開発BEVの導入時期を延期し、開発リソースをICE系商品のラインアップ拡充へシフトする。BEV開発で得られたプロセスや技術資産、知見を活用し、タイムリーなクルマづくりとラインアップの拡充を図る方針だ。ただし、BEVが将来のカーボンニュートラル社会の実現に重要な選択肢であるという考え方に変更はなく、バッテリーやeAxleなど、将来に不可欠な基盤技術の開発は継続するとしている。
足元では、2026年よりグローバル市場に投入したBEV「トレイルシーカー」や、米国市場で発表した3列SUV「ゲッタウェイ」が市場から高い評価を得ている。トヨタ自動車とのアライアンスにより投資を抑制しながらBEVを市場に投入できたことは、顧客の選択肢を増やすことにつながり、商品面での評価にとどまらず今後に活かす技術の蓄積という視点においても大きな成果であるとしている。
バリューチェーンの強化とコスト構造改革
バリューチェーンについては、同社の強みである「お客様との繋がり」を収益につなぐ施策を展開する方針だ。昨年度に実施したアフター領域の組織改編を皮切りに、新型車の商品企画段階から用品企画を織り込み、用品を活用した車両の企画や販売も強化した。今後はコネクティッドサービスのサブスクリプション加入者基盤をさらに拡大し、持続的な収益創出に挑戦するとしている。
コスト改革においては、新型車の開発初期段階から製造、調達、販売部門が参画し、開発手番・部品点数・生産工程の半減を目指す「トリプルハーフ」を念頭にコスト低減を追求する。また、コスト構造改革「原価維新20-30」の着実な遂行にあたり、その土台となる、取引先の生産面での困りごとを品質の適正化と部品統合によって改善する「Ease of Production(EP)活動」などを取引先とともに推進する構えだ。
2026年3月期の連結販売・生産実績
2026年3月期の連結完成車生産台数は、前年度比6万6千台減の88万台となった。米国の生産台数は1万1千台増加の35万5千台となったが、国内の生産台数は7万7千台減の52万5千台となった 。これはBEVの自社生産に伴う矢島工場の1ラインの一時的なシャットダウンが影響したもので、工事は完了し2月から自社生産を開始している。なお、矢島工場で生産するトヨタ自動車との共同開発でのBEV生産台数は委託生産であり、同社の生産実績には含まれていない。
連結完成車販売台数は、前年度比4万1千台減の89万6千台となった。市場別では、海外市場での販売台数が減少したものの、「フォレスター」は主要市場の米国・日本・カナダで販売増を達成した。米国市場は前年度比2万1千台減の64万1千台となったが、矢島工場のシャットダウンや年初の寒波などが要因であるとしている。また、中東情勢の緊迫化に伴い、輸送船舶の運航に影響が生じたことで、海外市場向けの 出荷・販売が一部制約を受けた。
2026年3月期の連結業績と財務状況
通期連結業績の主な数値は以下の通りである。
- 売上収益:4兆7,850億円
- 営業利益:401億円
- 税引前利益:1,075億円
- 親会社の所有者に帰属する当期利益:908億円
売上収益は、価格構成の改善を進めた結果、販売台数減少や円高の影響を受けつつも前年度比992億円増の4兆7,850億円となった。営業利益は第3四半期時点の見通しから899億円の減益となった。主な減益要因は、米国で発生した寒波や中東情勢に伴う海外向け船舶の運航影響による販売台数減少(▲220億円)、電動車の中長期需要変化を受けたBEV開発資産の減損損失および関連費用(▲578億円)、期末為替レートの円安進行による外貨建て保証修理引当金の円換算評価増(▲100億円)である。
2027年3月期の通期見通しと新商品計画
2027年3月期の通期見通しについて、生産台数は前年度比2万台増の90万台、連結販売台数は同比4万4千台増の94万台を計画している。販売台数の内訳は、海外市場で前年度比3万9千台増(うち北米市場で2万8千台増)を見込んでいる。昨年来導入したICE系新商品の需要を取り込むとともに、市場ごとの需要に応じたモデル・グレード・仕向け地の機動的な生産・販売調整を図る方針だ。また、矢島工場の生産ラインでは、夏頃からICE車との混流生産を開始し、徐々に稼働率を高めながら下期後半よりフル生産体制へ移行する予定としている。
通期連結業績の見通しは以下の通りである。
- 売上収益:5兆2,000億円
- 営業利益:1,500億円
- 税引前利益:1,800億円
- 親会社の所有者に帰属する当期利益:1,300億円
原材料価格の高騰や貴金属市況の悪化、中東情勢の影響による1,300億円以上の業績押し下げリスクを想定しているが、「2025方針」の成果を収益に結びつけることで目標達成を図るとしている。2027年3月期は、昨年来拡充してきた「フォレスター」や「クロストレック」のハイブリッドモデルなどのICE系商品やアライアンス開発のBEVなど、新商品が本格的に出そろうタイミングとなる。これら商品の拡充と顧客需要をとらえたグレード構成の最適化を進めていく考えだ。
中長期の成長に向けた資本政策と成長投資の見直し
同社は2030年を見据えた長期目標として「業界高位の収益力の確保」と「ROE10%以上の追求」を掲げており、中長期的な資本効率向上につながる「財務健全性と安定性の実現」、「成長投資」、「株主還元」という3つの柱のバランスをとる方針だ。財務健全性においては、キャッシュ保有の上限目安をネットキャッシュ2.5月商分と定め、過度なキャッシュの積み上がりを抑制するとしている。
成長投資については、総額1.5兆円のうち残額1.2兆円の枠組みは不変とするものの、自社開発BEVの導入延期に伴う開発リソース減少分を次世代ICE車へ再配分するなど、投資領域を柔軟に組み換えて実行する計画だ。
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