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自動車整備士の採用単価はいくら?費用相場とコストを抑える5つの方法

自動車整備士の採用コスト高騰にお悩みですか?この記事では、求人広告や人材紹介など、採用手法別の単価の相場を詳しく解説します。さらに、採用単価を抑えながら優秀な整備士を確保するための5つの具体的な方法も紹介するので、貴社の採用戦略の見直しにぜひお役立てください。

  • #コラム

2025/11/18

自動車整備士の採用単価はいくら?費用相場とコストを抑える5つの方法

「求人広告を何ヶ月も出しているのに、応募が一件もない」「人材紹介会社に頼っているが、コストばかりかさんでしまう」。自動車業界において、優秀な整備士の確保は、事業の根幹を揺るがす喫緊の経営課題です。年々、採用の難易度は増す一方で、一人当たりの採用にかかるコスト(採用単価)は高騰し続けており、多くの経営者様や採用担当者様が頭を悩ませています。

なぜ、これほどまでに自動車整備士の採用は難しく、コストがかかるのでしょうか。そして、この厳しい状況の中で、採用単価を抑えながら、自社にマッチした優秀な人材を獲得するためには、どのような手を打つべきなのでしょうか。

この記事では、自動車整備士の採用単価の現状と課題を明らかにし、具体的な費用相場から、コストを抑えて採用を成功に導くための5つの方法までを、分かりやすく解説します。

高騰する自動車整備士の採用単価

採用単価とは、「採用活動にかかった総コスト÷採用人数」で算出される、一人の人材を採用するためにかかった費用のことです。この単価は、業界や職種によって大きく異なりますが、特に自動車整備士の採用単価は、近年著しく高騰する傾向にあります。

なぜ自動車整備士の採用は難しいのか?

なぜ自動車整備士の採用は難しいのか?

採用単価が高騰する背景には、自動車整備士という職種の深刻な「人材不足」があります。

• なり手の減少:少子化や若者の車離れに加え、仕事内容の厳しさから、整備士を目指す若者自体が減少しています。

• 高い有効求人倍率:整備士の需要は常に高いため、一人の求職者を多くの企業が奪い合う「売り手市場」が続いています。

• 労働条件の問題:他業種と比較して、給与水準や休日数、労働環境などの面で、まだ課題を抱える事業者が多く、人材が定着しにくい、あるいは他の業界へ流出してしまうケースも少なくありません。

このような構造的な問題が、採用競争を激化させ、結果として広告費や紹介手数料といった採用コストを押し上げているのです。


【関連記事】整備士の採用が難しい理由は?今すぐできる対策と定着率を高める秘訣を解説 | BSRweb | 株式会社プロトリオス - PROTO-RIOS INC.

【手法別】自動車整備士の採用単価の相場

【手法別】自動車整備士の採用単価の相場

では、具体的に採用手法ごとで、どのくらいの採用単価がかかるのでしょうか。それぞれのメリット・デメリットと合わせて見ていきましょう。

採用手法

採用単価の相場

メリット

デメリット

ハローワーク

0円

・無料で求人掲載できる

・応募者の質や意欲にばらつき

・担当者のサポートは限定的

求人広告

20万円~180万円

・多くの求職者の目に触れる

・会社の魅力を伝えやすい

・掲載料がかかる(成果保証なし)

・他社求人に埋もれやすい

人材紹介

80万円~150万円

・求める人材に効率的に会える

・採用工数を削減できる

・採用単価が最も高額

・紹介会社の質に依存する

ダイレクトリクルーティング

30万円~100万円

・転職潜在層にアプローチ可能

・自社の魅力を直接伝えられる

・スカウト文面作成などの工数がかかる

・運用のノウハウが必要

リファラル採用

0円~10万円

・採用コストを劇的に抑えられる

・定着率が高い傾向

・人脈に依存し、計画的な採用が難しい


参考:1人あたりの採用コスト相場は? 業種別・手法別の費用と削減方法を徹底解説!

参考:ハローワークの求人掲載料っていくら?【知らなきゃ損の採用基礎】

参考:中途採用コストの平均相場から削減ポイントまで徹底解説!

参考:ダイレクトリクルーティングの料金形態と費用相場・10社比較

参考:リファラル採用の報酬制度とは?金額の相場から制度設計のコツまで解説 | リファアルム

ハローワーク

国が運営する職業紹介サービスで、無料で求人を掲載できるのが最大のメリットです。ただし、利用者の層が幅広いため、必ずしも自動車業界に強い関心を持つ人材ばかりではなく、応募の質にはばらつきが見られます。

参考:ハローワークの求人掲載料っていくら?【知らなきゃ損の採用基礎】

求人広告(Web・紙媒体) 

リクナビNEXTやdodaといった大手求人サイトや、地域に特化した求人情報誌などに広告を掲載する手法です。幅広い層にアプローチできますが、数週間から数ヶ月の掲載で数十万円から上位プランだと100万円以上の費用がかかり、応募がなくても費用は返ってきません。


参考:リクナビNEXTの掲載料金表・価格プラン|求人広告代理店yell

参考:doda掲載料金・費用一覧/求人広告、転職サイトタイプ別|doda中途採用をお考えの法人様へ

人材紹介サービス

自動車業界に特化したエージェントなどに依頼し、求める条件に合った人材を紹介してもらう手法です。採用が成功するまで費用が発生しない「成功報酬型」が一般的ですが、その分、手数料は採用者の理論年収の30%~35%(約80万円~150万円)と、最も高額になります。


参考:人材紹介の手数料の相場とは?仕組みと計算方法、返還金について解説|doda(デューダ)中途採用をお考えの法人様へ

参考:人材紹介|手数料の相場は?仕組みや理論年収、返還金(リファンド)について解説 | 人材派遣・人材紹介のマンパワーグループ

ダイレクトリクルーティング

企業側から、求職者データベースに登録している人材に直接スカウトメールを送る「攻め」の採用手法です。転職をまだ具体的に考えていない「転職潜在層」にもアプローチできるのが魅力ですが、魅力的なスカウト文面の作成や、候補者とのやり取りに工数がかかります。

リファラル採用

自社の社員に、友人や知人を紹介してもらう手法です。紹介インセンティブ(報奨金)を設ける場合もありますが、他の手法に比べてコストを劇的に抑えることができます。また、社員からの紹介であるため、入社後のミスマッチが少なく、定着率が高いという大きなメリットがあります。

採用単価を抑え、採用を成功させる5つの方法

採用単価を抑え、採用を成功させる5つの方法

厳しい採用市場で、コストを抑えながら優秀な整備士を獲得するためには、従来の「待ち」の採用姿勢から脱却し、戦略的な取り組みが不可欠です。

求める人材像(ペルソナ)を明確にする

「即戦力になるベテラン」といった曖昧な基準ではなく、「〇〇メーカーの車種の経験が豊富で、若手の指導も任せられる30代のリーダー候補」というように、自社が本当に必要としている人材のスキル、経験、人物像を具体的に定義します。ターゲットが明確になることで、響く求人原稿が書け、採用手法の選択も的確になります。

労働条件や職場環境を改善する

採用競争に勝つためには、求職者から「選ばれる」会社になるための努力が不可欠です。給与体系の見直し、休日数の増加、資格取得支援制度の充実、最新工具の導入による負担軽減など、働きがいのある職場環境を整備することが、何よりの採用力強化に繋がります。

企業ブログやSNSで情報発信を行う

求職者は、求人広告に書かれている情報だけでなく、その会社の「リアルな姿」を知りたいと思っています。自社のウェブサイトやSNSで、職場の雰囲気や先輩社員のインタビュー、独自の技術へのこだわりなどを継続的に発信しましょう。これにより、会社のファンを増やし、応募の動機形成を促すことができます。

複数の採用手法を組み合わせる

一つの採用手法に固執するのではなく、自社の採用ターゲットに合わせて、複数の手法を戦略的に組み合わせることが重要です。例えば、若手未経験者の採用は求人広告、即戦力となる経験者の採用はダイレクトリクルーティングやリファラル採用、といった使い分けが考えられます。

採用代行(RPO)を活用する

採用担当者がいない、あるいは他の業務と兼任していて手が回らない、という場合には、採用業務の一部または全部を外部の専門家に委託する「採用代行(RPO)」も有効な選択肢です。採用のプロが、求人票の作成からスカウト、面接調整までを代行してくれるため、担当者は最終面接などのコア業務に集中できます。

今後の自動車整備士採用市場の動向

EV(電気自動車)やADAS(先進運転支援システム)の普及により、自動車整備士に求められるスキルは、従来の機械的な知識・技術に加え、電気・電子制御やソフトウェアに関する知識へと急速にシフトしています。今後は、こうした新しい技術に対応できる、あるいは学ぶ意欲のある人材の価値がさらに高まり、採用競争はより一層激化していくことが予想されます。


【関連記事】【IAAE2025:国土交通省】自動車整備業界の現状は? 人材確保はどうする? | BSRweb | 株式会社プロトリオス - PROTO-RIOS INC.

まとめ:採用戦略の見直しがコスト削減の鍵

自動車整備士の採用単価の高騰は、業界の構造的な問題であり、一朝一夕に解決するものではありません。しかし、嘆いてばかりでは、人材不足は解消されません。

重要なのは、採用市場の現状を正しく認識し、従来のやり方を見直すことです。自社の魅力を高め、それを能動的に発信し、多様な採用チャネルを駆使する。そうした戦略的な採用活動への転換こそが、採用コストを抑制し、未来の会社を支える優秀な人材を獲得するための、唯一の道と言えるでしょう。