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国交省・機構、第3回「OBD検査モニタリング会合」を開催(前編)

日車協連の広川太一理事が構成員に就任

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2025/06/30

 国土交通省(国交省)および自動車技術総合機構(機構)は2025年6月25日、第3回「OBD検査モニタリング会合」をAP東京八重洲(東京都千代田区)で開催した。


 事務局は国交省物流・自動車局自動車整備課と機構OBD情報・技術センター、構成員は日本自動車工業会(自工会)、日本自動車輸入組合(JAIA)、日本自動車機械器具工業会(自機工)、日本自動車機械工具協会(機工協)、日本自動車整備振興会連合会(日整連)、日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連)、日本自動車連盟(JAF)、軽自動車検査協会(軽検協)、交通安全環境研究所。


 国交省物流・自動車局自動車整備課の村井章展(むらいあきのぶ)整備事業指導官は冒頭の挨拶で、「対象台数も検査台数も増えているが、大きな問題もなく無事昨年度末を乗り越えることができた」と報告。


「だが、まだまだ台数が増えていく途中。10月からは輸入車も対象になるので、引き続きまだ過渡期にある。定常モードになるまで気を引き締めて検討を進めていきたい」と意気込みを示している。

国交省の村井章展指導官

 なお、今回の第3回会合より、構成員が一部変更。日車協連からは、これまでの市川清理事に代わり、新たに広川太一理事が構成員となった。


 広川理事は就任の挨拶で、「OBD検査はもう何台か私の会社でも行っているので、今後そうした経験が何か参考になればと思う」と述べた。

日車協連の広川太一理事

 その後、第2回会合で残された宿題事項への対応を報告。このうち、第1回会合で自工会より提案されたOBD検査システム改善のうち、「OBD検査」モードと「OBD確認」モードの誤選択防止については、「OBD確認モード」選択ボタンを「OBD検査」ボタンから離すとともに、選択時に注意喚起をポップアップ。また「OBD確認モード」画面の背景色を変更し、従来は「OBD検査モード」と同じだった青色から、新たに黄色へ変更する。

OBD検査システムで「OBD検査モード」と「OBD確認モード」を誤選択しないための改修内容

 これらに加え、「OBD結果参照システムのOBD検査等の検索結果が1ページに5件しか表示されず、かつ表示部分の範囲が狭くて検査結果が確認しづらい」という指摘に対し、検索結果表示画面にアコーディオン機能を設置することとし、2025年8月に改修することとした。

OBD検査結果表示画面の改修内容概要

 また、特定DTC照会アプリAndriod版を2025年10月にリリースする。

特定DTC照会アプリAndriod版での操作イメージ

 OBD検査システムを保適証サービス(電子保安基準適合証システム)と連携させ、OBD検査が必要な車両のOSS(ワンストップサービス)申請をした際に、検査未実施の車両をエラーとし、保適証の交付と車検証の更新を行えないようにする対策については、「できるだけ整備事業者の作業負担が小さくなるよう知恵出しをしていただいているので、可能な限り早く対応できるよう努めたい」(村井指導官)と、リリース時期の明言を避けている。

OBD検査システムと保適証サービスの連携イメージ図

 ドラムテスターを用いたスピードメーター検査時にトラクションコントロール(TRC)が作動しDTC(故障コード)が発生、警告灯が点灯する可能性がある問題については、横滑り防止装置をオフにするか整備モードへ移行するなどの措置が事前に必要であること、また警告灯が点灯した場合は検査作業によるものか、あるいは実際に故障が発生しているのかを確認する必要があることを、整備事業者へ周知することとした。

スピードメーター検査時のTRC誤作動・警告灯点灯イメージ図

国産自動車メーカー別の代表的なTRC解除方法一覧

 そのほか、指定工場におけるOBD検査の判定フロー、OBD検査用サーバー障害発生時における特例措置適用方法を記した分かりやすい資料、外国人ユーザー向けのOBD検査周知チラシが新たに作成された。

指定工場におけるOBD検査の判定フロー

OBD検査用サーバー障害発生時における特例措置の適用可否概要

一般ユーザー向けOBD検査周知チラシ英語版(表面)

 続いて、2024年10月1日より開始されたOBD検査の運用状況を報告。2025年5月末時点のOBD検査対象型式は1023(2025年1月末時点は959)、対象台数は登録車318万9453台(同266万5336台)、軽自動車137万1038台(同115万5930台)の計456万491台(同382万1266台)。


 2024年10月1日より2025年5月3日までのOBD検査実績は、指定自動車整備工場(指定工場)が15万2412台で、「不適合あり」率は4.8%(2024年10月1日~2025年2月23日は6万7842台・4.5%)。機構は同9870台・12.2%(同3169台・11.9%)で、軽検協は同2万1783台・2.7%(同1万2595台・3.1%)、全体で同18万4065台・4.9%(同8万3606台・4.6%)となった。

1ヵ月単位のOBD検査台数推移

 指定工場の検査結果より集計された、2025年4月1日~5月31日までの「不適合要因」は、「排出ガス系」のうち「電圧不足」は83件、「レディネスコードなし」は649件、「通信不成立」は496件。安全系の不適合は1091件だった。


 これらの結果について村井指導官は「軽検協での不適合台数が減り、機構での台数が増えているのは、登録車にDCTが数多く設定されているため」と指摘。また安全系不適合あり率の増加については「登録車はADASを多数実装しているので、必然的に特定DTCの検出が多くなる。また1つの車両で1つ故障があると、ECU(車載コンピューター)自体は対にコミュニケーションを取っているため、つながっているECU全てで特定DTCが出てしまう。その結果、1つの原因で多くの特定DCTが出てしまう」と分析している。


<後編に続く>

指定工場における主な不適合要因

(文・写真=遠藤正賢 図=国土交通省)