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J.D.パワー、「2025年日本自動車セールス顧客満足度調査」を実施
ラグジュアリーブランドではBMW、マスマーケット国産ブランドではマツダが1位を獲得
2025/09/03
顧客満足度調査や消費者動向に関するリサーチコンサルティング会社・米J.D.Powerの日本法人、J.D.パワー ジャパンは、メーカー系正規ディーラーから新車購入後2~13ヵ月が経過した18歳以上のカーオーナー計6850人を対象として、「2025年日本自動車セールス顧客満足度調査」を2025年5~6月に実施。その結果を同年8月21日に公表した。
ランキング対象となった12ブランド全体での総合満足度平均スコアは1000点満点中726点で、前年比6ポイントアップ。セグメント別ではラグジュアリーブランド平均が778ポイント、マスマーケット国産ブランド平均が722ポイントだった。
ファクター別の調査平均スコアでは、「店舗施設・サポート」が734点、「契約手続き」が733点、「商談」が721点、「納車」が717点となった。
全12ブランド中最も顧客満足度が高く、かつラグジュアリーブランド4ブランド中最高だったのは、789点をマークしたBMW。「納車」「商談」の2ファクターでセグメント中最高評価だった。
ラグジュアリーブランドの顧客満足度ランキング
マスマーケット国産ブランドセグメント8ブランドの中では、マツダが764点で1位。「店舗施設・サポート」「納車」「商談」「契約手続き」の全4ファクターでセグメント中最高評価だった。
マスマーケット国産ブランドの顧客満足度ランキング
2025年調査の主なポイントは以下の通り。
【商談時におけるデジタルツールの活用が浸透】
自動車ディーラーにおけるDX化は数年前から注目されており、コロナ禍を経て急速に進んでいる。デジタルツールの活用により、顧客とのコミュニケーションの円滑化だけではなく、ディーラーの業務プロセスの効率化や顧客ニーズに合った情報提供などの実現が期待されている。
同調査では、商談時にセールス担当者からどのようなツールを用いて車のデザイン、性能・装備、使い方などの説明が行われたかについて聴取しており、「パソコン/タブレット端末などの画面」の利用は全体の45%となった。
ラグジュアリーブランドでは前年の55%から54%とほぼ横ばいであったのに対し、マスマーケット国産ブランドでは前年から+5ポイントの44%となり、マスマーケット国産ブランドにおける商談の場面でのデジタルツールの浸透がうかがえた。
また、商談における満足度との関係をみると、「パソコン/タブレット端末などの画面」を利用した場合は743点で、全体を22点上回る評価を得ている。
【ディーラーでの実車を活用した商談の実現、今後の一層の強化に期待】
新車購入検討時に参考にした情報は、「車のカタログ・パンフレット(紙・デジタルを含む)」(44%)、「販売店の展示車/試乗車」(39%)が上位2位を占め、顧客にとってカタログとともに実車での確認は重要な参考情報の一つであることがわかった。
販売店での実車の活用実態として、展示車の印象を確認すると、肯定的な回答(“そう思う”、“まあそう思う”の合計)をした割合は、「展示車の外装/外観がとてもきれいだった」、「展示車の内装がとてもきれいだった」はいずれも92%、「ゆったりと展示されていて見やすかった」は83%だったのに対し、「展示車の種類が豊富だった」は最も低い62%だった。
一方、商談の満足度との関係をみると、「展示車の種類が豊富だった」に対して肯定的な場合の評価は772ポイントとなり、「展示車の外装/外観がとてもきれいだった」、「展示車の内装がとてもきれいだった」(いずれも735点)、「ゆったりと展示されていて見やすかった」(748点)よりも高かった。
展示車が豊富に揃っていることは、より高い満足度に結びつくことがわかったが、現状では、展示車のきれいさやゆったりとした見やすさに比べて、展示車の種類の充実にはまだ課題があると考えられる。
【残価設定ローンやリース/サブスクリプションの利用理由は、価格面よりもセールス担当者の対応のよさ】
購入した車の支払方法別に購入理由を確認すると、「セールス担当者/商品アドバイザーの対応がよかった」という割合は、「購入店のリース/サブスクリプション」を利用した場合は52%、「購入店の残価設定型ローン」の場合は48%となり、「現金一括」や「購入店の通常ローン」(いずれも37%)の場合よりも高かった。
さらに、契約手続きにおける満足度との関係をみると、「購入店のリース/サブスクリプション」利用者は754ポイント、「購入店の残価設定型ローン」利用者は753ポイントであり、全体を20ポイント以上上回った。
「購入店の残価設定型ローン」や「購入店のリース/サブスクリプション」での支払いを選択する人は、一般的には、月々の負担額を抑えたい傾向があると考えられているが、実際は、「購入価格/値引きの条件がよかった」という価格面は購入の強い理由になっておらず、むしろセールス担当者の説明といった対応力の良さが決め手となっていることがわかった。
【総括】
高度な機能や先進的な技術を持つ車が市場に広がる中、新車購入の場面において、セールス担当者の説明スキルや対応力の向上に加えデジタルツールや実車を積極的に活用することは、顧客へ車の魅力を的確に伝え、高い満足度を得るために欠かせない要素となっている。
展示車については、ディーラーで取り扱う全てのモデルの展示車を用意することは現実的に難しいことであり、実際に調査内で、購入した車と“同じモデル”の車が展示してあったという割合は48%と半数に満たない結果であった。ディーラーにとって店舗ごとの売れ筋モデルの販売予測、来店する客層やそのニーズの把握などはますます重要になっている。