JOURNAL 

PPF市場の成長期の最中 アフターマーケットを見つめ直し、新たなビジネスモデルを構築する

  • #インタビュー

2026/03/11

日本のペイントプロテクションフィルム(PPF)市場は、従来の高価格帯を中心とした施工モデルから、より多くのユーザーの手が届くビジネスモデルへの展開を模索している。そこでNKODAフィルムの総輸入代理店であるNKD JAPAN(東京都中央区)とフィルム施工店のJTW産業(埼玉県川口市)による協業モデル、そして整備工場との協力体制構築について両社の代表である山崎佳明氏と林威氏に、現在の取り組みと今後の展望について詳しく話を聞いた。


ー NKD JAPANとJTW産業について


山崎 NKD JAPANは2017年に設立。当時から日本のPPF市場の普及比率・装着比率が他国と比べまだ少なく、そこに市場拡大の可能性を見込んだ。2021年ころから中国のフィルムメーカ ー のShanghai Nalinv Technolog社(以下、Nalinv社)と協力関係を築き、現在は同社のNKODAブランドの総輸入代理店として日本国内でのフィルム供給と協力店ネットワークの構築を担っている。JTW産業をはじめとする協力店とともに施工体制を整えている。


 JTW産業は2023年創業で、創業時からNKODAフィルムの施工店として関係を構築している。中国をはじめ各国の施工経験のある技術者を招聘し、現在は月に20 ~ 25台をコンスタントに処理している。あらかじめパネルの形に切られたフィルムを使わず、ロール状のフィルムから現場で切り出して貼るバルク貼りをメインに、部品脱着を行わずフルラッピングで車両を2 ~ 3日で仕上げるスピード感を持って作業している。


ー NKODAのフィルムについて


山崎 Nalinv社と当社が協力関係を結んだのはその品質の高さが大きい。高品質な日本製ウレタン樹脂を原材料として使用している。自社でフィルムからコーティングまで一貫生産する体制を構築しており、ロシアや中近東、南米といった気象条件の厳しい環境下での使用に耐えうる品質を確立している。現在100 ヵ国以上に輸出実績があり、そのクオリティーが日本のオーナーの求める品質にもマッチすると見ている。


 カラー PPFのバリエーションが豊富で、塗装だと再現が難しいカーボン調の表現も可能でオリジナリティーを出したいオーナーからの依頼が多い。また同社の透明PPFの上にPVCのカラーフィルムを貼付け、さらに透明PPFで保護するなど施工方法の選択肢が多いのも魅力だ。


ー PPFの日本での普及について


山崎 日本のPPF市場は成長期にあると考えており、さらなる伸びしろがある。日本は諸外国と比べ道路環境が良くて、走行距離も短く、飛び石など車体を傷付けるリスクが少ない。また、市場の価格帯もフルラッピングで100~ 150万円と高く、1,000万円を超えるスーパーカーに需要が偏りがちだ。ここがクリアされれば市場はさらに拡大すると考えている。


 実際、現状の施工車両はメルセデス・ベンツSクラス相当の車両が多い。開業当初はPPFの存在を知らないオーナーがほとんどだったが、現在では新車代替時の依頼が増えており、認知度も需要も広がっている。スクラッチ損傷の際に効果を実感し、オーナー同士の紹介で客層が広がっており、需要は2年前よりも着実に伸びてきている。


ー 施工台数の拡大に向けて


山崎 ボ リ ュ ー ム ゾ ー ン(500 ~1,000万円)の需要を獲得するのが今後の目標となる。カラー PPFの登場により、気軽なボデーカラーの変更や、新車販売や補修時のプラスアルファのサービス提案として、手の届きやすい価格帯のサービスメニュー構築を目指している。これは決して施工技術を安売りしているのではなく、施工台数を増やして収益を積み上げるビジネスモデルを目指している。


 当社でもボリュームゾーンを狙ったサービスメニューも充分実現できるとNKD JAPANと考えが一致している。1台ごとの収益を高めるより、施工台数を増やすほうが技術者の経験値も高くなり技術者たちのモチベーションや、工場全体の技術力向上にもつながる。


ー 整備工場のPPF技術習得については


山崎 整備工場でのサービスメニュー拡大にもPPFは向いていると考えている。車販時の施工で付加価値を付け、メンテナンスによる顧客のグリップを見込める。去年3月にはNalinv社とともに日本にトレーニングセンターを開設した。今後はJTW産業との協力関係を強め連携を深め、同社内の設備環境を活かしトレーニング機関として今後展開していくつもりだ。興味のある技術者はぜひ気軽に足を運んほしい。


 社内ではスピードより作業品質の維持向上を徹底している。作業の手戻りは大きなロスである上、顧客からの信頼を損なうのは車体整備も同じだと思う。熟達のためにはコンスタントに作業できる環境が必要だ。一朝一夕で身に付けるのは難しい技術ではあるが、まずはボンネットやドアカップ施工など一部からスタートすればハードルは高くない。また当社に施工の様子を見学に来てもらうことも大歓迎だ。


ー PPF市場の今後と整備工場との協業について


山崎 日本ではまだ施工台数と技術者が少ないが、世界規模ではアフターマーケットでの存在感は年々増してきている。PPFはもはや一部の高級車のための「高嶺の花」ではない。日本でももっと手軽にPPFを楽しんでほしいという思いがある。整備工場にとっても自社のサービスに付加価値を与え、顧客満足度を高めるための強力なツールとなり得るだろう。アフターマーケット全体をともに盛り上げていくパートナーとして協業の体制を整えていく。PPF導入についての相談はいつでも受け付けている。鈑金塗装・整備業界からもぜひ気軽に声を掛けてほしい。


 現在、自社では近隣の5店舗の整備工場と協力関係にある。フィルム施工前の下地処理や自社で受け付けた車検や鈑金・整備を整備工場へ依頼し、整備工場で受けたラッピング施工を当社で引き受ける協業関係を築けており、整備工場の存在はとても大きい。今後もネットワークを広げていきたい。互いに協力関係があれば、自社で作業できなくともそれぞれの分野をサービスメニューに追加できる。技術的な交流も含め、今後も相互の知見を交換していきたい。


JTW産業取締役林 威氏 LIN WEI | NKD JAPAN代表取締役CEO 山崎 佳明氏 YAMAZAKI YOSHIAKI

JTW産業でNKODAのカラー PPFをバルク貼りする様子。バルク貼りは施工スピードは速いが相応の技術力が必 要となる。同社では日本・中国・米国の3 ヵ国の技術者が集まり、高効率に施工を進めている