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シネマエンドレス「ブゴニア」
2026/03/09
アカデミー賞4部門ノミネートの前代未聞の誘拐サスペンス!
人気絶頂のカリスマ経営者として脚光を浴びるミシェルが、何者かによって誘拐された。犯人は、ミシェルがCEOを務める会社の末端社員のテディと、彼の従弟で引きこもりのドンの2人組。陰謀論に心酔する2人は、ミシェルが地球を侵略しにきたアンドロメダ星人だと信じ込み、「4日後の月食の夜、自分をミシェルの母船へと連れて行き、そこで彼女の星の皇帝と会談し、地球から撤退するよう交渉させろ」と要求する。真っ当な会話が成り立たない誘拐犯と、知恵で彼らを言いくるめようとするミシェル。「助かりたければ地球から撤退せよ」という支離滅裂な要求をする犯人を相手に、世界に名をはせるカリスマCEOのミシェルはどう切り抜けるのか――。
二転三転する駆け引きの果てに、物語は誰も予期せぬ、まさかの展開へと発展していく。意外で衝撃的、痛快すぎるラストが待ち受ける、アカデミー賞<作品賞>を含む4部門ノミネートも納得の前代未聞の誘拐サスペンス!
© 2025 FOCUS FEATURES LLC.
サブカルおじさんの推しどころ
当コーナーで紹介した「哀れなるものたち」、「憐れみの3章」など攻めた話題作を発表し続けるヨルゴス・ランティモス監督。その最新作は、韓国のカルト映画「地球を守れ!」を、ランティモスらしい毒気をたっぷりと効かせたリメイク作。主演はランティモス監督と五度目のタッグとなるエマ・ストーン。なまじ知恵が回るも一切会話が噛み合わない陰謀論狂信者と頭脳明晰な社長の互いの腹を探り合う地下室での会話劇が中心だが、その一つひとつに意味があるような、そのすべてに意味がないような言葉の応酬に「狂人の怪物ぶり」を再認識し、「怒りと恐怖に打ち勝つ知性こそが権力と金を生む」と思うだろう。丸刈りになったエマ・ストーンと狂気のジェシー・プレモンスの演技により生み出された先入観、誇大妄想、孤立、不安、これらを丸呑みして吐き出される常識の枠から逸脱したラストに感動すらしてしまう。筆者的には文句なしの2026年ベスト候補筆頭作品である。
© 2025 FOCUS FEATURES LLC.
監督:ヨルゴス・ランティモス/配給:ギャガ ユニバーサル映画/ 2月13日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
担当記者
青山 竜(あおやま りゅう)
東京編集課所属。映画・音楽・芸術あらゆる文化に中途半端に手を出し、ついたあだ名は「サブカルくそおじさん」。