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OBD検査はいつから?対象車両や整備工場に必要な準備を解説

2024年10月から開始されるOBD検査について、対象車両や開始時期、具体的な検査手順を整備工場向けに解説します。事業場IDの取得や法定スキャンツールの導入など、車検業務を滞りなく進めるために必要な準備を網羅して把握できます。

  • #コラム

2026/08/20

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OBD検査はいつから?対象車両や整備工場に必要な準備を解説

OBD検査は、自動運転技術などの普及に伴い、2024年10月から国産車を対象に開始される新たな車検制度です。車載式故障診断装置を用いた具体的な検査内容や対象車両の条件、整備工場が事前に行うべき事業場IDの取得など、現場で必要な準備の全体像を整理します。

 

この記事の要約

·        OBD検査は国産車が2024年10月、輸入車が2025年10月から順次開始される

·        対象は2021年以降の新型国産車と2022年以降の新型輸入車である

·        整備工場は専用窓口での事業場ID取得と法定スキャンツールの導入が必要

·        車検時はスキャンツールを車両に接続し、サーバーと通信して合否を判定する

·        検査結果を自動連携できるシステムを活用すると現場の業務負担を軽減できる

 

OBD検査とは?

OBD検査とは?

新たな車検制度の概要と、導入に至った背景を整理します。

車載式故障診断装置で検査を行う

OBD検査は、車両に搭載された自己診断機能(OBD)を利用して、電子制御装置の故障の有無を判定する仕組みです。法定スキャンツールと呼ばれる専用の機器を車両のコネクターに接続し、自動車技術総合機構のサーバーと通信を行って結果を取得します。従来の目視やテスターによる確認だけでは見抜けなかった、見えないシステムの不具合を正確に検知しやすくなります。

先進安全技術の普及を背景に導入された

この制度が導入された背景には、衝突被害軽減ブレーキや自動運転技術など、車両の電子制御化が急速に進んだ事情があります。これらのシステムは交通安全に大きく寄与する反面、センサーやカメラに不具合が生じると重大な事故を招く危険性をはらんでいます。高度な安全装置が市販車に広く普及したことで、車検時にもそれらの機能が正常に作動するかを厳密にチェックする体制が求められるようになりました。

参考:物流・自動車:自動車の電子的な検査(OBD検査)について - 国土交通省

参考:国土交通省|報道資料|10月より、車検の項目に「電子装置の検査(OBD検査)」が追加されます!~ 新しいクルマに、新しい車検が始まります ~

 

OBD検査はいつから始まる?

制度の適用時期は、国産車と輸入車でそれぞれ異なります。

対象車両

制度の開始時期

国産車

2024年(令和6年)10月1日

輸入車

2025年(令和7年)10月1日

国産車は2024年10月に開始

国産車に対するOBD検査は、2024年(令和6年)10月1日から正式に開始されました。制度開始以降に車検を迎える対象車両は、従来の検査項目に加えて検査用スキャンツールを用いた合否判定を実施する必要があります。なお、2023年10月1日から2024年9月末まではプレ運用(習熟)期間でしたが、現在は終了し、本格運用に移行しています。

輸入車は2025年10月に開始 

輸入車に対する制度の適用は、国産車から1年遅れた2025年(令和7年)10月1日から開始されます。海外メーカーの車両情報を国内のシステムに統合し、検査環境を整備するのに時間を要することが猶予期間の理由です。輸入車を多く扱う整備工場であっても、まずは国産車向けの対応を先行して進める必要があります。

【関連記事】OBD検査本格運用から1年半!自動車整備事業者に迫るコンプライアンスの危機と法的責任 | BSRweb | 株式会社プロトリオス - PROTO-RIOS INC.

対象となる車両の条件

すべての車両が対象になるわけではなく、製造時期によって適用が分かれます。

車両区分

適用となる製造時期の条件

国産車

2021年10月1日以降の新型車

輸入車

2022年10月1日以降の新型車

21年以降の新型国産車が該当する

検査対象となるのは、2021年(令和3年)10月1日以降に新型車として型式指定を受けた国産車です。フルモデルチェンジを実施した車種が該当し、それ以前から継続して生産されているマイナーチェンジ車は対象外となります。車検証の備考欄に「OBD検査対象」という記載があるため、受付時に確実な確認が求められます。

22年以降の新型輸入車が該当する 

輸入車の場合は、2022年(令和4年)10月1日以降に新型車として型式指定を受けた車両が対象です。こちらも国産車と同様に、対象時期より前に型式指定を受けた継続生産車は検査の適用から外れます。年式だけでは判断が難しいため、現車の車検証情報をシステムで照会する運用が一般的です。

整備工場に必要な準備

整備工場に必要な準備

車検業務を滞りなく進めるために、事前の設備導入と手続きが重要です。

準備項目

具体的な内容

機器の導入

機構が認定する法定スキャンツールを用意する

環境の整備

検査用端末と安定したインターネット通信網を構築する

アカウント取得

特定窓口に申請し、工場ごとの事業場IDを発行する

認証の取得

電子制御装置整備の認証要件を満たしておく

法定スキャンツールを導入する

OBD検査を実施するためには、自動車技術総合機構が定める要件を満たした「法定スキャンツール」を導入する必要があります。一般的な故障診断機(汎用スキャンツール)の中には、機構のサーバーと通信する機能を持たないものも存在します。導入にあたっては、メーカーの仕様書を確認し、新制度に完全対応した機種を選ぶことが重要です。

参考:OBD検査について|OBD検査ポータル

検査用の端末と通信環境を整える

スキャンツールを制御しサーバーと通信するための端末(パソコンやタブレット)と、安定したインターネット環境を整備します。検査ライン上で車両とサーバーがリアルタイムにデータを送受信するため、工場の奥などWi-Fiの電波が届きにくい場所では通信エラーが発生するリスクがあります。事前に現場の通信状況をテストし、必要に応じてルーターの増設などを検討するとよいでしょう。

専用窓口で事業場IDを取得する 

検査システムを利用するには、事前に「OBD検査ポータル」を通じて事業場IDを取得する手続きが必要です。このIDを持たない工場はサーバーへアクセスできず、車検の合否判定そのものが行えません。申請には工場長や管理責任者のメールアドレスが必要となり、登録完了までに一定の日数を要するため、早めの手続きが推奨されます。

参考:事業場ID申請を受付中です|OBD検査ポータル

電子制御装置整備の認証を受ける

OBD検査で電子制御装置に関わる不具合が発見され、その修理が特定整備(電子制御装置整備)に該当する場合は、同事業の認証を受けている必要があります。認証を持たない工場は、対象となるセンサー調整や部品交換を自社で完結できません。車検から修理までの一貫したサービスを提供するために、未取得の場合は管轄の運輸支局へ申請する準備が求められます。

車検時の具体的な検査手順

車検時の具体的な検査手順

実際の車検現場で行う、車両への機器接続から合否判定までの流れを整理します。

検査工程

作業内容

接続と車両識別

スキャンツールを車両のOBDポートに繋ぎ車台番号を読み取る

通信と判定

機構サーバーへデータを送信し特定DTCの有無で合否を出す

車両とスキャンツールを接続する

車検の検査コースにおいて、車両の運転席付近にあるOBDコネクターに法定スキャンツールを接続します。専用のアプリケーションを起動し、車検証のQRコードを読み取るか車台番号を入力して、対象車両の情報をシステムに認識させます。この時点で車両側の電子制御装置と通信が確立し、内部のデータへアクセスできる状態となります。

サーバーと通信し合否を判定する 

車両から読み取った故障コード(DTC)の情報を、インターネット経由で自動車技術総合機構のサーバーへ送信して合否を判定します。サーバー側では、保安基準に適合しない重大な不具合を示す「特定DTC」が記録されていないかを瞬時に照合します。特定DTCが検出されなければ合格となり、その結果が車検システムの合否データとして記録されていく仕組みです。

特定整備との違いは?

混同されやすい電子制御装置に関する2つの制度の違いを明確にします。

制度名

目的と適用場面

特定整備

センサー類の脱着やエーミングなど修理・整備を行う制度

OBD検査

車検時にシステムの異常がないかを確認し合否を出す制度

特定整備は安全装置の脱着・調整などを対象とする整備区分

特定整備は、令和2年4月に始まった整備区分です。従来の「分解整備」に加え、衝突被害軽減ブレーキのカメラ・レーダーの脱着や調整、ガラス交換に伴う調整(エーミング)などを行う「電子制御装置整備」を含みます。安全装置が正しく機能するよう、作業場や整備士などの要件を定めており、車検のタイミングに限らず、これらの作業を行う場合に認証を受けた事業場での対応が必要となる枠組みです。

参考:自動車:自動車特定整備事業について - 国土交通省

OBD検査は車検時の電子的な合否判定

一方のOBD検査は、車検時に行う合否判定のプロセスです。スキャンツールで読み取った特定DTCの有無を確認し、その結果で合否を出します。OBD検査の結果、故障が確認された場合は、修理しなければ車検に合格しません。前述のとおり、特定整備は前方監視カメラ・レーダーの脱着・調整(エーミング)などを認証事業場で行う整備区分であり、OBD検査で見つかった不具合の修理が必ずしも特定整備に該当するわけではありません。両者は対象車両や目的の異なる別個の制度であり、混同しないよう注意が必要です。

 

業務を効率化するシステム活用

新たな検査手順が増える中で、システムの活用が現場の負担軽減につながります。

活用方法

期待できる効果

結果の自動連携

手入力によるミスを防ぎ事務作業の時間を短縮する

診断書の出力

顧客へわかりやすいレポートを提示し信頼性を高める

検査結果を自動連携し手間を省く

法定スキャンツールと連携できる整備システムを導入すれば、検査結果や車両情報を自動で基幹システムに取り込むことができます。検査員が手書きで記録シートに記入し、それをフロント担当者がパソコンに再入力するといった二度手間を防げます。繁忙期における入力ミスの削減と、車検ラインの滞留防止に寄与する運用方法です。

診断結果を活用し顧客に説明する

システムの機能を活用して、目に見えない電子制御装置の状態をわかりやすい診断レポートとして出力し、顧客への説明材料に用います。単に車検に合格したという事実だけでなく、安全装置が正常に作動していることを示す材料として、診断結果を可視化して提示できます。次回の点検時期の提案や、予防整備の案内にも活用できるため、説明業務の効率化と、顧客への提案品質の向上につながります。

まとめ

OBD検査への対応は、法定スキャンツールの導入と事業場IDの取得、そして対象車両の正確な見極めが重要になります。国産車は2024年10月から順次適用が始まり、車検業務にスキャンツールを用いた通信と合否判定のプロセスが新たに加わります。

新たな検査項目は現場の負担増につながり、特に検査結果の記録や顧客への説明を手作業のまま行うと相応の時間がかかります。こうした負担を軽減する鍵が、法定スキャンツールと連携する整備システムの活用です。検査結果の自動連携や診断レポートの出力を整えておけば、事務作業を効率化しながら顧客へ安心感のある説明を提供できます。制度開始が迫る今こそ、対象車両と必要な手続きを整理し、業務効率化まで見据えた準備を進めておきましょう。

独自調査とデータから、自動車業界の未来を探る『モビリア総合研究所』
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