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ホンダ、4代目となる新型「インサイト」を発表。クロスオーバーSUV形状のEVとして3,000台限定で発売

1999年に誕生した初代モデルから数えて4代目。完全な電気自動車(EV)へと動力源を刷新し、WLTCモードで航続距離535kmを実現。2026年4月17日より販売開始。

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2026/04/17

ハイブリッドからEVへ。大きく姿を変えた4代目インサイト

 本田技研工業は、新型乗用EV(電気自動車)「INSIGHT(インサイト)」を2026年4月17日に発売した。本モデルは3,000台限定での販売となる。

クロスオーバーSUVとして生まれ変わった新型「インサイト」。シャープな造形と発光するHマークが、次世代EVとしての確かな存在感を放つ

 初代インサイトは、1999年に当時ガソリン車として世界最高の燃費を達成したパーソナルハイブリッドカーとして誕生した。その後、2009年の2代目では求めやすい価格を実現したミドルセダンハイブリッドとして普及を促し、2018年の3代目ではクルマとしての本質的な魅力を追求するなど、Hondaの環境対応車の歴史において特徴的な立ち位置を占めてきたモデルである。

 今回のフルモデルチェンジで4代目となる新型インサイトは、これまでのハイブリッド車という位置づけから、完全な電気自動車(EV)へと大きな転換を遂げた。さらにボデータイプも従来のセダン形状から、人気の高い電動クロスオーバーSUVへと変更されている。ホンダは本車両の開発コンセプトを「OUTSTANDING IMPACT - 存在感際立つ、個性派EV」と設定し、EVへの乗り換え意欲を喚起する魅力的なモデルを目指したとしている。

エクステリアデザイン:鋭さを強調したスタイリング

ボデーカラーには新色を1色採用

 外観デザインは、「Knives out」をテーマに、鋭い刃をイメージさせる刺激的なフォルムが追求された。クロスオーバーSUVとしての骨格を持ちながら、前後を一気通貫するシャープな造形により、車両全体が前方へ押し出されるような力強い突進感を表現している。

 フロントビューは、EVの象徴として発光するHマークを中央に配置し、横基調のヘッドライトと機能灯体をシームレスに統合している。薄くシャープなラインランプと「く」の字の表現により、先進感とワイドな印象を強めている。

 リアビューにおいてもフロントと同様に横基調のラインと「く」の字モチーフが反復されている。テールランプはレーザーカッティングによる緻密な多重表現が用いられており、シンメトリーな造形でSUVとしての堅牢さを表現しつつ、大きく傾斜させたリアピラーによって独自のプロポーションを形作っている。

 足回りには、アッパーミドルクラスの風格を持たせた大径18インチのノイズリデューシングアルミホイールが装備される。シャープな造形をスモーク仕上げとすることで、立体感と上級感を演出している。

大径18インチのアルミホイールを装着

 ボデーカラーは、先進感と社会との融和を追求した全5色がラインアップされている。

・ダイヤモンドダスト・パール(カラーコード:NH-909P)(※66,000円高)

・クリスタルブラック・パール(カラーコード:NH-731P)

・スレートグレー・パール(カラーコード:NH-912P)(※44,000円高)

・アクアトパーズ・メタリックII(カラーコード:B-644M)(Honda新色/※44,000円高)

・オブシダンブルー・パール(カラーコード:B-588P)

(※は消費税10%込みの有料色)

新色のアクアトパーズ・メタリックII

インテリアとパッケージング:ラウンドデザインと広大な荷室

 室内空間は「Sukkiri comfort」をテーマとし、開放的な空間と五感に訴える仕立てによる快適性が重視されている。水平基調のシンプルなインストルメントパネルからリアドアまでを連続させたラウンド空間が特徴で、乗員を優しく包み込むラップアラウンドレイアウトが採用された。インパネやドア造形に沿って配置されたLEDアンビエントランプは、ドア開閉時の注意喚起(アンバー点灯)やエアコン温度調節時のアンサーバック(赤・青点灯)といった機能性も併せ持つ。

 運転席回りは、メーターバイザーを廃止した9.4インチデジタルグラフィックメーターと、11.5インチ相当の大型ヘッドアップディスプレーの組み合わせにより、視線移動を抑えたクリーンな運転環境が構築されている。ステアリングホイールには前方視界の確保と足元空間の拡大に寄与する楕円形状が採用された。

水平基調のインストルメントパネルを採用した運転席周り。ラウンドデザインによる包まれ感と、視線移動を抑えたクリーンな視界を提供する。

 パッケージングにおいては、前席のサイドウォークスルーを実現するセンターコンソール構造により、運転席と助手席間でのスムーズな移動を可能にしている。後席は充分な足元空間を確保するとともに、高反発・高減衰ウレタンパッドを用いたリクライニング機構付きシートを採用し、長時間の移動でも疲労を感じにくい設計となっている。

 ラゲッジスペース(荷室)は2段構造のカーゴリッドを備え、日常使いからレジャーまで幅広く対応する。リッドを下段にセットした際の最大開口幅は1,100mmとなり、9.0型のゴルフバッグや29インチのスーツケースを3個収納できる大容量を確保。後席を前方に倒せば最大荷室長1,875mmのフラットな空間が出現し、長尺物の積載や車中泊にも対応可能なユーティリティを備えている。

後席を前方に倒すことで、最大荷室長1875mmのフラットで広大なラゲッジスペースが出現。アウトドアレジャーなどの長尺物の積載にも対応する。

独自の快適装備:乗員の五感に訴えかけるシステム

 EVならではの静粛な空間の魅力を高めるため、複数の特徴的な機能が搭載されている。

 第一に、Hondaの国内向け車両として初となる「アロマディフューザー機能」が採用された。エアコン作動時に室内に香りを広げるシステムで、最大3本の専用カートリッジを装着し、ディスプレイ操作で香りを切り替えることができる。全6種類の香りが用意されている。

 第二に、「インテリジェントヒーティングシステム」の導入である。シートヒーター、ステアリングヒーター、および輻射熱を用いたインテリアヒーターを協調動作させ、後席の乗員有無を自動判別して空調を最適化する。これにより、電力消費を抑えつつ、作動音が静かで乾燥しづらい温暖環境を提供する。

 第三に、「BOSEプレミアムサウンドシステム」が標準装備された。ホンダと米国Bose Corporationが共同開発した専用オーディオシステムで、12個のスピーカーを最適配置。BOSE独自の音響技術と車速に応じた音量調整機能により、全席で臨場感あふれる音響体験を実現している。

パワーユニットとダイナミクス性能:535kmの航続距離と意のままの走り

 駆動系には、モーター、ギヤボックス、インバーターを統合して小型化を図った機電一体構造の「e-Axle」が搭載されている。モーターの最高出力は150kW(204PS)、最大トルクは310N・mを発揮し、発進時から大トルクを生かした力強くスムーズな加速を実現する。

 バッテリーパックには、容量195Ah、総電力量68.8kWhの大容量リチウムイオンバッテリーが採用された。一充電あたりの航続距離は、WLTCモードにおいて535kmを達成している。

 また、水加熱電気ヒーターやチラー(冷媒を用いて冷却水を冷やす装置)を用いたバッテリー温度管理システムが組み込まれており、バッテリーを適温に保つことで走行性能や充電性能の低下を抑制する設計となっている。

 充電性能については、普及が進む6kW普通充電(満充電まで約10.5時間)に加え、80kWの急速充電にも対応している。80kW急速充電器を使用した場合、充電残量警告灯の点灯時から80%までの充電を約40分で行うことが可能である。さらに、別売のAC外部給電器「Honda Power Supply Connector」を利用すれば、車両から最大1,500Wの電力を外部機器へ供給することができ、アウトドアや非常時の電源としても活用できる。

 走行モードは「NORMAL」、「SPORT」、「ECON」、「SNOW」の4種類から選択可能である。SPORTモード選択時には、加速・減速に連動して独自のEVサウンドを車内に響かせる「アクティブサウンドコントロール」が機能し、運転の高揚感と車両との一体感を高める演出が施されている。また、ステアリングパドルによってアクセルオフ時の減速度を調整できる減速セレクターも装備され、スポーティーなワンペダル感覚の操作も可能となっている。

衝突安全性能とボデー骨格

 新型インサイトは軽量化と高剛性を両立させるため、素材の構成を最適化。980MPa級以上の高張力鋼板が、ボデー骨格全体の約3分の1を占めており、アルミ製バンパービームの適用などにより、優れた剛性と高い衝突安全性を確保した。

 加えて、フロントセンターエアバッグを含む多数のエアバッグシステムや、万一の衝突時にバッテリーパックへ直接の力が加わらないようにする高電圧部品保護構造が採用されており、高い衝突安全性能が確保されている。

先進の安全運転支援機能「Honda SENSING」

 安全装備としては、ホンダの先進安全運転支援機能「Honda SENSING(ホンダ センシング)」が標準装備されている。搭載される主な機能は次の15項目。

・衝突軽減ブレーキ(CMBS)

・誤発進抑制機能※

・後方誤発進抑制機能※

・近距離衝突軽減ブレーキ※

・歩行者事故低減ステアリング

・路外逸脱抑制機能

・渋滞追従機能付きアダプティブクルーズコントロール(ACC)

・車線維持支援システム(LKAS)

・トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)

・先行車発進お知らせ機能

・標識認識機能

・オートハイビーム

・ブラインドスポットインフォメーション

・Hondaパーキングパイロット

・パーキングセンサーシステム

※「誤発進抑制機能」、「後方誤発進抑制機能」、「近距離衝突軽減ブレーキ」を組み合わせて「踏み間違い衝突軽減システム」と呼称

コネクティビティとオンライン販売専用モデル

 機能面では、車載通信モジュール「Honda CONNECT」に対応した12.8インチディスプレーオーディオを標準装備している。「Honda Total Care」に加入することで、スマートフォンからバッテリー残量の確認や充電待機時間の設定が可能となる。

さらに、スマートフォン向けナビアプリ「EVカーナビ by NAVITIME」との連携機能も備わっており、車両のバッテリー残量を考慮した充電スタンド経由ルートの自動案内や、地図上への航続可能範囲の表示など、EVならではの長距離移動の不安を軽減するシステムが構築されている。

 新型インサイトのグレード構成は、前輪駆動(FF)の「INSIGHT」1タイプのみ。全国メーカー希望小売価格は5,500,000円(消費税込み)に設定されている。

 また、通常の販売網とは別に、新車販売オンラインストア「Honda ON」専用のモデルとして「Honda ON Limited Edition」が数量限定で設定される。このオンライン限定モデルは、洗練感が際立つ専用のホワイト内装が設定され、ボデーカラーは「ダイヤモンドダスト・パール」および「クリスタルブラック・パール」の2色からのみ選択する仕様となっている。

新車販売オンラインストア「Honda ON」専用の数量限定モデルに設定される、洗練感が際立つホワイト内装。

 セダン形状のハイブリッド車から、クロスオーバーSUV形状の完全な電気自動車へと大胆な変貌を遂げた4代目インサイト。斬新なデザインや高級ラウンジを思わせる室内空間、実用的な航続距離と充実したコネクテッド機能など、ホンダが今後のEV普及を見据えて具現化した意欲作である。3,000台という限定販売のなかで、新たな価値を提案するこのモデルが市場でどのように受け止められるのか、今後の動向が注目される。