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沖縄から日本トップクラスへ、ガレージハウスが描く人材採用と次世代ボデーショップの未来
2026/06/03

美しい海が人々を惹きつける沖縄。しかしその裏側で、地域経済を支える技術者の現場は深刻な人材不足に喘いでいる。沖縄県内で唯一のテスラ認定工場であり、テュフ プラチナ認証も取得するガレージハウス(上地龍太社長、南城市)。確かな鈑金塗装技術とディテーリングサービスを展開する同社だが、年間多額の求人費を投じてもなお芳しくない採用実績に直面している。この閉塞感を打破すべく、県内だけでなく県外からの人材登用と移住支援という新たな活路を模索し始めた。一人の経営者の熱い想いとその未来を追う。
「沖縄にないなら自分で作る」最高峰への挑戦
上地社長の歩みは挑戦の連続だった。輸入車に憧れていた20歳で鈑金塗装の門を叩いてから、さらなる高みを目指して毎月大阪へ通い詰めるなど、自らの技術へひたすらに向き合い腕を磨き続けた。当時、沖縄にはハイクラスの輸入車修理ができる工場はなく、そういった車種にも対応可能な「日本トップクラスの技術と設備を兼ね備えたボデーショップを作る」。この目標を胸に2014年ついに同社を創業した。
サービスメニューには鈑金塗装だけでなく、スプレー式プロテクションフィルムなどを導入し、事業の柱を育てながら業容を拡大。「車が好きで輸入車も触りたい……、そんな人が活躍できる場は沖縄にない。だから自分が技術者にとって最高の環境をそろえる」。この思いを形にしたのが、2023年の移転を経て、沖縄県初のテスラ認定工場とテュフ プラチナ認証を取得した現在のガレージハウスである。

県内だけでなく県外にも視野を広げる
同社では沖縄県内から技術者を採用しており、新店舗移転に伴って採用活動を開始。しかし、求人サイトへ費用を投じたにもかかわらず経験者の応募はなかった。未経験者の応募もわずか5、6人。採用に至った数人も求人媒体ではなく、SNSで同社の存在を知り直接連絡してきたという。直近ではWeb求人プランに切り替えたが劇的な効果はなかった。
この状況を鑑み、同社では県外、特に本土からの人材登用にも目を向け始めた。現在、顧客の約8割は本土のカーオーナーであり、沖縄のローカルな風土よりも、標準的なビジネスコミュニケーションが主体となる同社では、県外出身者でも活躍しやすい土壌がある。
そこで検討しているのが、移住を伴う採用希望者への手厚いサポート体制の構築。面接や工場見学のための渡航費や宿泊費の負担、採用が決まった際の引っ越し費用の補助、さらには家賃補助まで視野に入れている。「もうここまで会社がやらないと人が集まらない時代」と覚悟を決めている。 もちろん、既存社員との公平性を保つ必要があり、サポート範囲は慎重に検討しているが、本気で沖縄に来て技術を磨きたいと願う人材への投資は惜しまない構えだ。

ミスマッチを防ぐための試み
採用において最も避けたいのは、入社後のミスマッチ。これを防ぐため、“お試し入社“という制度を構想している。一般的な企業の研修・試用期間よりもさらに手前の段階で、たとえば1ヵ月間お互いを見極める期間を設けるというものだ。「辞めてもいいし、こちらからお断りしても良い。お互いフェアな関係で」と語るように、形式的な手続きの前に、職場の空気感や人間関係が合うかどうかを確かめる機会を提供したい考えだ。
「結局最後は技術だけではなく人間性」。頑固な職人気質よりも、チーム内で協力できるコミュニケーション能力を重視する。スタッフも20歳代が中心という若い組織だからこそ、会社になじめるかを軽視はしない。 同社の挑戦は、単なる一企業の採用活動にとどまらない。洗練された空間で最先端の技術を学び、県内トップクラスの待遇を得られる環境を提示することで、「鈑金塗装は汚い」という旧来の業界イメージを刷新しようとしている。この取り組みが、深刻な人材不足に悩む地方の現場に一石を投じ、意欲ある技術者が新たなキャリアを築く道標となるか、その動向を注目したい。