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マツダ、第76回自動車技術会賞を受賞

世界初の高応答遮熱材料技術の開発により燃費・出力・トルクを高次元で両立

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2026/06/15

 マツダは、燃費・出力・トルクを高次元で両立させる、世界初(*1)の高応答遮熱材料技術の開発が評価され、第76回自動車技術会賞(技術開発賞)を受賞した。

 自動車技術会賞は、1951年に自動車工学および自動車技術の向上発展の奨励を目的に設けられ、公益社団法人自動車技術会より、自動車技術における多大な貢献・功績を認められた個人に贈られる。

受賞対象および受賞者

 主催者が公表した、マツダに関わる受賞対象および受賞者は以下の通りである。

  • 技術開発賞:自動車技術の発展に役立つ新製品または新技術を開発した個人・共同開発者に送られる賞。
  • 受賞対象:エンジンの燃費と出力・トルクを革新する高応答遮熱材料技術の開発。
  • 受賞者:湊 允哉(みなと まさや)、山本 一陽(やまもと かずあき)、中西 佑樹(なかにし ゆうき)、井川 清朋(いがわ きよとも)、和田 好隆(わだ よしたか)。

高応答遮熱材料技術の詳細

 従来のエンジン用遮熱材料(*2)は、燃焼時に熱を保持することで燃費や出力の向上に寄与する一方、吸気時にも熱が逃げにくく、エンジン内部が過度に高温となり、トルク低下を招きやすいという課題があった。今回マツダは、シリコーン樹脂(*3)をベースに無機中空粒子(*4)や微細シリカ粒子(*5)を組み合わせることで、燃焼時には熱を保持しながら、燃焼後には速やかに冷える特性を持つ高応答遮熱材料を開発した。これにより、吸気時の過度な高温化を抑え、トルク低下を抑制するとともに、燃費・出力・トルクの三要素を高次元で両立し、「走る歓び」のさらなる進化を実現している。

 さらに、高応答遮熱材料は、エンジンに塗布した際の塗膜の厚さや滑らかさによって性能が大きく左右される。その特性を最大限に発揮するべく、強みであるMBD(モデルベース開発)(*6)のもと、塗装技術の高度化にも取り組んだ。小型で複雑な形状のエンジン部品に対する最適な塗装方法を導き出すため、カメラやレーザーを用いてスプレー塗装の挙動を可視化している。その結果をもとに、3D-CFD(数値流体解析)を活用し、塗装から乾燥・加熱による硬化(焼き付け)に至る一連の工程をシミュレーションし、塗膜の厚さや表面の滑らかさを予測できるモデルを構築した。同モデルの活用により、高応答遮熱材料をエンジン内部に均一かつ滑らかに塗装することが可能となった。さらに、同モデルの開発により、形状が異なる複数の部品に対して、それぞれ短期間で最適な塗装条件の把握と生産対応が可能となった。


MAZDA3 Bio concept (55号車)のピストン (高応答遮熱材料塗布前)

MAZDA3 Bio concept (55号車)のピストン(高応答遮熱材料塗布後)(上部の白い箇所が、高応答遮熱材料)

実証実験と今後の開発方針

 この高応答遮熱材料技術は2023年からスーパー耐久シリーズ、ST-Qクラスに参戦する「MAZDA3 Bio concept(55号車)」で実証実験を行っており、将来の商品への反映を目指している。

 マツダは今後も、制約を創造に変える構想力で技術開発に挑戦し、安全・安心・自由な移動社会の実現に貢献するとともに、「走る歓び」で移動体験の感動を量産していく方針だ。

*1 :樹脂材料の塗装による遮熱機能は世界初(2026年5月時点、マツダ調べ)。

*2 :2000年代以前に、自動車業界で盛んに研究が進めていた、セラミックス系素材を用いたエンジン用遮熱材料。

*3 ケイ素(Si)と酸素(O)の結合を主骨格とする高分子材料。一般的な有機樹脂に比べ耐熱性に優れているのが特徴。

*4 無機化合物を主成分とした、内部に空気層を有する球状粒子。断熱性に優れているのが特徴。

*5 二酸化ケイ素(SiO2)からなるナノサイズの粒子。耐熱性に優れており、塗膜の耐久性向上のための添加剤に利用されている。

*6 Model Based Developmentの略。実物の試作部品ではなくコンピュータ上で再現した「モデル」を中心に設計・開発を進める手法であり、時間や工数を大幅に削減し、効率的に開発を可能にする。